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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/07 16:51:31

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瑠歌は何を着ても安定の美しさだった。

普段、家ですっぴんのまま、部屋着でストレッチしてる姿なんか見ると…

19歳。

と思えるが…

こうして着飾ると、聖子はともかく…知花よりは年上に見える。

知花は…ふわっとしてて三児の母とは思えない。

歌うと豹変するけど、いつもは…そこにいるだけで癒しになる。

…俺にとっては、だけど。


ノン君とサクちゃんと、知花と暮らしていた頃は…

本当に、神さんに近付いたような錯覚もあって…幸せだった。

歪んだ気持ちでのそれだとしても…ずっと、妙な怒りの塊を抱えて生きている俺には…

あの三人との生活は、ここ数年の中で一番…心が穏やかだったように思える。


だが、知花は神さんと復縁した。

俺も、知花への気持ちも、神さんへの気持ちも…消化と言うより、昇天させる事が出来たと思う。

それもこれも、瑠歌のおかげだ。

まだどこか不確かな部分はあったが…

かき乱されて、少しムキになって…笑えた。

俺の新しい面を引き出してくれた気がして。


さっきのドレスとは違って、身体の線がハッキリ分かるウエディングドレス。

どうだ。

羨ましいだろ。

野郎どもには、そんな優越感が湧いた。


丹野さんの歌が流れる中、俺と瑠歌は各テーブルに寄って、全員で写真を撮った。

本来はキャンドルサービスを勧められたが…

瑠歌が『めんどくさいから、写真でもいいですか?』と。

…俺も、そっちの方がありがたい。


みんなが笑顔で嬉しかった。

そうやって、全部のテーブルを回って、席に着いた。

さあ…後は、Deep Redからの恐れ多いお祝いの曲と…

両親に、花束贈呈。

内心すごく嫌だったが、やると決めたからにはちゃんとやる。

…瑠歌のためだ。


『光史、瑠歌、おめでとう。』

高原さんが、マイクを持った。

ドラムセットの持ち込みはOKだったが、あえてのアコースティック。

ミツグさんはカホンという木箱のような物の上に座って、ポコポコと温か味のある音を出した。

『二人が…』

「…?」

高原さんが言葉に詰まって、みんなが注目する。

ギターを担いでる親父も、驚いた顔で高原さんを見た。

『…俺も歳だな。人の幸せが、こんなに沁みるとは思わなかった。』

その言葉に…隣にいる瑠歌はうつむいて涙を流して、俺は…

「…ほら。」

ハンカチを手渡した。

「…ありがと…」

『二人が、ケンカをしながらでも…永遠に小さな幸せに気付ける夫婦でいられるよう、捧げます。』

祝辞より長い言葉に、各テーブルから少しの野次と大きな拍手。

『All about lovin' you』

ああ…あの名曲を歌ってくれるなんて…

これは、まずい。

泣かないと賭けた俺でも…これは…


「……」

瑠歌が、テーブルの下で俺の手を握った。

見ると、瑠歌は涙を止められない。

…高原さんの歌もだが…

親父のギターソロは、普段のそれと違って…優しかった。

…とても。

さすがに胸に響く物が多々あったが…

俺は…

俺は、親父を許せない。

母さんがあの日…どんなに苦しんで、どんなに心細かったか。

なのに…ギターを直してた?

気が付いたら夜中だった?

…ふざけんな。

人助けだったと後で分かっても。

それは…親父がそこまでしなくちゃいけない物だったのか?

母さんは、命を懸けて…渉を産んだのに。

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