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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/13 12:08:43

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「最終リハはどうだった?ナオトからは緊張感漂い過ぎだって聞いたが。」

俺がそう言うと、知花は首をすくめて苦笑いをした。

「そう…ですね。力入りすぎちゃったのかも…」

「まあ、仕方ない。ロクフェス以来だからな。」

美味い料理をいただいて、子供達の可愛い様子も見れて…

恐ろしく幸せな時間を過ごさせてもらっている俺は、ビールを注ぎに来てくれた知花に今日の様子を問いかけた。


今日はSHE'S-HE'Sのリハがあったが…

俺は周子の所に行っていた。

体調が良くないと聞いて駆け付けたが…

「会いたかったの…」

周子にそう言われた。

…実は、明日のSHE'S-HE'Sのセットリストの中に…周子の曲が一曲ある。

本当はそれを伝えたい気もしたが、やめた。

今は落ち着いているが…またいつ、さくらを思い出させるワードで過敏になるか分からない。

出来れば、周子の心を乱したくない。

瞳との溝が深まるばかりだ…。


予定より長く周子の所にいた。

リハを見ておきたかったが…本番を楽しみにする事にして、現場はナオトに任せた。

マノンは…まあ、るーちゃんのデートからこっち、少しは元気だが。

まこのためのライヴと言うのが気に入らないのか、全く会話に入って来ない。

…やれやれ。


「なちゅ、あした、しゃくもかーしゃんのおうた、いってもいい?」

咲華が俺と知花の間に割り込むようにして入って来た。

「あ…すいません。ダメって言ってるのに…」

知花は困った顔をしたが、俺は咲華を膝に抱えると。

「連れて来ていいぞ。モニタールームなら耳も平気だろう。」

知花と千里に言った。

「って…千里は客席で見るよな。」

「出来れば最前でかぶりつきで。」

「もうっ、それはやめて~…」

以前は知花の歌を聴く事もためらったと言っていたのに…

今ではまるでファン第一号と言わんばかりの千里。

千里は知花の歌を高く評価し、SHE'S-HE'Sのサウンドとその楽曲も、世界一だと言う。


「貴司は来ないのか?」

右隣にいる貴司に問いかけると。

「残念ながら私は明日からニューヨークなんですよ。」

貴司は首をガックリさせて言った。

「僕がモニタールームに一緒に行こうか。」

誓がそう言うと…

「じゃ、あたしと誓で子供達全員引き連れて行こうか。」

…キッチンから、さくらの声がした。

「義母さん、ほんの数時間だけど、たまには一人でのんびりして?」

「え?さくら、そんな気を遣わなくていいのに。」

「ううん。オシャレして出かけるのもいいし、ゆっくり温泉に入るのもいいし、好きなように時間使ってよ。」

「そうだよ、おばあちゃま。僕と母さんでしっかり面倒見るから。」

「…まあ…どうしましょう…」

俺は…その会話を黙って聞いて。

さくらが…ビートランドに来る。

そう思っただけで、少し鼓動が速まった。

…バカだな。

俺が歌うわけじゃない。

だが…俺の城を…俺が育てた社員たちを、さくらに見せたい気はした。


楽しい宴はテーブルの上の品が変わっても続いた。

俺は明日のライヴの映像編集を、また貴司の会社と共同でやらせて欲しいと頼んだ。

「陸君。明日は何としても頑張るんだぞ。」

貴司が上機嫌な様子でそう言うと。

「う…何気にプレッシャー…」

陸が胸を押さえて言った。

「貴重なライヴに行けないのは残念だが…みんな、私の分も楽しんでおいで。」

貴司がそう言うと、少しだけビールを飲んで酔っ払ったのか、誓が斜めになりながら手を上げて応えた。


「ノン君、サクちゃん、お風呂入ろー。」

麗が二人を呼びに来て。

入れ替わりに、聖は歩いて、華月は知花が抱えて帰って来た。

「麗、サンキュー。」

千里が礼を言うと。

「久しぶりだから楽しくて。」

麗は満面の笑み。

「千里、華月お願い。」

「おう。」

千里が知花から華月を抱きとめて、『きれーきれーなったなー』なんて言ってるのを見て…笑う。

神千里も、子供の前では普通の父親だ。


「……」

ふいに…聖が俺の膝に来て。

つい、無言で見つめてしまった。

「頭を拭いてやって下さい。」

貴司がそう言って、俺にタオルを渡す。

「あ…あーこういうの慣れないからな。大丈夫かな。」

ゆっくりと、聖の髪の毛をタオルで拭くと。

「もっとガシガシやっちゃって平気ですよ。」

千里からのアドバイス。

見てみると、千里が華月の頭をガシガシと拭いて…

「…華月、白目むいてるぞ?」

「気持ちいいらしいっすよ。」

「そんな顔で?」

「こいつ、誰に似たんすかね。変なんすよね。」

千里の言葉に、知花は『自分じゃない』と言わんばかりに首を振った。

…知花の小さい頃は…どんな子だったんだろう。

ふと、そんな事を考えて…小さく笑った。

ここに来ると…夢を見過ぎる。

ガシガシと聖の頭を拭いて、時々笑顔になってくれるのが嬉しくて…

両手で頬を押さえて親指でその感触を味わうと。

「きゃはっ。」

聖は…笑いながら俺に抱きついた。

「……」

ダメだ。

「さ…パパにバトンタッチだ。」

聖を抱えて貴司に手渡すと。

「ちょっと風に当たって来る。」

俺は大部屋を出た。


本当は帰りたい衝動に駆られたが…おかしく思われるのはまずい。

貴司の満足いくまで一緒に飲んで…貴司が酔いつぶれる頃に帰る。

これが、俺の役目。


広縁で少しだけ風を入れながら空を見上げる。

輝く星をそこに見ながら…

俺は、今見た夢を掻き消そうとした。

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