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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/11 09:21:57

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座席にメガネがあるなんて思わなかったけど、確認せずに座った僕が悪い。

だけど、こんな時間に眼鏡屋さんが開いてるはずもなくて…

僕は、ずっと眉間にしわを寄せてる女の子を送って行く事にした。


「おうち、どの辺かな。」

バスを降りて僕がそう問いかけると、女の子は街灯の少ない方向を指差した。

メガネは、結構な度の強さで…

これがないと、本当に見えないんだろうなあ…って思った。

しかめっ面になる理由も分かるけど、ちゃんと確認して座れよ!!って叱られてる気分にもなった。


「ごめんなさい…あたし、眠くて、メガネ外してたの忘れて席移ったから…」

やっと喋ってくれた女の子は、小さな声でそう言った。

「ううん。何も考えずにすぐ座った僕が悪いよ。メガネないと不便だよね。明日学校困るんじゃ?」

「家に前のメガネがあるから…」

「そっか…でも、これは弁償させてね。ちゃんと直して返すから。」

「…ありがとう…ございます…」

僕は歩き出したんだけど…女の子はバス停に立ち止まったまま。

どうしたのかな?と思ったら…

あ。

見えないから怖いのか…


「ごめん。気付かなくて。はい、つかまって。」

そう言って腕を差し出すと…

「ごめんなさい…お願いします…」

女の子は…僕の腕を掴むんじゃなくて…手を取った。

「……」

何となく…鈴亜に悪い気がしたけど………って。

もう…鈴亜とは関係ないんだ…

それに、これは仕方ない事だから…


手を繋いで、女の子と歩き始める。

「名前なんて言うの?」

「……真珠美…」

「真珠美ちゃん。何年生?」

「中二です…」

「そっか。こんな時間まで…塾?大変だね。」

「…期待されてるから…頑張らないとって思って…」

「……」

その言葉は…痛々しい気がした。

バスの中で居眠りしてしまうぐらい疲れるなんて…

僕が中二の時は…

…そっか…

やっぱ、期待には応えたいって思ってたかも…

カッコいい。じゃなくて…

可愛いって言われるように…。


弟の奏斗は、小さな頃からヤンチャで。

僕としては、元気な弟を可愛いなあって思ってたけど…

母さんは、困った顔をしてる事の方が多かった。

父さんは子育てに関しては母さんに一任って感じで。

…って言うか、もうほったらかしだよね…

それが良かったのか、奏斗は早くに自立してしまって、イギリスに留学したし…

だけど僕は…

母さんを守らなきゃって…

…いや…

母さんを喜ばせたかった。

ただ単に、僕を認めて欲しかったからだと思う。

母さんの…息子として。


「お兄さんは…何歳?」

真珠美ちゃんは足元が怖いからか、ずっと顔を上げないけど、会話は弾んで来た。気がする。

「僕?僕は23歳。」

「一番上のお兄ちゃんと…同じぐらいだあ…」

「一番上のお兄ちゃん?お兄ちゃん、何人いるの?」

「三人。」

「わー…すごいね。そっか…初めての女の子だから、期待されてるって事?」

「うん。」

「お兄ちゃんは、みんな優しい?」

「うん…あたしが、こんなブスでも…みんな可愛がってくれる…」

「ブスって…」

僕が小さく笑うと。

「だって、あたし…こんな暗い顔よ?」

真珠美ちゃんが顔を上げた。

「……」

やっと。

初めて…正面から顔を見た。

しかめっ面の横顔しか見てなかったけど…

正面から見た真珠美ちゃんは…

「…とりあえず、眉間のしわを伸ばしてみよっか。」

僕がそう言って眉間に指を置くと。

「はっ…」

真珠美ちゃんは慌てて僕の手を離して、両手で顔を押さえた。

「あっ…ごめん。でもさ、何を持ってブスって言うのか分かんないけど…僕は、女の子はみんな可愛いって思うよ。」

「……」

「って…なんか、ナンパ師みたいだね。」

僕がそう言うと、真珠美ちゃんはゆっくりと両手を顔から離して。

「…そんなの…有り得ない…」

低い声で言った。

「どうして?」

「可愛い子は、めちゃくちゃ可愛いし…あたしみたいなブスは…何をどう頑張ったって…可愛くなんてなれない。」

「……」

「神様は、不公平。」

真珠美ちゃんの言葉は…正解のようにも、不正解のようにも思えた。

僕だって…男らしくない自分に自信喪失中だ。

だけど…

「確かにさ…見た目だけの事を言ったら、公平不公平って言うのはあるのかもしれないけど…」

僕は真珠美ちゃんの重たそうな前髪を覗き込んで。

「ちょっと失礼。」

前髪を、かきあげた。

「はっ…」

真珠美ちゃんは驚いて一歩下がったけど…

「変わろうとする気持ちとかさ…頑張ってる様子ってさ…分かる人には分かると思うんだよね。」

「……」

「真珠美ちゃん、おでこ出してみたら?」

「…おでこ…出したら…可愛くなる?」

「変化を求めるなら、何か変えなくちゃ。それに、誰がどう思うかは分からないとしても、僕はおでこ出した真珠美ちゃん、可愛いと思うよ?」

いや、お世辞なんかじゃなくて…本当に。

重たいぐらいの前髪で隠されてた額を出すと、真珠美ちゃんは驚くほど雰囲気が違った。

自信がないと…隠したくなる部分が多くなる気がする。

僕だって…似たようなもんだ。

「……」

それから…真珠美ちゃんは、もう一度僕の手を取って歩き始めた。

話も弾んで…こんな妹がいたら良かったのになあ…なんて思ってると…

「真珠美!!」

前方から、男の人の走って来る姿が。

「お兄ちゃん?」

真珠美ちゃんが、しかめっ面で暗闇を見る。

「え?お兄ちゃん?」

僕がそう言った時には…

「おまえ、うちの妹に何しやがんだ!!」

「え?」

どうやら、手を繋いでたのが…あらぬ誤解を招いたようで。

ガツッ!!

「やっ…お兄ちゃん!!何するの!?」

「帰るぞ!!」

僕は、殴られて…倒れたまま放置されて。

真珠美ちゃんは…お兄さんに抱えるようにして連れて帰られて行った。

僕は倒れたまま…

変化を求めるなら、何か変えなくちゃ…か。

人に言えた事かよー…って…小さく笑った。

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