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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/13 10:51:45

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「誕生日おめでとー!!」

ルームに入ってすぐ、クラッカーが鳴り響いた。

あたしは毎年『もう驚かない』って言うクセに…毎年まるで初めて祝ってもらうかの如く驚いてしまう。

「あはは!!やっぱりビックリしてるー!!もうっ、愛しい奴~!!」

そう言って大笑いする聖子に抱きしめられて。

「知花は飲むなよ?」

陸ちゃんがビールをみんなに回して。

「って言うか、リハ前にみんな飲まないの!!」

聖子に叱られてる。

…そう。

今日は…

あたしの誕生日で、クリスマスイヴで…

明日のシークレットライヴのリハ!!

本番さながらのやつをやれ。って高原さんに言われて…実はちょっと緊張してる。

あたし達…よく考えたら、ライヴ経験って向こう(アメリカ)でしかないし。

PV収録で人前で歌う事はあっても、そのだいたいは撮影班の人達だし…

うーん…


「みんなイヴだから予定あるよね。絶対一発で決めようね。」

みんなで乾杯した後、まこちゃんがそう言って…ちょっとみんなで顔見合わせた。

「自分が予定があるからだろ?」

陸ちゃんがそう言ってまこちゃんの頭を抱えると。

「あいたたっ…何言ってるんだよ~。陸ちゃんだって知花んちのパーティーじゃん?」

「あ。」

陸ちゃんは忘れてたのか…まこちゃんの頭を抱えたまま、あたしを見た。

「わー…やべ。知花、悪い。今のは見なかった事にしてくれ。」

確か、麗がすごく楽しみにしてたのに。

陸ちゃんたら…

「千里に報告しちゃう。」

あたしが目を細めて言うと。

「わー!!マジそれだけは勘弁してくれー!!」

陸ちゃんはすごい勢いで土下座をした。

「あはははは!!何か一発芸でもしてよ!!」

聖子が手を叩いて笑ってる。

「今夜の練習だと思ってさ。やっとけやっとけ。」

センもそう言って陸ちゃんのお腹に何か書こうと、マジック持って服を捲ってる。

「大人にも子供にもウケるには、やっぱ腹芸だな。」

…光史も加勢して、陸ちゃんはお腹に顔を描かれる寸前…

「ひー!!やめてくれっ!!腹芸なんてやんねーよ!!」

…みんな…なんだかテンション高い…?

…もしかして…

「…ねえ、みんな…緊張してるのかな?」

あたしが首を傾げて問いかけると。

「……」

ピタッと笑いが止まった。

陸ちゃんが千里に誘われたパーティーを忘れたり。

みんな、やけにテンションが高かったり。

絶対…おかしいもんね…。


「ま…まままままあ、緊張しない方がおかおおおおかしいよな…」

センがおおげさに震えて言って、手にしたマジックは陸ちゃんのお腹に波線を引いた。

「…冗談に聞こえないからやめろよ…」

光史がセンの肩にもたれかかる。

…そっか。

みんな緊張してるんだ。


「…メディアに出ないって決めて…本当にそれで良かったのかなあ…って、ずっと思ってた。」

あたしがそう言うと、みんなは静かにあたしを見た。

「確かに、生活はすごく安全って言うか…仕事の量もツアーがない分プライベートは充実してるし…」

好きな事が出来て、プライベートも守られてて…

申し分ないけど、あたしはずっと…

「でも、みんな本当は…」

あたしが言いかけると。

「みんなで決めたんだぜ?」

光史が遮った。

「知花の事をキッカケとして出したから、どうしても後ろめたいって思ってるのかもしれないけどさ…結果みんな助かってる事の方が多いんだ。俺は今のSHE'S-HE'Sに何の不満もないし、これからもこのスタンスを変える気はないと思ってる。」

「光史…」

「俺だって、メディアに出てたらあちこち引っ張りだこ過ぎて、育児に参加出来なくなるのは困る。」

センが笑いながらそう言った。

「こういうスタンスだからこその俺達だぜ?なんで知花が責任なんて感じるんだよ。」

「そ。陸ちゃんの言う通り。あたし達、ここまで伸び伸び出来てるのは、知花が怖い目に遭ったおかげ…あ、ごめん。なんか、襲われてありがとうみたいになっちゃった。」

「おいおい聖子ー。」

「ごめーん。」

「……」

泣きそうになった。

みんな…本当に優しくて…思いやりがあって…

あたし、なんて恵まれてるんだろう。

一度は…千里と離れたくなくて、簡単に夢を捨てかけたぐらい…薄情なあたし。


みんなとずっとやっていきたい。

そう思う傍らで…あの過去が、時々あたしを苦しめる。

みんなを裏切ろうとしたあたしが…

みんなをメディアに出させなくしたあたしが…って。


「知花?せっかくの誕生日にその顔はないよ?」

まこちゃんが隣で顔を覗き込んだ。

「…うん。そうだね。」

あたしは、顔を上げて笑ってみせる。

…そうだ。

今日はあたしの誕生日で…

大事な華月と聖の誕生日でもあって。

みんなと迎えられる、幸せなクリスマスイヴでもあって…

まこちゃんがどんなに偉大なキーボーディストかを知らしめる、大事なライヴの前日でもある。

幸せな時は…幸せな事に負い目なんて感じなくていいんだ。

うん。

あたしは…とんでもない幸せ者で。

あたしは…


幸せでいても、いいんだ。

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