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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/08 07:58:00

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光史の結婚式から三週間。

スタッフが撮ってくれた写真を眺めていると。

「おう、ええか?」

久しぶりのマノンが入って来た。


光史の式の後。

マノンにも休みをやった。

半ば無理矢理だが…

そうして欲しかった。


マノンはその休みを、るーちゃんと二人きりの旅行に使ったり、鈴亜と渉を連れてテーマパークへ行ったりと、なかなかの家族サービスに費やしたようで。

るーちゃんから。

「ナッキーさん…本当に、ありがとう…」

そう言って、ハグされた。

…気付けばるーちゃんとも長い付き合いになった。

出会った頃、『はじめてちゃん』なんて呼んで傷付けた事もあるというのに…

るーちゃんは、ずっとマノンを励まし支えてくれていた。

そんな彼女に多大なストレスを与えていた事…

俺も、深く反省した。

マノンがギターバカなのは、誰よりも知っていたはずなのに…。


「ああ…ちょうど写真を見てたとこだ。」

「ははっ…」

マノンは照れくさそうに髪の毛をかきあげると。

「…色々、サンキュ。」

ソファーに座った。


「俺は別に大したことはしてない。ちょうどタイミングが良かったのさ。」


俺はさほど気にしていなかったが…

それは、会長室に閉じこもっていたり、外に出ずっぱりだったり…

極端だったからかもしれない。

事務所にいる連中は、朝霧親子の不仲に気付いていたようで。

「もー、感動した。あれから、二人の会話もすごく空気があったかくて嬉しいです!!」

と、全く関係ない広報の人間までが言っていた。


るーちゃんから里中の映像をもらった後、里中本人からも真相を聞き出して…

そして、朝霧家の実情についてを話し、今の里中からのビデオメッセージを撮らせてもらった。

それをるーちゃんに見せると…

「…あたしも、撮ってもらっていいですか?」

意外な言葉が。

その、るーちゃんの撮影に立ち会った俺は…

マノンに。

「おまえと光史って、何か原因があって険悪になったのか?」

知らん顔して問い詰めた。

その時のマノンは…一瞬絶句した後…悲しそうな顔になって。

「…険悪…険悪なんかなあ?」

何とも力のない声で、そうつぶやいた。


家族としての絆を取り戻したいと思っているのは…るーちゃんだけじゃなかった。

マノンもだ。

そこで、俺はマノンにも…

「披露宴で、ビデオメッセージを流したらどうだ?」

と、提案した。

最初は戸惑ってたマノンも…

光史の結婚を機に、自分も変わりたいと思ったのかもしれない。

自分で原稿を書いて、何度も読んで練習したが…

カメラを前にすると、原稿通りだったのは、最初の挨拶だけだった。


「…なあ、ナッキー。」

「ん?」

コーヒーを淹れて、テーブルに置く。

マノンの前に座ると、マノンはすごく真剣な顔で。

「俺、ホンマ…ナッキーの事、大好きや。」

俺の目を見て言った。

「……」

俺は少しキョトンとした後。

「ははっ。何だよ。」

笑いながらコーヒーを一口飲んだ。


「…ホンマ…おまえほど人を大事にする奴…俺、見た事ないで。」

マノンは、自分の指を弄びながら…少し照れ臭そうに言った。

「残念ながら、俺はそこまで善人じゃないぞ。」

「何言うてんねん。いっつも人のために何かしてばっかやん。」

「…自己満足だよ。それで自分を盛り上げてる所もあるからな。」

俺がそう言って笑うと、マノンはおもむろに立ち上がって…

「…ナッキー。」

俺の腕を持って立ち上がらせると、俺をギュッと抱きしめた。

「…おいおい…」

「俺、おまえにも…幸せんなって欲しい。」

「……」

「俺に出来る事があったら…何でも言うてくれ。」

マノンの言葉に…癒された俺がいた。

本当、こいつ…

ここの奴らが、どう思ってるのか…知らないのか?


俺は、誰にでも優しいわけじゃない。

好き嫌いもハッキリしている。

仕事とプライベートは別として見る分、アーティストには厳しい事も言うし、結果を出さない奴には冷たい告知もする。

だが。

マノンは、俺から厳しい指摘を受けた奴らに、光を与える。


ここをこうしたら、きっとナッキーは見直してくれるで。

頑張れや。期待してるで。


ここの誰もが…マノンに憧れ、マノンを慕う。


「じゃ、次のF'sのツアーについて、るーちゃんとしっかり話し合ってくれ。」

マノンの背中をポンポンとして言うと。

「え?ツアー?」

マノンは、俺から離れて丸い目をした。

「ああ。向こうの事務所から話が来た。夏の間にアメリカで10か所ほど回って欲しいらしい。」

「……」

相当嬉しいらしいが、手放しで喜んじゃいけないとでも思っているのか…

マノンは、眉をヒクヒクさせて唇を結んだ。

「…夏休みの間だ。家族を同行させたらどうだ?」

俺がソファーに座り直して言うと。

「お!!せやな!!早速聞いて来る!!」

マノンは大声でそう言うと。

「ほなな!!」

せっかく入れたコーヒーを一口も飲まずに、会長室を出て行った。

「……」

呆気にとられたまま、ドアを眺める。

「……ふっ。」

マノンの剣幕に、小さく笑いながら…

これもまた、幸せだ…と思った。


そして数日後。

「夏休み中だから鈴亜と渉も行かないかって誘ったら、あっさり断られてへこんでました。」

光史が、笑いながらそう報告して来た。

「るーちゃんもか?」

「いえ、母は喜んでました。同行させてもらうそうです。」

あれから…光史はトゲがなくなった。

事務所の中でも、マノンが光史に抱きついて、うっとおしがられる姿はよく目にするが…

二人とも…笑顔だ。


「高原さん。」

「ん?」

「…ありがとうございます。」

光史が、深々と頭を下げた。

「なんだ?サプライズの礼なら、もうさんざん聞いたぞ?」

俺は笑いながら、光史の頭をくしゃくしゃにする。

「いえ…。俺、一生…ここで頑張ります。」

顔を上げた光史は、笑顔で。

それがまた…俺を幸せな気持ちにさせた。

「…楽しみにしてるぜ。稼ぎ頭。」


俺には…大切なものが、たくさんある。

それだけで…幸せだ。


それだけで…。

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コメント2

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  1. ヒカリさん(99歳)ID:6596522・09/08

    ソフィーさん
    ありがとうございます😊
    この人が一番幸せにならなきゃなのに〜( ´Д` )
    私意地悪過ぎだ!

  2. ソフィーさん(71歳)ID:6596028・09/08

    朝から涙止まらない~😢。

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