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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/09 07:07:28

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今日の俺の席は、貴司の会社の上層部と同じテーブル。

SHE'S-HE'Sと同じテーブルに座りたかったが、立場的にここにしてくれと貴司に頼まれた。

…ま、仕方ないか。


「高原さん。」

会場の入り口で光史と話してると、貴司が来た。

「ああ、おめでとう。」

「ありがとうございます。朝霧君も、今日はどうもありがとう。」

「おめでとうございます。」

そんな挨拶を交わして、自然と…貴司と並んで会場に入った。

「…それは?」

貴司が手にしている物を指差すと。

「…さくらが、麗の晴れの日だから…と。」

貴司が手にしていたのは写真立てで。

くるりと写真の面を表にして見せられたのは…

「……」

それは…貴司の亡くなった前妻、容子さんだったが…

「…本人が、この写真を気に入っていたようで…アルバムの一番後ろに貼ってあったんです。」

その写真は、遺影で見る冷たさを感じさせる美しい女性とは違い…

俺の兄との密会で撮られた笑顔に近い…

リラックスした笑顔の、可愛らしい女性に思えた。

そして、その写真を撮ったであろう場所は…

「…さくらは、何も気付いてないんだよな?」

俺は小声で貴司に問いかける。

「…恐らく。私も決して口外はしていませんし…するつもりもありません。」

「……」

貴司を疑う気はない。

本当に…貴司はさくらを大事にしているし…

桐生院の家族を守ろうと必死だ。

その点では…俺達は共通している。


ホテルでの密会写真を見せられて、外でしか会っていないのだと漠然と思っていたが…

この写真の背景は…今はもうない、高原家の…兄の部屋だ。

懐かしいカーテン。

当時は豪華に思えたが、今となっては時代錯誤に思える壁紙の模様…


「…貴司。」

写真立てをテーブルに置く貴司に問いかける。

「…何でしょう。」

「容子さんに興味はなかったと言うが…多少なりとも、気持ちはあったんだろう?」

「……」

「おまえと付き合って来て…最初に抱いた印象とは違う事が色々分かって来た。」

俺の言葉に、貴司は小さく溜息をついて。

「…会社を守る事を優先していたので…小さなことには目を向けまいとしていました。」

容子さんの写真を見ながら…そう言った。

「私がさくらを忘れられなかったのは事実です。容子を愛せなかったのも。ですが…全く気持ちがなかったかと聞かれると…それには自信がありません。」

「…当然だ。家族になれば、色んな意味で情は湧く。」

俺にとっての周子がそうであるように…

さくらの幸せを強く願う傍ら、俺は周子の幸せも願う。

愛の形は、歳を取ると共に変化がある事に気付いた。

それは、自分によって…深さも大きさも変わる。


「…辛かったな。あれだけの会社を一人で。」

貴司の背中をポンポンと叩いて言うと。

「…あなたは今も一人であれだけの会社を守っておられるでしょう?」

貴司はクスリと笑って言った。

「俺は一人じゃやってない。とてもじゃないが、無理だ。みんなの助けがあってこそだぞ。」

「…そうですね…私も…もっと部下を信用しなくては…」

貴司はそう言いながら写真立ての縁を指でなぞって。

「…面倒臭いテーブルかもしれませんが、宜しくお願いします。」

俺の顔を見上げた時は…少し笑顔だった。

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