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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/10 16:55:26

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うどん屋で見かけた…鈴亜を好きだと言う『邑』という男。

僕は、数日…暇な時間を見付けては、事務所の近くをウロウロした。

と言うのも…

通りの向こう。

バイクショップがある。

あの人達、うどん屋でヘルメット持ってたし…

もしかしたら…そこに、居るのかも…って。


僕がしてる事は…男らしくないのかもしれない。

鈴亜が彼を選ぶとしたら…きっと、男らしい所を好きになったんだって思う。

僕はバイクには乗らないし…

彼みたいに、日に焼けたワイルドな風貌でもない。

もしかしたら、鈴亜は…

ピアノを弾くような男より、そういう…風を切って走るような男の方が好きだったのかもしれない…


溜息交じりにバイクショップを眺めてると…

「……」

来た。

彼だ。

僕はさりげなく通りを渡って…バイクショップの前にあるバス停で、時刻表を見るフリをした。


「よお、邑。最近一人だな。」

ショップの店員がそう声をかけると。

「ああ…女関係は全部きれいにした。」

邑って男は…ハツラツと、そう言った。

「え?おまえが?」

「ああ。今、本気になりそうな女がいるんだ。」

「マジかよ…」

「バイクの事、知らないなりに覚えようとしてくれるしな…可愛いんだ。」

「へえ~…おまえが本気ねえ…」

…この会話からだと…

今までは遊んでたけど、今回は本気…って事だ。

うん…確かに鈴亜は…一生懸命な所があって…すごく可愛いよ。

そりゃあ…本気になるよ。

どんな遊び人だって。


「おまえぐらいの男なら、すぐに落とせるだろうに。」

「あー…キスはすぐだったけど、そこから先がなあ…」

「あはは。邑が手こずるなんて、よっぽどだ!!」


………キスは…すぐだった…

その言葉に、眩暈がした。

キス…したんだ…

鈴亜…僕以外の男と…

キス…


その日は鈴亜と会う事になってたけど…

すごく、気分が沈んで。

こんな事なら、何も知らないままが良かったよ…って後悔した。

だけど…

そんな顔をしてるのは、僕だけじゃなかった。


「…考えごと?」

会ったのはいいけど…鈴亜が全然喋らない。

やっとの思いで、言葉を口にすると…

「別に。」

鈴亜は…そっけない答え。

…もう、気持ちは離れてるのかもしれないな…

「最近、忙しそうだね。」

静かな口調でそう言うと。

「まあね。」

鈴亜は髪の毛を指でもてあそびながら言った。

「結局、桜花の短大に進むんだって?」

いつまで経っても打ち明けてくれないから…

思い切って進路の事を話すと。

「…誰に聞いたの?」

鈴亜は、少し不機嫌そうな声。

「光史君。」

「お兄ちゃんに、言ったの?」

「何。」

「あたしたちのこと。」

「ああ…言ったっていうか、ばれてた。」

「……」

何だろう。

鈴亜はみるみる不機嫌極まりない顔になって。

「鈴亜?」

僕が肩に手を掛けて問いかけると。

「ごめん…何だか気分が悪い…」

うつむいて、そう言った。


…そっか。

鈴亜、光史君に知られるのも嫌だったんだ。

それぐらい…僕からは気持ちが離れてるんだ…。

「…送ってく。」

もう、そう言うしかなくて。

僕は、沈んだ気持ちのまま…鈴亜を車に乗せた。

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