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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/06 20:27:56

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「さくら。」

大部屋に戻ると、貴司さんに呼ばれた。

「はい?」

「座りなさい。」

「……」

な…何だろ。

すでに座ってる貴司さんとお義母さんと、千里さんと…

そして、麗と陸ちゃん。

すごく…重苦しい雰囲気…

さっきまでいた子供達がいないけど、もう寝たのかな?


あたしと知花と誓は、それぞれ定位置に座って…誰かが口を開くのを待った。

だけど…

誰も何も言わない。

どうして?

なんで、こんな雰囲気に?


「…もう一度聞く。」

貴司さんが、低い声で言った。

「君の家は、ヤクザ…と?」

「えっ?」

声を上げたのは、誓だった。

あたしは…驚きすぎて、声が出なかった。

ヤクザ…?


「はい。」

陸ちゃんは、真っ直ぐな目をして返事をした。

そんな陸ちゃんを…知花は真剣な顔で見てる。

「特殊な家業です。継いでるのは俺と双子の姉夫婦で、俺は一切関わらせてもらえません。」

「関わらせてもらえない?まるで、関わりたいみたいに言うね。」

「そうですね…後ろめたさはずっとありますから。」

「後ろめたさ?何のだね。」

「…俺一人だけが、好きな事をしてしまっているという罪悪感です。」

「……」

貴司さんは、難しい顔をしてる。

「本当なら…俺が継ぐべきだったのに。夢を持ってしまったがために…姉が俺の代わりに。」

…夢を持ってしまったがために…

その言葉が…すごく悲しく聞こえた。

夢を持つって、本当は素晴らしい事だよね?

誇るべき事だよね?

なのに…まるで夢を持って悪かったみたいに…


だけど、陸ちゃんの言ってる事が…

なぜか、あたしには響いた。

夢を持つって…当たり前じゃない人もいるんだよ。

持てない人…

生まれた時から…ただそれだけのために生きる環境…

「……」

何だろう…

この感覚…

二階堂…


「申し訳ないが、君には…」

貴司さんが何か言いかけた時だった。

「陸ちゃん、本当の事言ったら?」

知花が…陸ちゃんを真っ直ぐ見たままで言った。

「…本当の事?」

貴司さんだけじゃなく…千里さんもお義母さんも、知花を見た。

「え…知花…どうして…」

一番驚いた顔をしたのは、陸ちゃん。

「知ってるよ、あたし。陸ちゃんちが…本当はヤクザじゃないって。」

「えっ?」

その言葉に、全員が驚いた。

奪いに来られたはずの麗までもが。


「あたし、アメリカで襲われた事があって…あの時は光史が助けてくれた。」

知花は、あたし達の顔を見渡して話し始めた。

「でも、犯人を捕まえてくれたのは、陸ちゃんの…家業の人達だよね?」

「……」

陸ちゃんは…無言。

「光史が言ってた。陸には強い味方がいるからって。その意味が…あの時は分かんなかったんだけど…」

「どういう事だ?捕まえてくれたって事は…」

千里さんが知花に問い詰める。

「陸ちゃんの実家は…ヤクザじゃなくて」

「ヤクザだ。」

知花の言葉、遮るようにして…陸ちゃんが言った。

「…陸ちゃん…」

「…うちは、危険な家業です。だから…本来なら、似たような家業同士で結婚するのが筋なのかもしれません。でも俺は…」

陸ちゃんがそこまで言うと。

今まで黙ってた麗が。

「…陸さん。」

「?」

「もし、本当に…あたしをお嫁に欲しいって思ってるなら、正直に話して。」

キッと陸ちゃんの目を見据えて言った。

「あたしの大事な家族に、嘘なんてつかないで。」

「……」

しばらく…麗と陸ちゃんは見つめ合って。

そして…陸ちゃんは、一度小さく溜息をついて。

「…だな。」

目を閉じて…笑った。

それから、すうっ…て息を吸って。

「…うちは…」

貴司さんの目を見据えて言った。

「特別高等警察の、秘密機関です。」

その言葉に…あたしは…

誰かの背中を…思い出しかけていた。

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