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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/07 03:22:51

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「母さん、これ見て。」

あたしが聖を抱っこして広縁で庭を眺めてると、麗が写真を持って来た。

「わあ、綺麗。」

その写真は、麗がドレスの衣装選びに行った時の物。

あたしもついて行きたかったんだけど…

最近、どうしたのかな…

すごく、眠くて。

ボンヤリしてる事が多くて。

貴司さんに、病院に連れて行かれてしまった。


貴司さんも先生も、あたしにはハッキリは言わなかったけど…

貴司さんが家族にコソコソと話してるのを見てたら…

唇が『産後鬱』って動いてた。

…あたし、二度目とは言え、二十年以上ぶりの出産で…

でも、妊娠中はすごく楽しかったし、お産も楽だったし…

みんなが世話してくれるから、育児だって…なんちゃってみたいで…

ストレスなんて、溜まってないんだけどなあ…

反対に、こんなに楽させてもらっていいのかなあ?って思うのが…ストレスになってるとか?

…まさかね。


だけど、いつもボンヤリしてるあたしでも、目がパッチリしちゃうほど…

麗のドレス姿が可愛い!!

「うわ~、どれにするの?どれも可愛い!!」

麗に一枚ずつ並べてもらって、あたしは超笑顔でそれを見た。

本当、可愛いなあ…麗、良かったよ…

「…ねえ、母さん。」

「ん?」

「あたし、お嫁に行っても、毎日来るから。」

「…え?」

麗の言葉に、あたしは写真から顔を上げる。

「だって…母さん大変でしょ?おばあちゃまは華月を見てるし…ノン君とサクちゃんだっているし…」

麗が遠慮がちにそう言って、あたしは聖を見て、また麗を見て。

「えー、大丈夫よー。知花だって仕事は控え目だし…。麗は新婚生活を楽しんで。それで、たまに来て惚気を聞かせてよ。」

あたしは笑ったんだけど…

「あたしが来たいの。」

麗は…真剣な顔。

「…もしかして、麗…マリッジブルー?」

「……」

綺麗なドレスを着て、ほんのり笑顔な写真の麗。

だけど…あたしの目の前の麗は、瞳一杯に涙を溜めてる。

「あらあら…どうしたのー?ノン君とサクちゃんが来たら、ほっぺた叩かれちゃうよ?」

あたしは聖を座布団の上に寝かせて、ティッシュを麗の目元に当てた。

「ふっ…うん…ほんと…叩かれちゃうよね…」

最近パワーを増したノン君とサクちゃんは、誰かが泣いてると無言で走って来て。

「やっ!!」

そう言って、頬を叩く。

本人達は、急いで涙を拭かなくちゃ!!って気持ちなのかもしれないけど…

ちっちゃな手の平から繰り出される渾身の一撃は、結構痛い。

千里さんと知花にこっぴどく叱られてるんだけど…

二人は、自分達が叱られる事より、誰かが泣く方がイヤらしい。


「あたし…自分でも、こんなに急に…結婚なんて…」

麗の涙が止まらない。

ああ…そっか。

お見合いの席に乗り込んできた陸ちゃんにプロポーズされて…

まだ一ヶ月も経ってないもんね。

あれよあれよと結納して…五月には結婚…だもん。

本当、スピード婚。

あたしは、麗の頭を撫でながら。

「うんうん。自分でもびっくりしちゃうよね。」

そう言った。

「でも、カッコ良かったなあ…麗はどこですか。って乗り込んできた時の陸ちゃん。」

「……」

「麗がお見合いするって言った時から、ずっと…違和感だったから。あー!!王子様が助けに来てくれた!!って、そう思っちゃった。」

「…王子様かなあ…」

「王子様でしょ?あんなにカッコいい人に、他の役名なんてつけられないよ。」

「ふふっ…」

麗が小さく笑ってくれて、ホッとした。

そっか…麗も必死なんだよね…

現状に追い付けてないんだね…。


「帰りたい時には、いつでも帰っておいでね。お茶と羊羹だして待ってるから。」

背中をポンポンとして言うと。

「あたしはカステラがいいな…」

麗は、涙を拭きながらそう言った。

「分かった。それと、ドレスは?どれにするの?」

並んだ写真を見ながら言うと。

「どれがいい?」

麗が、あたしの顔を覗き込んだ。

「え?あたしが決めるの?」

「うん。決めて。」

「……」

あたしはもう一度、写真を食い入るように見る。

「あはは。近いよー。」

麗は笑ったけど、娘の晴れ舞台のドレス。

一番似合う物を選びたい!!

「このマーメイドタイプは素敵だけど…麗のタイプじゃないなあ。」

「えー、そう?あたしはいいと思ったんだけど。」

「麗、顔は可愛いけど胸が貧相だから、もっとボリュームがあるドレスの方が…」

「もー!!気にしてる事言うー!?」

あたしと麗がワイワイとドレス選びをしてると。

「何?楽しそう。」

知花が、ノン君とサクちゃんを連れてやって来た。

「華月は?」

あたしが問いかけると。

「大部屋でおばあちゃまと寝てる。」

知花は、唇の前で人差し指を立てて、声を潜めて言った。

「わー、うややちゃん、きれー。」

サクちゃんが、写真を指差して言った。

「おひめしゃまみたい!!」

ノン君も、バンザイしてそう言って…

「ほんと?嬉しいな~。」

麗がノン君を抱きしめる。

「どれがいい?」

麗が二人に問いかけると。

「しゃく、このうややちゃんがいー。」

「ろんは、このうややちゃんー。」

サクちゃんが知花の膝でフリルたくさんのドレスを指差して、ノン君は麗の膝で光り物が散りばめられたゴージャスなドレスを指差した。

「姉さんはどう思う?」

「うーん。どれも似合うけど、マーメイドタイプは…」

「あっ、もー!!母さんにも言われた!!胸が貧相って!!」

「えっ、違うよ。光史のお嫁さんになる瑠歌ちゃんが着るらしいよって言いたかったのに。」

知花の言葉に、麗は口をあんぐり開けて。

「…聞いて良かった…確かモデルさんだったよね…」

続いて、ガックリうなだれた。

「あら、麗だってモデルみたいよ?このドレスなんて、ウエディング雑誌の表紙にしちゃいたいぐらい。」

知花が選んだ一枚は、プリンセスラインのドレス。

「あたしもそれが好き。」

その写真を覗き込んで言うと、麗はあたしと知花の顔を交互に見て。

「…あたしも、それが好きだなあって思ってたの…」

少し照れくさそうな顔をして…笑顔になった。

「かあしゃん、しゃくもドレスきたい~。」

サクちゃんが目をキラキラさせて知花におねだりしてる。

うーん!!可愛い!!

「ろんも~。」

ノン君の言葉に、あたし達は顔を見合わせて苦笑い。

知花の結婚式の時も、そう言ってあたし達を悩ませたノン君。

似合うだろうけど…ダメダメ!!


「…華音はドレスはやめておこうね。」

知花が笑いながらそう言うと。

「えー、しゃくとおんなじがいい~。」

ノン君は、天使の笑顔…

ああ…幸せだなあ~。


すごく…幸せなんだけど…


何か、すごく大切な事を忘れてる気がしちゃって…

ここんとこずっと、ずっと…



モヤモヤが取れない。

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