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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/09 13:02:38

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「…何ぶーたれてんだ?」

お化粧も少し直して会場の前まで行くと、陸さんがあたしの顔を見て言った。

「…ぶーたれてても可愛いでしょ。」

そっけなく言うと。

「いーや、今のおまえは可愛くない。」

陸さんは、両手であたしの頬をギュッと握って。

「ほら、笑え~。」

何だか…すごい笑顔で…だけど…

「いー!!痛いってば!!」

あたしが大声を出しながら後ずさると。

「しっ新郎様!!何なさるんですかー!!」

介添えの人が、慌てて陸さんを押さえ付けた。

「だってこいつがぶーたれるから。」

「お綺麗じゃないですか。」

「笑ったこいつは、もっと綺麗なんだぜ?」

「……陸さん、酔ってるの?」

もしかして。と思って聞いてみると…

「はあ?俺が酔うわけねーじゃん!!」

「……」

あたし、介添えの人と顔を見合わせた。

十分酔ってるじゃないの!!

「と…とにかく、扉が開きますので…転ばないよう、各テーブルをお回りください。」

「はあ~い。」

「……」

酔っ払った陸さんと…各テーブルを回って、お土産を配った。

朝霧さんの時もキャンドルサービスはなかったらしいけど…

あたしも、それは嫌だって我儘言った。


陸さんは、どのテーブルに行っても笑顔で。

すごくウケが良くて。

…ほんと、(酔ってるけど)社交的な人なんだなー…なんて、今更ながら思った。


その隣で…

なんて人見知りなあたし。


長い長いお土産配りの間、会場の両サイドにあるスクリーンには、あたしと陸さんの思い出アルバムみたいな場面が映し出されてる。

陸さんは、さすがに…織さんと写った物が多かった。

特に、小さな頃の写真は…ご両親との物が一枚もなくて。

どうして?って聞いたら…

「両親が生きてるって知ったの、15の時なんだよなー。」

って、陸さんは笑った。

…冗談?


あたしの写真は…

どれも、お人形さんみたいに可愛い。って言われた物だけど…

そのどれもが…笑ってない。


最後に…家族のテーブルにたどり着いた。

二階堂家と桐生院家にもお土産を配った。

自己満足だけど…

あたしが選んだ手帳。

シンプルで…幸せ感なんか微塵もない。

ただ、色だけは七色あったから…

両家にだけは、個々に似合う色を振り当てた。

知らないおじさん達ともお揃いになっちゃうし、陸さんに『こんな所に金かけなくても』とは言われたけど…

何となく…ここだけ、頑張りたかった。

すぐに捨てられるとしても。

誰かにポイッてあげられるとしても。


でもって…

すごく…悩んだ…両親への花束贈呈と…

挨拶。

陸さんは、何だかスマートにまとめてて。

あたしもそれに便乗…させてもらうはず…だった…



けど。






『えー…本日は、わたくし二階堂陸と麗の結婚披露宴にお集まりくださり、誠にありがとうございます。』

陸さんの言葉と共に…あたしはお辞儀をした。

お辞儀をして…顔を上げると…

そこに…ちょうど、お母さんの写真が見えた。

『まだまだ若輩者な私達ですが…』

陸さんの挨拶は、まだ続いてる。

たぶん…三行分ぐらいのセリフの後で…花束贈呈。

本当は、そっちが先だったのに。

なぜか…陸さんが挨拶を先にやらせてくれって。

『……今後とも、よろしくお願い致します。』

陸さんの挨拶が終わって、もう一度お辞儀をして顔を上げると…

『それでは、これより…妻の麗が。』

隣で、陸さんがそう言って。

「……えっ?」

あたしは驚いて、陸さんを見た。

『妻の麗が、どうしても、家族に伝えたい事があるそうです。』

「なっ………」

口を開けて、陸さんを見た。

な…ないないないないないない!!

そんなの、何もないってばーーーー!!

目を見開いてるであろうあたしを見ても…陸さんは真顔で。

「ほら。」

マイクを…

「……」

周りを見渡すと…何だかみんな、興味津々な顔…

これが、場を盛り上げる新婦から両親への手紙とか何とか…って、すでにハンカチを用意してる人も…

じょ…冗談でしょ…

そんなの…あるわけないじゃない!!


うちのテーブルでは、みんながビックリした様子で顔を見合寄せたり…

だけど、姉さんと…誓が同時に。

が・ん・ば・れ!!って…大きく口を動かした。

が…頑張れって…

「……」

あたしは…戸惑いと…ちょっと怒りと…よく分かんない感情で…震える手で、マイクを持った。


『……家族に…』

そこまで言うと…もう、言葉が詰まった。

だって…

家族に伝えたい事って…何よ…

陸さん、いつからそんな事…企んでたのよ…

ただのイジメじゃないの…


見ると、父さんと母さんが、ヒヤヒヤした顔であたしを見てる。

…何、その顔…

母さんはともかく…父さんのそんな顔…初めて見た…

……ふふっ…。


『あたしは…この通り、見た目だけは…十分綺麗に産んでもらいました。』

そこまで言うと、義兄さんが吹き出して…姉さんに叩かれた。

『だけど…すごくひねくれてて……家族の中、一人だけ…浮いてました…』

両手でマイクを持って…あたしは息を吸う。

そして…顔を真っ直ぐに上げた。

もう…こうなったら…

こうなったら、全部…

言ってやろうじゃないの…。

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コメント2

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  1. ヒカリさん(99歳)ID:6597251・09/10

    ココロさん
    ありがとうございます✨
    陸ちゃん素敵だ😍
    この二人のお話はまだまだ突っ込んで書きたいです。

  2. ココロさん(77歳)ID:6596831・09/09

    陸さん、やりますね~♪
    麗ちゃんファイトo(^o^)o

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