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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/08 12:57:41

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「あ。」

知花んちの帰り。

少し表通りで買い物でもしようと思って歩いてると…

見た事ある姿が。


「里中さーん。」


あたしは大声で、通りの向こうにいる里中さんを呼んだ。


こっちを向いた里中さんに手を振ると、里中さんも笑顔で手を振ってくれた。



里中健太郎さん。

京介の同級生で…あの面倒臭い京介と長年一緒にバンドをしてた人。

光史の結婚披露宴では、里中さんの告白で…朝霧家の絆が深まった。

あたしの大好きな光史の家族が助けられたんだ。

あたしにとっても、恩人みたいな人だ。


「七生さんち、この辺なの?」

通りを渡って来た里中さんが、キョロキョロしながら言った。

「里中さん、朝霧邸行った事あるんでしょ?あたしんち、その真向い。」

「もうガキの頃だから忘れちゃったけど…そっか。朝霧とは幼馴染なんだっけ。」

「そそ。腐れ縁よ。」

自然と並んで歩き始めた。

「里中さんは?事務所の帰り?」

「いやー…実はさ、何かと上手く行かなくて、修行させてくれって高原さんに言って…」

「修行?」

「うん。ちょっと、ストリートをね。」

「へー…」

意外。

一度デビューした人だし…

しかも、今もソロで頑張ってる人なのに。

路上で歌うって…プライドとか…


「情けない話だけど…自分の歌に自信が持てなくてさ…今更だけど路線変更か…なんて、試行錯誤中。」

里中さんは苦笑いしながら、空を見上げて言った。

「…でも、すごい。それを路上でやる勇気…」

「俺にとっては、お客さんの生の声が聞ける絶好の場だよ。」

「……」

何だか…ちょっと自分が生意気言った気がして、恥ずかしくなった。

路上で歌う人の事も、バカにしたみたいに思って…

あたしこそ、バカだ。

あたしのプライドこそ…バカだ。


「どの辺で歌ってるの?」

あたしが問いかけると。

「あそこの美容院の裏通り。若い子達が集まるからって聞いてたんだけど…なかなか若い子には受けないのかな。」

里中さんは、少し振り返って言った。

「音楽屋に交渉してみたら?土曜日は音楽屋の前でストリートする人がいるって聞いたけど…」

「あー…」

あたしの言葉に、里中さんは少し苦笑いして。

「…そうだよね。修行だって言うなら、そこまでしなきゃだよねー…どこか覚悟が足りないんだろうな…俺。」

頭をかきながら…言った。

「…里中さん、あたし応援するよ。」

「え?」

「応援する。次いつ歌う?聞きに来ていい?」

あたしが里中さんを真っ直ぐに見て言うと、里中さんは少しポカンとした後。

「そ…それは嬉しいけど、京介に叱られない?」

目を細めた。

「え?どうして?」

「あいつ、すっげーヤキモチ妬きだろ?」

「……」

そ…

そうだった。

「京介も誘って、一緒においでよ。来週の火曜日の夜…暇ならね。」

里中さんはそう言ってギターを担ぎ直すと。

「応援するって言ってくれて、ありがと。なんか元気出た。」

すごく…爽やかな笑顔でそう言って。

「じゃあね。」

手を上げて、また…通りを渡って行った。

「……」

…何かな。

この…

ちょっと…

胸の奥の方…

チクチクしてるの…。

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