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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/07 12:47:17

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「どう?おかしくない?」

白無垢姿の瑠歌が、赤い唇を少し開いて言った。

「…おかしいに決まってるだろ。」

俺が小さく笑いながら言うと。

「…どうせそんな返事だろうとは思ってたけど…」

瑠歌は目を細めて。

「もっと褒めてくれる人を選べば良かった。」

そんな気もないクセに、頬を膨らませた。

「お兄ちゃん酷過ぎ。瑠歌ちゃん、めちゃくちゃ綺麗!!あ~あたしも早く結婚した~い‼︎」

妹の鈴亜(りあ)がそう言って、瑠歌の姿に指を組んだ。

「あたし絶対ドレス派なんだけど、白無垢もいいなあ…この後の色打掛も、絶対こういう時じゃないと着れないし…悩む~…」

そう言って、本気で悩んでるような顔の鈴亜。

「その前に相手探せって話だよな。」

「鈴亜ちゃん、彼氏いないの?てっきりいるのかと思ってた。」

「男がいたら、あんなに早く帰って来ないよな。」

本当は…知ってる。

鈴亜は、まこと付き合ってる。

こっそりと。

鈴亜が早く帰って来ることに関しては、まこが気を使ってそうしてるのかもしれない…

が…

五時は早いよな。

たまーに七時とかになって、親父にバレないように渉にワイロ渡して誤魔化してるが。

むしろ、鈴亜に同情する。

まこでいいのか?

五時に帰らせるなんて、まるで父親だ。


「軽くムカつく。いいわよ…その内ビックリするような素敵な彼氏を紹介してあげるから。」

「…楽しみにしてる。」

まこが相手なら、間違いはないだろうけど…

いつまで内緒にされるのかと思うと、そこは少々腹が立つ。

まこか鈴亜…どちらかが打ち明けてくれたら、こっちだって応援してやるのに。

意地でも知られたくないのか、二人ともかなりしらばっくれた態度を取る。


「あ、ちょっと。」

「え?」

瑠歌の頬についたまつ毛を取ろうと、人差し指で触れる。

「何?」

「まつ毛。」

「…ありがと…」

本当は…めちゃくちゃ綺麗だって思ってるし、むしろ瑠歌の結婚相手が俺でいいのか?って気持ちも…大きい。

残念ながら、俺には陸ほど自分に自信がない。

ましてや、瑠歌は。

大御所が口を揃えて。

『俺らの娘みたいな存在だからな。大事にしろよ。』

とプレッシャーをかけてくるような人物だ。


「鈴亜、もう席に行けよ。」

「あ、うん。じゃ、頑張ってね。」

鈴亜は俺と瑠歌にガッツポーズなんてして、急ぎ足で母さん達の所へ向かった。

本当は瑠歌と二人で少し話したかったが…

あんなに瑠歌を褒めちぎってくれた鈴亜には、感謝だ。

目の前の瑠歌を美しいとは思うけど、当たり前の事だから口にしたくない。

…俺も、俗に言うあばたもえくぼなんだろうけど。


「…ねえ、光史。」

式が始まる直前、瑠歌が前を向いたまま言った。

「ん?」

「…本当に、あたしでいいの?」

「…は?」

「周りから…固められたっぽいじゃない?」

「……」

周りから固められた…と言われたら、そうなのかもしれない。

元々は誠司さんが、丹野さんとうちの母さんが結ばれなかった事で、どこかで繋がりを持たせたかった…と。

その想いと、瑠歌のささやか過ぎる企みのタイミングが合って…


「自力で嫁さんなんて探せなかっただろうから、俺的には結果オーライかな。」

俺も前を向いたままそう言うと。

「…何か心に響くような事でも言ってくれたら…って期待したあたしがバカだった。」

瑠歌はいつもよりずっと低い声で、早口でそう言った。

「…固められたにせよ、どうせ今は通過点でしかないからな…」

俺のその言葉に、瑠歌が少しだけ視線を俺に向ける。

「今から、俺達はずっと家族でいるんだ。」

「……」

「その中で、俺は…おまえに寂しい想いをさせないって決めてる。」

「光史…」

「そう言いながら、正直…そんなの完璧にはできないだろうなって気はするけど…極力頑張うわっ。」

俺の言葉の途中。

突然、瑠歌が抱きついて来た。

「お…おい。せっかく綺麗にしてるのに崩れ…」

「光史、あたし、寂しくなんかないから。」

「……」

「こっちに来るまでは…ずっと一人で、そんなの思った事もあったかもしれないけど…」

俺達の後に介添えの人がやって来て、困惑した表情をしている。

俺は片手を出して、少しだけ。とお願いした。

「だけど…朝霧家のみんな…すごくあったかくて…全然寂しくなんかないよ。」

「…そっか。」

「そう思ってくれてたから、いつも早く帰ってくれてたの?あたしの事、気にしてそうしてくれてたの?」

俺達は…顔も名前も出してないアーティストなわけで…

テレビ出演やライヴがないだけに、レコーディングがないと、かなり暇だ。

俺の目下の仕事らしい仕事と言えば…

ドラムクリニックと、次作に向けての新曲をセンと煮詰めているぐらいか…

「まあ、それもなくはないけど、今は比較的暇だからだよ。」

瑠歌の背中をポンポンとして言うと。

「…あたし、ドラム叩いてる光史をカッコいいって…何回も、何十回も…何百回もビデオ見た。」

「……」

そのカミングアウトには…何となく…胸の奥が疼いた。

ドラムを叩くのは楽しいが、仕事だと思っているだけに…

そこまで言われると…

「そんなに?」

つい、聞き返す。

「うん…だから…いつか、生で見たいなとも思ってるし…」

「…ふっ…」

「おかし…」

顔を上げた瑠歌のあごを持ち上げて、キスをした。

「はっ…」

後ろで、係の人達が息を飲んだが…こういう時は、誰でもおかしくなってるんだろ?

「…口紅…」

唇が離れると、瑠歌が赤い顔で俺の唇に触った。

「このまま入って、いかにもいちゃついてましたって見せ付けようぜ。」

「そんなのイヤっ。」

「ははっ。」

瑠歌は化粧と着くずれを直してもらい。

俺は、新郎様、少し我慢を!!と叱られた。

いきなり、こんなスタートだけど…

…まあ、いいんじゃないかな。


さあ…今日は…



何があっても耐えるぞ。

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