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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/07 22:43:44

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「ま、おまえも今は大人だから…話すぞ。」

高原さんの言葉に、俺は生唾を飲み込んだ。

「マノンがおまえを助けたあの日…嫁さんは病院で出産の真只中だったんだ。」

「えっ!?」

驚きのあまり、身体が大きく揺れた。

「だが、マノンが病院に行ったのは…深夜。」

「……」

あ…朝霧さん…

なんて事を…

事情を知らなかったとは言え、あんなに泣きじゃくってギターヒーローを困らせた事を後悔した。

あんな俺を見たら…そりゃあ朝霧さんは…


「もちろん、おまえのせいじゃない。ギターの事になると熱くなるマノンのせいだ。」

高原さんはそう言ってくれたけど…


そう言えば…

家に行った時…

かすかに、赤ちゃんの泣き声が聞こえた。

奥さんの足元には、小さな女の子もいた…


「光史はあの時10歳で…自宅で産気付いた母親のために救急車を呼んで、小さな妹と一緒に病院に行って…来ない父親をずっと待ち続けてた。」

「……」

「あの時から…光史はマノンの事を、父親とは思っていないんだ。」

確かに…俺のせいじゃないけど…

朝霧さん…バカだよ…

「父親と思ってないって…でも、事務所で一緒にいる所、見たりしますけど…」

「そりゃ仕事だからな。相手は父親じゃなく、Deep Redのマノンだから、仕方ないってね。そう思って接してる所があると思う。」

「……」

その言葉を聞いて、俺は…高原さんの提案に、乗る事にした。


「11歳の時、ギターレッスンの帰りに高校生に絡まれてる俺を助けてくれたのが…朝霧さんでした。」

俺は、カメラに向かって続けた。

今も…あの光景は忘れられない。

「朝霧さんは泣いてる俺に、大丈夫やから…って優しく声をかけて励まして…めちゃくちゃになったギターも…」

俺は少し間を空けて、その時のギターを取りだした。

「これが…あの時のギターです。」

あれからも何度か修理はしたが…

ずっと、大事に使い続けているギター。

「…でもこれ、朝霧さんのギターですよね。」

俺が大事そうにギターを触りながら言うと、撮影に立ち会ってた高原さんが、顔を上げて首を傾げた。

「俺のギターは…直らなかった。だけど、俺のギターはマノンモデル…朝霧さんのギターと同じで…だから、朝霧さん、自分のギターを綺麗に塗装し直して…俺にくれたんですよね。」

俺がそれに気付いたのは…

二ヶ月ぐらい経ってからだった。

確かに…小さな傷がいくつかあったが、高校生たちに蹴られたり投げられたりしたせいもあると思ってた。

だけど。

買ってすぐに、自分で窓枠にぶつけて出来た傷が…そこになかった。


そりゃあ…朝霧光史も…大変だったよな。

一人っ子な俺には、到底想像もつかないが…

小さな妹の面倒を見ながら、産気付いた母親を目の当たりにして…

しかも、自分だって心細かっただろうに…弱音も吐けない。


Deep Redのマノンだから、仕方ない。

その言葉は…酷く胸に刺さった。

俺達がギターヒーローと崇める裏で…

そう思って、朝霧真音を父親としては諦める存在がいる。


だけど…

朝霧さんは、家族の事…

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