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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/08 17:52:57

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「…義母さん?」

事務所で陸の前祝いだ!!と、本人がいないのに数人で飲み過ぎて。

夜中にトイレに起きた所で…大部屋に灯りが。

そこでは、義母さんが一人でアルバムを見ていた。

「あ…千里さん。」

「眠れないんすか?」

俺は義母さんの向かい側に腰を下ろして、アルバムを覗き込んだ。

「んー…なんて言うのかな…」

「?」

「…どんな言い方しても、ちょっと上からみたいに思えちゃうかもなんだけど…」

「なんすか。」

義母さんはアルバムの中の麗に少し触れて。

「…容子さん、生きていたかっただろうなあ…って…」

「……」

俺はその言葉に、何も言えず。

立ち上がってお茶を入れかけて…いや、明日顔をむくんでも困るしな…と悩んで。

「…何か、飲みますか?」

問いかけた。

「……飲んじゃおっかな。」

義母さんはテーブルに両手をついて立ち上がると。

「うん。飲もう。千里さん、付き合ってくれる?」

俺の前を通り過ぎて冷蔵庫から缶ビールを取り出すと、一本俺に差し出した。

「…俺はいいけど…顔がむくんでも知らないっすよ?」

「大丈夫。一本ぐらいでそんなになんないよ。」

それもそうか…って事で。

「…乾杯。」

俺は、義母さんと乾杯をした。


「麗って…不器用ちゃんだなあって。」

「不器用ちゃん…」

小さく笑う。

義母さんは時々、知花でも言わないような表現をする。


「麗、ちょっとマリッジブルーだったの…知ってる?」

「ああ…陸も言ってましたよ。急ぎ過ぎたかなって。」

二人がくっつけばいい。とは思ってたが…

まさか、見合いをぶち壊しに来て、そのまま結婚にまっしぐらとは思わなかった。

ま、陸にとっては、あのタイミングだったのかもしれないが…

麗は、勢いに流されただけ。みたいな気もしてしまう。

陸を好きな事に違いはないんだろうが…


「麗…このうちを出ると、容子さんを置いてっちゃう気がしてるんじゃないかなって。」

「え?」

義母さんの、思いもよらない言葉に、口をつけかけた缶を下ろした。

「色々さ…辛い思い出はあるだろうけど…麗は、必死で容子さんを守ろうともしてたわけじゃない?」

「……」

母親の味方は自分しかいない。

麗は、そう思って…知花に冷たくしたり、家族にも心を開けずにいた。

「そういう存在って…本当は、忘れたくても忘れられないよ…」

「…そうっすね…」

酷い事を言って、麗の頬を叩いてしまった事を思い出す。

実の母親に殺意を抱いた麗。

実際麗は…トリカブトを容子さんに飲ませようとしていた。

誓によって、それはすり替えられていたが…

誓が見付けてなかったら…そして、誓が選んだ花にもっと毒があったら…

誰かが犯罪者になる所だった。


「大人になって、大家族になって…麗、色々考えたりしたんじゃないかな…あの頃、もっとこうしておけば良かった…って。」

義母さんは、ビールを片手に、アルバムの麗を見つめる。

そこには、亡くなった麗の母親、容子さんも笑顔で写っている。

「…明日、容子さんの写真も持って行きませんか?」

俺がそう言うと。

「あたしも、それ思ってたんだけど…みんながどう思うかなと思って。」

義母さんは、らしくないぐらい…遠慮がちに言った。

「遺影は冷たい美人って感じだったから…どれか笑った写真が…」

俺がページをめくりながら言うと。

「そう言えば、一枚だけ一人で写った笑顔の写真があった。」

義母さんは、最後のページを開いて。

「ほら、これ。」

そこには、着物姿で…とても知花に嫌悪感丸出しにしてたとは思えないような、可愛らしい笑顔の女性がいた。

「へえ…これはかなりイケてる。」

「でしょ?この写真…あたしと一緒の席に置かせてもらっていいかなあ…」

義母さんは丁寧にその写真をアルバムから剥がして。

「…娘の結婚式だもん…絶対、行きたいよね…?容子さん。」

まるで…友達に聞くみたいに、そう言った。

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