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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/10 07:40:17

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「入学おめでとう。」

華音と咲華の入学式から帰ると、高原さんが来てくれてた。

「わー!!なつ!!」

華音と咲華は飛び跳ねるようにして高原さんに抱きつくと。

「ねえ、見て見て。咲華、一年三組なの。」

「僕は六組。」

二人はそれぞれそんな風に言って、自分の持ってる袋に入った工作道具を見せた。


今日は…入学式だった。

二人ともまだ少し大きめの制服を着て、胸にリボンを付けてもらって、会場に入場行進して来た時は…

思わず涙が溢れてしまった。

アメリカで二人を産んで…

メンバーのみんなに助けてもらいながら、二人を育てた。

本当に…あたしは環境に恵まれてて。

帰国してからも…家族のみんなに支えられて…

千里と、まさかの復縁…。

そして、母さんが見つかって…華月と聖が産まれて…

麗がお嫁に行って…

もう、本当に…この七年の間に色んな事があったなあ…って…

涙が溢れてしまった。

辛かった事も、今となっては過去でしかなくて。

あたしは、今がどれだけ幸せか…

常に、その事に感謝しようと思った。

隣に座ってた千里も…少し感極まったのか。

あたしの手をギュッと握って。

「…大きくなったな。」

小さくつぶやいた。


二人を産んだ時は…まさか、こんな日が来るなんて…って。

隣で、ちゃんと父親をしてくれてる千里が、同じように目を潤ませて。

二人の成長を喜んでくれる日常があるなんて…

本当…夢みたい…


それだけでも…

あたしは自分がどんなに幸せ者か…

その上、顔も名前も隠したままの、バンド活動。

歌う事も、ずっと続けていられる。


「ふっ…うちの子は可愛いな。」

千里が耳元で言った。

「ふふ…親バカね…」

「ここにいる奴らは、みんなそうだ。」

クラスごとに立ち上がって、退場していく時。

咲華は堂々と、あたし達に笑顔で手を振って。

「…あいつは…ほんとに…」

千里が笑顔で額に手を当てた。

華音は、すごく真面目な顔で行進をして。

「さすがだな。」

千里は、腕を組んでご満悦な様子だった。


「それでね、教室で、教科書と工作道具をもらってね?」

今日の出来事を、夢中になって高原さんに話してる咲華。

制服姿を見てもらいたいのか、なかなか部屋に着替えに行こうとしない。


そんな穏やかな雰囲気の中…

突然、千里が…

「華音、咲華、座れ。」

ふいに、ネクタイを緩めて言った。

その…ただならぬ声のトーンに…華音と咲華は顔を見合わせながら、ゆっくりと千里の前に座って。

あたしも…高原さんと、おばあちゃまと…顔を見合わせる。

その様子を察したのか、キッチンにいた母さんも…

今日は写真係で入学式について来てくれてた父さんも、大部屋に集まった。


「…今日から、お前たちは一年生だ。」

千里の言葉に、二人は少しだけ周りを見渡して…小さく頷いた。

「いいか。これからは…高原さんの事は『高原さん』って呼ぶんだ。もう、『なつ』って呼ぶのはおしまいだ。」

「え?」

声を出したのは、高原さんだった。

「お…おい、千里。別に俺は構わないぞ?」

高原さんはそう言ったけど…千里は。

「ダメです。」

キッパリ。

「高原さんの事だけじゃない。知花のバンドメンバーを呼び捨てにするのも、もうダメだ。」

「……」

「……」

二人は、何を言われてるのか…分かってるようで分かってないのか…

口をポカンと開けて…手を繋いだ。

「…父さん…何か怒ってるの?」

咲華が小さな声で言う。

「怒ってはいない。ただ、ケジメとして言ってる。」

「ケジメ…?」

「おまえらが『なつ』って呼んでる高原さんは、世界的に有名な人だ。俺も知花も尊敬する人だ。おまえらが気安く呼び捨てていいような人じゃねーんだ。」

「……」

「……」

二人は…事の重大さに少しずつ気付いたのか…

口をへの字にして、難しい顔になった。


「知花のバンドメンバーも、おまえらの友達じゃない。今は分からなくても、将来は人生の先輩として尊敬する日が来る。」

「千里、何もこんなめでたい日に厳しい事を言ってやらなくても…」

高原さんが髪の毛をかきあげながら言ったけど、千里は首を横に振って。

「今日だから言うんです。難しい事かもしれませんが、当たり前の事なんで。」

高原さんの目を見て…言った。

「呼び方が変わっても、言葉使いが変わっても、みんながおまえらを大事にしてくれる事に変わりはない。」

「…でも…」

咲華が泣きそうな声で。

「でも…」

何か言いたいけど、言葉に出来ない…って顔で繰り返した。

「…甘えるな。って言ってるんじゃない。むしろ、まだまだ甘えろ。だが、それは咲華の友達の『なつ』に甘えるんじゃなくて。」

千里は咲華と華音の後に回って、二人を抱きしめると…

「俺と知花が…世界中の人が尊敬してやまない『高原さん』に甘えろ。」

抱きしめられた二人は…何が悲しくて泣いてるのか分からないけど…

とにかく、泣いて千里の胸にすがった。

「知花のバンドメンバーも、そうだ。あいつらは…華音と咲華を友達としてじゃなく、我が子のように思ってくれてるんだ。そんな大人達を呼び捨てにして友達みたいにするのは、もう終わりだ。」

千里の言葉に泣いてる二人を見て、なぜか父さんが涙目になってる…

…確かに、華音も咲華もあまり泣かない。

いつも笑顔の二人。

おばあちゃまも…胸の痛そうな表情。


「みんな、俺と知花みたいに…おまえらの事、ギュッとして可愛がってくれるだろ?」

千里にそう言われて…二人は答えたいけど答えられないのか、答えたくないのか…

とにかく…泣き続けた。

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