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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/08 20:34:15

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「麗ちゃん、綺麗よ。」

親族の顔合わせ。

あたしは、その小さな部屋に入ってすぐ。

麗ちゃんの手を持って言った。

「ほんと…いつもより、もっともっと綺麗。」

麗ちゃんは緊張した面持ちだけど、あたしの手を握り返すと。

「…織さん…」

少しだけ、目を潤ませた。

「ああああ…まだ泣いちゃダメ。お化粧とれちゃう。」

「ふ…ふふっ…はい…」

軽くティッシュを目元にあてて、そっと頬に触れる。

「良かった。ほんと、おめでとう。」

「…ありがとうございます…」

あたしの隣では、環も笑顔で…麗ちゃんと握手を交わした。


陸が結婚する…

それは、心のどこかが小さく痛むような、そんな気分になるんだろうか…って心配してたけど…

今のあたしは、本当に清々しい気持ちで。

心から、二人を祝福する事が出来てる。

…これって、麗ちゃんへの信頼もあるけど…

環の存在、すごく大きいよね…。


ずっと陸の事が好きで。

自分より先にどんどん二階堂に慣れていく陸に置いていかれる気がして。

それで…

あたしが後を継ぐ。なんて言ってしまった。

…陸に夢があるのを知っていたっていうのもあるけど…

認めて欲しかった。

陸には、あたしが必要なんだ。って…


環の事…気付いたら好きになってた。

いつ、どの瞬間からか…なんて分からない。

センと恋をして、海を授かって…

あたしは自分の恋より、陸の夢のために二階堂を選んだ。

…もちろん…センの夢のためでもあったけど…

とにかく、あたしにとって…

陸はかけがえのない存在で。

ずっと、心の根っこの部分で…

陸のために生きるって、決めてた気がする。


そんなあたしを、ずっと支えてくれてた環。

万里君も沙耶君もそうだけど…

環は、唯一あたしを甘やかさない存在だった。

後を継ぐ。なんて…簡単に言ってしまったあたしは…

二階堂って大きな組織を深く知れば知るほど、そのプレッシャーに押しつぶされそうになってた。

だけどそんな時、環はいつも…

「お嬢さんは一人じゃないですよ。」

そう言って…励ましてくれてた。


陸への想いは、誰にも言えないものだから。

言葉にも形にもしてはならないものだから。

どんなに陸を愛しく思っても…その気持ちに気付かないよう、自分の気持ちを誤魔化してた。


そんなあたしの気持ち…

環は気付いてたはず。

無意識のうちに、陸を見つめてて…

視線を感じて振り返ると、そんなあたしを環が見てる。

…環には敵わないなあ…


環は、一番大事な人。

陸は…特別な存在。

…だったけど…

今は、環が特別で、本当に本当に、大切な人。

環なしの人生なんて、この先…考えられないよ…


「どうした?」

環を見上げてると、優しい顔を近付けられた。

「…スーツ姿はいつも見るけど、こういう時のはまた違った感じで素敵だなって。」

あたしが素直にそう言うと。

「…嬉しいけど、二人きりの時に言って欲しいかな。」

環が、小さく笑って言った。

え?と思って周りを見ると。

「ごちそーさま。」

陸が目を白黒させながら言った。

…あたし、そんなに大声だったの!?

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