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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/07 13:20:42

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神前式は…まあ、無事と言えば無事に終わった。

緊張し過ぎた瑠歌が、盃を落としそうになるハプニングはあったものの…

まあ、その程度で済んだ。


「光史、袴似合うなあ。」

披露宴会場の前のソファーに座ってると、てっきり着物で来ると思ってたセンがスーツ姿で現れた。

「…センが着物じゃない…」

「知花の時に着物着て浮いたのは、さすがに俺でも分かった。」

「ははっ。」

「主役がこんな所でタバコ吸ってていいのか?」

センはそう言いながら向かい側に座って、ポケットからタバコを取り出した。

「主役は瑠歌だし。」

「いやー、今日は光史も注目の的だろ。」

「……」

そう言われると、少し気分が重い。

ミュージャンなんて、観られてナンボだが…

俺は、目立つ事が好きじゃない。

だから、今のSHE'S-HE'Sの在り方は大歓迎だ。


「あっ、センが着物じゃない。」

俺の後方から声がして、振り向くと聖子と知花だった。

「ははっ。俺も言った。」

「えー、光史こんな所でのんびりしてていいの?」

聖子は俺の隣に座ると。

「ちょっと、灰が落ちてるって。」

俺の袴の裾を叩いた。

…ほんと、聖子とは腐れ縁だよな。

自慢の幼馴染だ。

「瑠歌ちゃんは?」

センの隣に座った知花は、シックな着物。

それを見たセンが。

「…知花が着物なら、俺もそうすれば良かったな…」

そう言って、残念そうな顔をした。

由緒正しい家に生まれた二人は、たまに着物や茶道や華道の話で盛り上がる。

俺にはサッパリだが、二人のおかげで少しは引き出しが出来ているかもしれない。


「センは着物かなと思ったのに。」

「陸の時は着物にしよう。」

「あたしは留袖だけどね。」

「あ、そっか……その着物、いいな。」

「おばあちゃまのを借りて来ちゃった。こういう時じゃないと貸してって言えないから。」

「うちのばあさまは、人間国宝の梅沢さんが仕立てた着物を普段着みたいに…」

「えっ、すごーい!!」

俺と聖子は、着物の仕立て屋にも人間国宝がいるのか。みたいな顔をしてしまったと思う。

すまない。


「おー、センはスーツかよ。」

陸とまこがやって来て。

「…また言われた…」

センが苦笑いする。

まこが知花の隣に座って、初めて見る着物だねー、と。

陸は聖子の隣に座って、おまえらいつ来たの、と。

…あー…平和だ。

俺、こいつらと居る時が一番…平和な気がする。


瑠歌との結婚が嫌なわけじゃない。

男しか好きになれなかった俺が…好きになれた女だ。

…知花は…神さんの延長で好きになったような所もあった。

だが、瑠歌は…奇跡としか言いようがない。


だからなのか…まだ、どこか夢みたいに思う部分がある。

…絶対、寂しい想いはさせないと決めてるのに…

どこか他人事に思えるのは…どうしてだろう。


「ねえ、今日親への手紙とかあるの?」

聖子が困った顔で問いかける。

「…瑠歌に親はいないけど。」

「光史は?」

「絶対ないし。」

あってもやらねー。

母さんになら…とは思うけど、そんな感謝はこんな所では言わない。

「今日は泣く光史が見れるか賭けようぜ。」

陸がそんな事を言ったが…

全員が、泣かない方に賭けて。

「これじゃ賭けになんねーよ。」

陸が唇を尖らせた。

「んー、じゃ、あたしが泣く方に賭ける。」

知花が手を上げて。

「じゃ、僕も知花に乗っかろう。」

まこがそう言ったのを聞いて…

…絶対泣かねーけどな。

心の中で、まこに目を細めた。

今日の鈴亜は…我が妹ながら、可愛い。

いい加減…付き合ってるって言え。

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