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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/07 10:56:02

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「愛してるのか?」

兄と二人で飲むなんて…初めてだ。

最後に会ったのは、SHE'S-HE'Sが帰国する前に渡米した時だから…四年前か。

「…愛はある。」

「まあ…なければここまでは出来ないだろうからな。」

「……」

小さな店の、奥まったテーブル席。

壁にもたれるようにして…俺はつぶやいた。

「…兄貴は、どうして結婚しなかったんだ?」

「は?何だ…今更。」

兄は笑ってグラスの酒を飲み干すと。

「もう一杯、同じもの。」

バーテンダーに声をかけた。

「仕事をやり遂げる事に必死だったからな…」

空になったグラスの氷を鳴らす兄。

確かに…兄は親父の跡を継ぐために、色んな物を犠牲にして来たと思う。

大学時代も、学友からの誘いは全部断り、何もかもを会社経営のために注いだと聞いた。

実際、その甲斐あって…の今だとしても…

振り返った時に、寂しくはないのだろうか。


「…親父じゃないが、どこかに隠し子がいるんじゃないのか?」

笑いながら問いかけると。

「ははっ。居るなら会いたいね。そして…後継者になってもらいたい。」

兄は…白くなった髪の毛をかきあげて笑った。

居るなら会いたい…か。

兄は…本当に、その存在を知らないのだろうか。

俺は、それを…確かめたくなった。


「…兄貴、社長に就任する一年前に、花に詳しい着物美人と会ってただろ。」

俺がそう切り出すと、兄は。

「……どうして、そんな事を?」

顔から笑みを消して首を傾げた。

「…会ってたんだな?」

「…さあな。」

隠しても答えてくれないと思った俺は…

「…たぶん…俺の知っている女性だ。」

兄の目を見たまま…言った。

「何がキッカケで付き合うように?」

グラスが空になりかけた所で、俺もバーテンダーにもう一杯頼む。

「キッカケ?そんな物、もう覚えてないな…」

それもそうか…

当時、独身の兄目当てに近付いてきた女性はごまんといたはずだ。


小さな紳士服店の二代目だった祖父は、結構な野心家で。

紳士服だけではどうにも金儲けは出来ない。と、女性服や子供服にまで手を広げた。

ところが、若くして病に倒れ、その野望は親父に託された。

祖父ほど野心家ではないが、金儲けに関しては才能があったらしい親父は。

世界の流行に敏感に動き、あっと言う間にアパレル業界のトップに昇り詰めた。

しかし、労せずトップに立ったのが災いしてか…

アパレル業界だけでは物足りなさを感じ、俺の知らない間に全く畑違いの分野にまで手を広げていた。

それは、造園であったり、アミューズメント系であったり…

その尻拭いをさせられていたのが、継母と兄だ。

親父は、失敗を許さなかった。

とにかく、辞める事はしない。

上手くいかなければ、上手くいくまでやる。

本業を潰しかねない時期もあったらしいが、それを越えて…親父の会社は大きくなった。

俺は親父の仕事に全く興味がなく。

兄が社長に就任した時、初めてそれらの話を詳しく聞いた。

…俺も冷たいもんだ。

家族の職業もきちんと知らないなんて。

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