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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/14 11:06:28

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「…真斗。」

ライヴが終わってクタクタになって…

みんなはまだ盛り上がってるけど…僕は一人だけ抜け出した。

そして、一階のロビーのベンチに座った所に…母さんがやって来た。


「母さん…あれ?一人?」

「ええ。」

母さんは僕の隣に腰を下ろすと。

「…カッコ良かったわよ。」

僕の前髪をかきあげて言った。

「ははっ。ありがと。」

「もう、可愛いまこちゃん…なんて言えないわね。」

「…母さんにとっては、いつまでも僕は可愛い子供だから。」

指をもてあそびながらそう言うと、母さんは小さく笑って。

「ううん。もう完全にあたしの手から離れてたのに、いつまでも甘えていて欲しいって…我儘な母さんでごめんね?」

少しうつむいた。

「何言ってんだよ。僕が甘えん坊なのは、母さんが一番知ってるじゃない。」

「…優しい子ね。でも、もういいのよ。客席で見てて母さん…自慢に思った。うちの長男は…フリルのシャツを着ててもカッコいいんだって。」

「あはは。そこなんだね。」

「……」

それから…しばらく無言になった。

母さんにカッコいいって言われるのは…もしかしたら初めてかなあ…なんて思ったりして、それは嬉しくもあり、寂しくもあった。

僕、マザコンだな。


「…小さな頃、女の子の恰好させられてたの…覚えてる?」

母さんが遠慮がちに言った。

「…させられてたんじゃなくて、僕が好きで着てたんだよ。」

「……」

「今もフリルは嫌いじゃないかな。」

「…もう。」

顔を見合わせて笑った。

何となく…スッキリ。

「できれば、孫は女の子がたくさん欲しいわ。」

母さんがそう言って立ち上がる。

「気が早いね。」

「母さんの夢よ。鈴亜ちゃんにはプレッシャーかけたくないから言わないけど、真斗にはお願いしておくわ。」

「分かったよ。」

「じゃ、先に帰るわね。みんなとしっかり楽しんで。」

「ありがと。」

手を振って帰って行く母さんを見送ってると…

「あ、真斗。愛美は?」

エスカレーターから父さんが降りて来た。

「今帰ったよ。」

「はあ?あれだけ待ってろって言ったのに。」

「何か機嫌損ねるような事でもしたんじゃないの?早く追いかけてどこかで美味しい物でも食べて帰りなよ。」

「……」

父さんは少し視線を上に向けて考えてるみたいだったけど。

「…うん。そうしよう。」

そう言ったかと思うと。

「今日は楽しかった。いい刺激も受けた。」

座ったままの僕の頭を…くしゃくしゃっとした。

「…僕こそ。父さんとセッションするなんて、思わなかったよ。」

「期待以上に自慢の長男だ。」

「……」

そう言われて…ちょっと泣きそうになった。

ライヴの余韻もまだあるし…

「じゃあな。」

「うん。楽しんで。」

父さんの背中を見送って…僕は立ち上がる。

…みんなの所に戻ろ。

そして…

ちゃんと、お礼を言おう。

僕の事、こんなに大事にしてくれて…ありがとうって。

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