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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/13 23:30:43

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あたしはその時…一瞬時間があの時に戻った気がした。

真音が…あたしのために、弾いてくれた英雄ポロネーズ。

もちろん、今聴こえてくるそれは…真音の数倍も数百倍も上手だけど…

それでも。

あの日…ホテルのレストランで、突然ピアノを弾き始めた真音の姿を思い出して…

「…るー…」

テーブルの下で、真音があたしの手を強く握った。

「…ふふっ…まこちゃん…嬉しいサプライズだわ…」

空いてる手で、涙を拭った。


あたしは…いつもバンドにヤキモチを妬いた。

真音はバンドの事になると、あたしとのデートも全部キャンセル。

本当にあたしの事好きなの?って、いつもやきもきして…

アメリカに行くって言われた時も…待たないって、真音の夢を拒絶した。

あたしには…受け止められなかった。

夢に向かう真音が、あたしを置いて行ってしまう事。

どんなにあたしが真音を好きで追いかけようとしても、あたしに見えるのはいつも背中だけ。

どうして…立ち止まって待っててくれないの?

どうして…振り向いて手を差し伸べてくれないの?

…今思えば…望んでばかりで…子供過ぎた。

待つ事も信じる事も出来なくて…

あたしは、真音から逃げた。


そんなあたしに…真音がプレゼントしてくれたのは…

影ながらの努力の賜物。

パパが言った『娘の結婚相手は、英雄ポロネーズが弾けないと認めない』を…真音はやり遂げてくれた。

真音がピアノを弾くなんて思いもよらなかった。

あれから一度だけ、弾いて欲しいとお願いしたけど…

真音は。

「親父さんの前で弾いたんと、るーの前で弾いたんと…あの二回で燃え尽きてもうて頭から抜けたわ。」

そう言って、情けない顔をした。

真音のピアノがもう聞けないのは残念だけど…

それでもあの夜の出来事は、鮮明に思い出せる。


「…あの夜景…きれいだった…」

あたしがそうつぶやくと、真音は少しだけ目を閉じて。

「…せやな…」

あたしの肩を抱き寄せた。

そして…

「…鈴亜。」

あたし達より前の方でステージを見てる鈴亜に。

「行って来いや。前の方で観たいんやろ?」

真音は…優しい声で言った。

「…いいの?」

「めったにない事やからな。」

真音の声が…優しかった。

あたしはそれがすごく…すごく嬉しくて。

「あたし達も前に行きましょうよ。」

真音の腕を持って立ち上がった。

「…はっ?ここで聴くんより爆音やで?」

「何年Deep Redのツアーについて回ってたと思うの?平気よ。」

あたしがそう言うと。

「…おまえにはまいるわ…」

真音はそう言ってあたしをギュッと抱きしめて。

「よっしゃ。行こか。」

顔を覗き込んだ時は…


あたしの大好きな、笑顔の真音だった…。

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