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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/06 22:59:22

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「今日、家内が桐生院に行っています。」

「…何のために?」

「家内とさくらは面識がありません。」

「おまえ…」

つい…立ち上がった。

まさか…まさか、また…

「まさか、またさくらの記憶を消すつもりか!?」

二階堂翔の前に歩み寄り、胸元を掴んだ。

俺に胸元を掴まれた二階堂翔は動じもせず。

「あの事件を…思い出させたくないんです。」

俺の目を見て言った。

「…思い出したとしても…昔の事だ。」

「一人で大勢を撃ち殺した事実を、受け止められると思いますか?」

「……」

「今、さくらは…子供も産んで幸せなのでしょう?」

心臓が跳ね上がった。

まるで…

まるで、全てを見透かしているかのような、二階堂翔の眼差し。


「私にとっても…忘れられない、そして…忘れてはならない事件です。」

「……」

「だが…さくらには、何も負わせたくないのです。」

「なぜ…」

俺は…二階堂翔の胸元から手を離して…問いかける。

「なぜ、そこまで…さくらのために?」

俺の問いかけに、二階堂翔は一瞬窓の外を見て…それから、自分の足元に視線を落とした。

「…さくらには、兄弟のように育った『ヒロ』という存在がいました。」

ふいに…蘇る、あのトレーラーハウスでの出来事。

さくらと一緒に育ったという『ヒロ』は、さくらに夢を追え、と…


「ヒロは…ずっとさくらを想い続けていました。」

「……」

「ですが、さくらはあなたと…」

二階堂翔の向かい側に腰を下ろす。

「事件のあった日…ヒロは日本で結婚式を執り行っていました。」

「…結婚?」

「はい。もちろん…二階堂で働く女性とです。」

二階堂に生まれた者は…そこの人間としか縁がない…と言う事か。

「ヒロは…事件にさくらが関わってしまった事…そして、記憶を消された事に酷く憤慨しました。」

俺が知る…唯一の、さくらの『身内のような者』だった。

怒って当然だ。

「それで…一度、あなたの屋敷に忍び込んで、さくらの記憶を戻そうとした事があるのです。」

「えっ?」

初耳だった。

もっとも、サカエさんが俺には話さないだろうが…


「幸い…サカエが見付けて事なきを得ました。」

「…だが、いっその事…」

「あなたは、さくらの記憶が戻っても自分が受け止めた。と、仰るでしょうが…戦士として育った私達が、そういった時に取る行動は…」

「…死…のみか。」

「はい。」

「……」

もう…溜息も出ない。

昔の話だ。

全てが。

…だが…

今のさくらの幸せを、奪いたくはない。


「ヒロには…さくらに関する一部の記憶がありません。」

「……」

何のために?とは思うが…

俺には、こいつらの頭の中が分かるはずもない。

話されたところで、理解できるとも思えない。

「サカエさんが?」

「はい。」

「…そうか。」

「ヒロは…私の片腕として、よくしてくれています。そんな彼の願いを…叶えたいのです。」

「…彼の願い?」

二階堂翔は、ゆっくりと立ち上がって。

「あなたと…さくらが結ばれる事です。」

俺を…見下ろして言った。

「……バカな。」

俺は…額に手を当てて笑った。

「バカな事を言うな。俺からさくらを引き離したのは、おまえだろ?」

「…でも、あなたは…さくらと完全に引き離されたわけではないでしょう?」

「……」

「あなたとさくらは…ずっと繋がって行くはずです。」


俺は勢いよく立ち上がると、ドアを開けた。

「…繋がって行くとしても…」

「……」

「俺とさくらは、結ばれない。」

「……」

「帰ってくれ。」


まるで…何か、夢でも見ているような気分になった。

あいつの話が本当だとすれば…

まるで…貴司は二階堂に動かされて…俺と付き合っているようにも思える。


だが、もう…

何が正しくて、何が間違いなのかも分からない。


俺はただ…


さくらの幸せを強く願う…


一人の男に過ぎない。

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