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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/13 22:11:06

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『Thanks for coming!!』

二曲歌い終わった所でそう叫ぶと、客席からは唸るような歓声が上がった。

…鳥肌立っちゃう。

MCの苦手なあたしが視線で合図すると、陸ちゃんがコーラスマイクの前に立って。

『初めましての方もそうじゃない方もようこそ!!SHE'S-HE'Sです!!』

そう言って右手を突き上げた。

あたしはドラムセットの前に立って、光史を振り返りながらドリンクを一口。

光史は目が合うと、少し眉を上げて口元を緩ませた。

…ふふっ。

楽しいね。

あたしも少しだけ笑顔で応える。


『高原さんも言ってたけど、本当なら昨日はビートランドは遊んでいい日だった…にも関わらず、俺達のためにこんなにカッコいいステージを用意してくれたスタッフ全員に感謝!!』

陸ちゃんの言葉を、光史がバスドラとシンバルで盛り上げる。

『それに、明日仕事になんのか?ってほどガッツリ騒いでくれてるその辺の面々…ほんと明日大丈夫かよ。』

あはははって大きな笑いが起きて、あたし達も笑顔になった。

客席の後ろの方は、身体を揺らして観てくれてる人達だけど…

前の方の人達は…本当に、身体が心配になるぐらいの盛り上がり方。

その間にギターのチューニングを済ませてたセンが、顔を上げた瞬間…

「早乙女さん素敵過ぎー!!」

客席から、黄色い声援が…

その言葉に驚いたのはセン本人で、目を真ん丸にして口にしてたピックをポロリと落としてしまって。

その様子に客席だけじゃなく、ステージにいるあたし達も笑ってしまった。

『そういう免疫ねーから刺激は軽めのやつでお願いします。て言うか、俺は!?』

陸ちゃんがチューニングしながら、マイクに向かって言った。

「二階堂君もカッコいい!!」

『ならいい。』

『ちょっと、これ何のライヴよ。』

『聖子もカッコいいぜ。』

『あたしはいいから。』

「聖子ちゃん、宝塚みたいよー!!」

客席から聖子に声が上がると、聖子は首を振って笑ったけど…まこちゃんが『すみれの花咲く頃』を弾いて、盛り上がった。

もう…ほんと、いつものスタジオみたいで。

楽しくて…楽しくて……


だけど、切なくなった。


『じゃ、そろそろ演ろうぜ。ライヴ慣れしてねーからMCが下手って丸分かりだ。』

『間違いないわね。』

陸ちゃんと聖子の言葉の掛け合いに。

「あはは!!もっと喋れー!!」

客席から、アンコールがかかる。

『あ?歌聴きたくねーのかよ。』

陸ちゃんが客席に耳を傾けると…

「聴きたいー!!」

その客席からの声と同時に…光史がハイハットでカウントを取って…

SHE'S-HE'Sの中で、一、二を争う激しくて速い曲。

イントロでセンと陸ちゃんがステージギリギリまで前に出て、頭を振る。

それに客席も応えて…明日本当に大丈夫かな?

マイクをギュッと握りしめて…あたしは歌い始めた。


陸ちゃんとセンの背中を見てると、この二人って本当…すごいなって思う。

目を合わせただけで、お互いが何を考えてるのか分かるのかなって。

前に出るのも同時。

交差してステージを歩き始めるのも同時。

全然タイプの違う二人なのに…同一人物か双子?って思っちゃうよ。

そして、二人のギターソロも…本当、すごい。

ギターマガジンの取材の時、インタビュアーから『ギターキッズからの質問なんですが…』って言葉が何度も出る。

それほど多くのギタリストを目指す人達から支持を受けてるし、色んな人に刺激を与えてる。


右を向くと聖子がいて…

プレイスタイルは地味かもしれないけど、その正確さと力強さ。

本当…驚いちゃう。

あたしのためにベースを弾き始めてくれた聖子。

あたしが夢を捨てそうになった時も…見捨てずにいてくれた。

…あたし、一生聖子とはバンドメンバーであり、親友でいたい。


そして…振り向くと光史がいる。

たぶん、このバンドで一番早く評価されたのは…光史だ。

Deep Redのマノンの息子なのに、ドラマーなのか!?って、アメリカの事務所では笑われてたけど。

耳とリズム感のいいまこちゃんにダメ出しされたってボヤく日もあるけど、それは本当に…微々たる事で。

まこちゃんも、光史なら出来ると思って言ってるだけ。

普通の人には聞き取れないほどの、細かいズレをまこちゃんに言われ続けた事で、光史は驚くほど…

リズムマシーンのようなリズムキープが出来る。

それに、力強いドラミング。

あたし、何度光史の音で泣きそうになった事か。

この迫力。

あたしが一番求めてる音だ。って音を叩いてくれる。

なくてはならない存在だよ…本当に。


今日の主役と言ってもいいまこちゃんは…

陰になり日向になり、いつもみんなを支えてくれる。

可愛くて女の子みたいって社員さん達にからかわれる事もあるけど…

本当は、すごく頼もしくて男らしいまこちゃん。

鍵盤だって…もう右に出る人なんていないよ。

あのナオトさんでさえ…きっと、まこちゃんの事は脅威のはず。


…だから。

こんなメンバーと一緒やっていられる間は。

あたし、絶対…自分に負けない。

あたしの歌は攻撃的だ…って、昔、高原さんに言われた。

…悩んだ。

実際、あたしの歌を聴いて歌うのが嫌になった…ってバンドをやめた人もいるって聞いた。

…だけど、これがあたし。

これが…SHE'S-HE'Sで歌うあたし。

誰がなんて言おうと…

あたしは、攻撃的であり、だけど…

誰かを包む歌うを…歌うようになりたい…。

みんなと…進化し続けていきたい。

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