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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/10 05:54:22

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「…ノン君見っけ。」

あたしが背後から声をかけると。

「あーっ!!ばーちゃんいつの間に来てたのーっ!?」

ノン君は大きな声でそう言って、芝生の上に転がった。

「アッチョンブリケ。」

ノン君の手を掴んでそう言うと。

「もー…これで五回連続で僕の負け…」

唇を尖らせたノン君は。

「ばーちゃんには、なかなか勝てないなあ…」

そうボヤキながら、沓脱石に座った。

「何か飲む?」

「うん。僕、変身できるかも水。」

「あっ、いいね~。じゃ、あたしもそうしよっと。」

ノン君の言う『変身できるかも水』は…

『今飲んだら背が伸びるかも』

『今飲んだら力が強くなるかも』

『今飲んだら全てにおいてレベルアップするかも』

って…

水分補給させるためにこじつけた、暗示。

ただの水。


二人で大部屋に行くと、サクちゃんが華月とお絵かきをしてた。

「何描いてるの?」

あたしがらくがき帳を覗き込むと。

「とーしゃん。」

華月が顔を上げて言った。

…真顔で。

その隣でサクちゃんは。

「華月、色使いがすごいの!!」

満面の笑みで、華月を絶賛。

なんて言うか…

華月は…三人の中で、一番千里さんに似てる気がする。

顔立ちはすごく綺麗なんだけど…とにかくクール。

四歳にして、大人の貫録…

「聖は?」

「大ばーちゃんと寝てるよ。」

サクちゃんはあたしの手を引いて、中の間が見える位置まで行って。

「ほらね。」

寝転んだ二人の姿を指差した。

「ほんとだ。教えてくれてありがと、サクちゃん。」

あたしがそう言うと、サクちゃんはえへへって笑って。

「どーいたしましてっ。」

ペコリとお辞儀した。

ふふっ。

サクちゃん、女の子らしいなあ。


知花は二時間ほど取材のため事務所に出かけてて。

サクちゃんはその間、自分が妹と弟の面倒を見てる!!って、名乗り出た。

…聖は弟じゃなくて、叔父…なんだけどね。

とにかく、サクちゃんはすごく『お姉ちゃん』で。

明日の入学式で自分は大人になる。

これで何でも一人で出来る。と、息巻いている。


ノン君は…

「ばーちゃん、『雲隠れ』しよ?」

って、誘ってくれた。

かくれんぼのようで、かくれんぼじゃない。

鬼はいなくて、お互いが見つからないように隠れて…先に見付けた方が勝ち。

本当は…まだまだ遊びたい盛りなのに。

双子だけど妹であるサクちゃんが妙にお姉ちゃんになっちゃって、それを気にしてるノン君。

一年生になるって言ったって、まだまだ子供なんだから…

思う存分遊んで、思う存分甘えればいいのに。


「ねえ、ばーちゃん。」

「なあに?」

グラスに一つ氷を入れた、『変身できるかも水』を飲みながら、ノン君が言った。

「ばーちゃんはなんで、そんなに何でも出来るの?」

「何でも出来てる?あたし。」

「だって、聖子ちゃんちのばーちゃんは、後ろに回るの出来ないって言ってたよ?」

「あああああ…ノン君、よそでそんな話しちゃダメだよ…」

「えー、何で?」

あたしはお義母さんが起きてないかを少しだけ確認して。

「ばーちゃんはね、よそのばーちゃんより少し若いの。だから出来ちゃうんだよ。」

小声で言った。


身体が鈍るのが嫌で、つい…華月と聖の一日体験に付き添う。なんて言って…

あたしは水泳も体操もなわとびも跳び箱も、全部自分が満喫してしまった。

一緒に行ってるお義母さんは、半ば諦め気味で…

あたしのストレス発散になる。と思って、知らん顔してくれてる。

…でも、本当は嫌なんだろうなあ。

だって、絶対あたしが泳いでるのとか見ないもん…


「もし、ノン君がばーちゃんみたいになりたいって思うんだったら…」

「うん…」

「集中する事よ。」

「…集中…?集中って?」

「……」

あたしは、んーって考えて…

「例えばね…この指を見て?」

ノン君の前に、人差し指を立てた。

少し寄り目になったノン君は、じっ…とそれを見る。

「今度は、指じゃなくて、指の向こうに見える景色を集中して見て?」

「…集中して見る?」

「一生懸命…かな。」

「……」

「景色に集中すると、指が見えなくなるの。」

いつ…こんな事を始めたのか分からないけど。

あたしはたまに、気付いたらこんな事をしてた。

何かを…衰えさせたくないって本能なのか…

自分の何がそうさせてるのか分からないけど…

「難しいや~。」

「…だよね。ごめんごめん。」

あたしはノン君の頭を撫でて笑う。

するとノン君は。

「僕、特訓するよ。」

すごく…目をキラキラさせて言った。

…ま、目標が出来ていいのかな?

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コメント1

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  1. ヒカリさん(99歳)ID:6597252・09/10

    アメブロ、昨夜更新しました。
    お時間ある時にチラ見でも…|∀・)

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