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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/13 08:04:54

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「るーちゃん。」

俺が手を上げると、入り口付近に立ったままだったるーちゃんは、少し笑って歩いてやって来た。


あえて、事務所の近くのカフェを選んだ。

しかも窓際。

うまい具合にマノンが出て来て見てくれたらいいのに。なんて思いながら。


「真音が何かやらかしちゃいましたか?」

ゆっくり座りながら、るーちゃんが言った。

「俺には害はないが、家ではどうなんだ?」

「あー…鈴亜の事で?」

「そ。事務所ではずっとフヌケだ。」

「うちでもですよ。」


二人でコーヒーを頼んで、すぐそこに見える事務所を見上げた。

「…あっと言う間ですね。」

ふいに、るーちゃんがつぶやいた。

「そうだな。俺は今でも、るーちゃんに『はじめてちゃん』て言った事を後悔してる。」

「ふふっ。もう忘れて下さいよ。」

「こんなに美人になるって分かってたなら、マノンと別れた時にさっさとつけ込めば良かった。」

「もう…でもそう言ってもらえるなら、オシャレして来た甲斐がありました。」

「それは嬉しいな。」


出会った頃を思い出して…まさかこんなに長い付き合いになるとは思わなかった。と、二人で笑い合った。

るーちゃんは、マノンを好き過ぎて音楽に対する理解がない。と自分で言うが…

Deep Redの音楽を知って理解している人物の一人だと思う。

クラッシックの家に生まれて、ハードロックに馴染むまでには時間がかかっただろう。


「光史の結婚式以来、マノンはどうだ?」

光史の結婚式で…朝霧家は十年以上に渡る家庭内破綻を告白して、再構築を誓った。

「ええ。おかげさまで、素直になり過ぎて…あのアリサマです。」

るーちゃんは苦笑い。

「るーちゃんは?まこと鈴亜の結婚には?」

「もちろん賛成ですよ。まこちゃんは本当にいい子だし、何の心配もありません。でも反対に…鈴亜がちゃんと奥さんになれるかなって。」

「ふっ…ま、自分達の時も周りが思ってただろうな。」

「あー…間違いないですね。」


るーちゃんのご両親は、現在ウィーンに住まわれている。

年に数回お互いの家を行き来するそうだが、同居の予定はないらしい。


「マノンが反対する理由って、何なんだろうな。」

コーヒーを飲んで問いかけると。

「…なんなんでしょうね…ただ…最近やたらとお義父さんの写真を見てる事が多いです。」

るーちゃんは意外な事を言った。


マノンの親父さんは…マノンが高校生の時、デビューを楽しみにしたまま…亡くなった。

あの時のマノンは…本当に辛そうで、見ていられなかった。

ギターも辞めてしまうんじゃないかってぐらいの落ち込み方で。

一時期は…あの熱はどこに置いて来た?って言うほど、ギターを弾いてもマノンらしくなかった。


「…あの時マノンに熱を取り戻してくれたのは、るーちゃんだったな…」

窓の外を眺めながら言うと。

「え?」

るーちゃんは何も知らなかったのか…目を丸くした。

「ほんと、親父さんを亡くしてすごくフヌケになってた。ギター弾いても心ここに非ずでさ。だけど…るーちゃんと知り合った頃から、あいつ変わったよ。」

「……」

俺は無言でるーちゃんの頬に手を伸ばす。

「…え?」

「…ちょっと失礼。」

るーちゃんは驚いた顔のまま。

俺は、るーちゃんの頬に手を当てて…

「…マノン、妬くかな。」

真顔で言った。

「……」

赤くならない所を見ると、俺がどうしてこうしてるか…分かってるんだろうな。

バン!!!!!

『何してんねやーーーー!!』

ふいに、窓の外。

マノンがガラスに両手をついて、息巻いてる。

「…妬いたな。」

「…オシャレして来た甲斐がありました。」

「ふっ。さすが。」

頬に手を当てたまま、二人で見つめ合ってそう言ってると。

「離れろやーーーー!!」

マノンは店の中に走って入って来た。

俺に突進して来るかどうかの所で…るーちゃんが立ち上がる。

「っ…」

驚いたマノンが立ち止まると。

「もう仕事終わり?」

るーちゃんが、首を傾げて言った。

「お…おう…」

「たまにはどこか連れてって。」

「……」

マノンはチラリと俺を見て。

「…ナッキーと会うのに、そんなシャレて来たんか?」

眉間にしわを寄せた。

「真音が全然あたしを見てくれないから、誰かにオシャレした自分を見てもらいたかったの。」

「……」

こうなると女の方が上手だな…

そう思いながら、俺は笑顔で二人を見る。

「ナッキー菌、取らな。」

そんな事を言いながら、マノンがるーちゃんの頬に触れる。

ガキか。

「よし。出かけよ。このまんま、映画でも行って飯食いに行こ。」

マノンがるーちゃんの手を取る。

「ほんと?嬉しい。」

そう言って笑顔になったるーちゃんを見て…

これだけは、本物だな…と思った。

手の平でマノンを転がしながら…最後には、ちゃんと心からの笑顔を見せる。

るーちゃん、いい嫁さんだ。

「楽しんで来いよ。」

座ったままそう言うと。

「ナッキーもたまにはサボれ。」

マノンは笑いながらそう言って。

「ナッキーさん、ありがとう。」

るーちゃんは…初めて会った頃を思い出させるような笑顔で言った。

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