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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/13 11:26:40

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「知花ー!!おめでとー!!」

玄関でのその声は、大部屋まで余裕で聞こえて来た。


…去年は二人とも出産で。

しかも知花は難産だったため、おめでとうも何もなかった誕生日だったが…

今年も、義母さんの娘大好きパワーは衰えてなかった。

知花が帰るや否や、廊下を駆けてばーさんに叱られ、玄関で知花に抱きつくという…

俺だってやりたい。と少しは思うが、そこは長年離れてた親子と言う事で…まあ…今年も義母さんにその座を譲った。

だが、来年はどうするか分かんねー。

そんな義母さんについて廊下を走り、やはりばーさんに叱られた華音と咲華も、知花の足元に抱きついて大喜び。

そして、そんな華音と咲華につられた聖も、間に合いはしなかったが廊下にまで出て大はしゃぎ。

知花は、四人(義母さん含む)を身体や足にまとわりつけながら、大部屋に入って来た。

ただ…若干一歳にしてクールなのか物ぐさなのか分からないが、華月だけは大部屋に残って、なぜか俺の顔を見ていた。

「…来るか?」

目が合ったついでに両手を出すと、華月は無言で俺の膝に来た。

聖はもう歩いてるが、華月はまだ歩かない。

やたらとゴロゴロと横に転がったり、仰向けで誰かを見つめて抱き上げられるのを待っている。

…誰に似たんだ?


「あとはー?いくちゃんと、うややちゃんと、なちゅ?」

華音が親父さんの膝に座って問いかける。

「そうだな。もうすぐじゃないかな?」

親父さんは…すこぶる機嫌が良さそうだ。


「何か料理運ぶ?」

着替えて来た知花がキッチンに入ると。

「主役は座っててよ~。」

義母さんが張り切って大皿を運び始めた。

「知花、華月見ててくれ。俺が運ぶ。」

俺が立ち上がってそう言うと。

「あら♡素敵なお婿さん♡」

義母さんが知花を冷かした。

「まあ、千里さん。座ってていいのに。」

ばーさんにそう言われたが。

「料理は手伝えないんで、これぐらいは。」

俺は料理や小皿、グラスを運ぶ。

さすがに俺が動いてるのを見てバツが悪かったのか、誓も無言で手伝いに来た。

「デートはしないのか?」

隣に並んだ誓に小声で問いかけると。

「昼間にケーキ食べに行って来た。」

誓も小声で答えた。

…確かにこの大イベントを外す勇気は、桐生院家の人間にはないかもしれないな。


それから間もなくして、陸と麗と高原さんが三人一緒にやって来た。

「お招きありがとう。」

高原さんがそう言って、高そうなワインをくれて。

「遅れてすいません。」

陸は大きな花束を差し出して…

「わあ…すごい~。豪華…」

「きゃー!!いくちゃん、おはなしゅごーい!!」

花の家のみんなに、大喜びされた。


総勢13人で乾杯をした。

まだ何が何だか分かってない華月と聖も、華音と咲華につられて楽しそうだった。

美味い飯を食って、義母さんの作ったケーキにロウソクを立てて。

「さ、ふーするんだ。ふー。」

華月と聖にそう言ってみるものの…

結局は、その隣でウズウズしていた華音と咲華が火を吹き消して爆笑を買った。

親父さんも、高原さんも…笑顔だった。

…義母さんも。


時間が解決する想いと、そうじゃない想いがあると思う。

行き場を失った想いは…

どこを彷徨うんだろうか…。

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