ブログランキング7

いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

  • 記事数 2420
  • 読者 651
  • 昨日のアクセス数 34254

テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/06 16:59:46

  • 77
  • 0

「知花。」

俺が声をかけると、エスカレーターに乗りかけた知花は俺を見付けて嬉しそうな顔をした。

急がなくてもいいのに、エスカレーターを小走りに降りて。

「お待たせ。」

ロビーで待つ俺に駆け寄った。

「走らなくてもいいのに。」

「だって…待ち合わせて帰るなんて、嬉しくって。」

「……」

…ちくしょう…

こいつは…

なんだって、こんなに可愛いんだ!!


手を取って引き寄せると。

「…もう。こんな人の多い所で…」

知花は少し照れくさそうに首をすくめた。

「いーだろ?家に帰ったら、おまえは子供達にとられちまうんだから。」

そう言いながら、指を絡める。

「そんなの…千里だって、華月に夢中になるのに…」

赤くなる知花を見るのが快感で、つい顔を覗き込みながらそんな事を繰り返してると…

「もー、どこの高校生カップルかと思っちゃったよー。」

…背後から、能天気な声。

「…邪魔すんな。」

恨めしそうな顔で振り返ると。

「ま、神の元気の源だもんね。仕方ないか。」

アズは手をひらひらとさせながら。

「知花ちゃん、またね~。」

「あ、はい…さよなら…」

エレベーターを上って行った。


「…さ、軽く茶でも飲んで帰るか。」

アズの姿が完全に消えたのを見届けて、そう言うと。

「え?でも時間…」

知花はキョトンとして、ロビーの時計を見た。

今夜は来客があるとかで、食事会だから早く帰って来いと言われた。

が、18時までに帰ればいいらしい。

「おまえと二人の時間も欲しいなーって思って、一時間早く言った。」

「……」

知花は無言で瞬きを数回。

だが…赤くならねー…な…

「…嘘ついたから…怒ったか?」

少し心配になって、顔を覗き込んで言うと。

「…ううん…」

知花はうつむきがちに、小さく言った。

「…こんなに幸せで…いいのかなあ…って…」

「……」

「何だか…怖くなっちゃう…」

「……」

もちろん…ハートを射抜かれた俺は…

「…バカだな…」

ロビーの真ん中で、知花を抱きしめる。

「えっ…あ…千里…ちょ…」

「マジ、愛しくてたまんねーよ…おまえが。」

「…恥ずかしいよ…」

知花が腕の中で何か言ってるが、聞こえやしない。

俺は知花をギュウギュウと抱きしめて、何なら濃厚なキスでもしたいぐらいだったが…

「また千里か。家でやれよ。」

ナオトさんに、頭を叩かれて…踏みとどまらされた。



「それでね。」

「……」

「…聞いてる?」

「ああ。」

「…あの…そんなに…」

「何。」

「…そんなに見ないでよ…」

「何で。」

「…恥ずかしい…」

そう言って、知花は下を向いた。


事務所の近くのカフェ。

知花とここに来るのは初めてだ。

奥のテーブルで、俺達は向かい合って座って…

ほんと…俺の嫁さん、可愛いぜ…って、じっと見つめた。


大部屋で飯を食う時は、知花はだいたい俺の隣だ。

だから、こうして正面から顔を見るのは…すごく新鮮な気がする。


「続きを聞かせてくれ。」

知花の話す子供達のエピソードが、めちゃくちゃ面白い。

毎晩、その日にあった事をベッドで話したりはするが…

こうして正面で顔を見ながら聞くと、またいつもと様子が違って楽しいもんだ。

「……」

知花は少しだけ唇をアヒルのようにした後、話し始めた。

「…聖と華月がね?同時に泣き始めたと思ったら、同時に泣き止んだりして、華音があたしに『スイッチどこにあるの?』って聞くの。」

「ふっ…」

「ほんと…聖と華月って双子みたい。」

そう言って、知花はカップを手にしてホットミルクを飲んだ。


…周りは俺の事を『病気だ』ぐらいに思ってるかもしれねーが…

自分でもそう思う。

今、知花が持ったカップにさえ妬きそうだ。

大事そうに両手で包まれて…

羨ましい。


「次のオフ、じーさんち行かねーか?」

「あ、行きたい。」

俺の提案に、知花は笑顔。

俺の身内にも、本当に良くしてくれる。


「おじい様が買って下さった子供達の服、着てる所見ていただきたいし。」

「そんな事したら、別荘でも買ってくれるかもしんねーな。」

「もうっ。」

30分ほど、有意義な時間を過ごして。

名残惜しいが…早めに帰る事にした。


「ところで、来客って誰だ?」

一緒に帰るって分かってたんだから、車で来ても良かったが。

手を繋いで歩きたかった俺はチャリ。

知花は俺の手元を気にしながらも、絡めた手を離さずにいてくれる。


「さあ…あたしも誰かは聞いてないの。」

「へー…堅苦しい客じゃなければいいんだけどな。」

それから、少しお互いのバンドの話にもなったが…

「知花。」

「ん?」

チュ。

「…もー…」

「今なら誰も見てない。」

そんな事の繰り返しで…早めに帰るつもりが、いい時間になった。


「ただいまー。」

裏口から入って、二人で大部屋に入ると。

「おかえりなさーい。」

義母さんが…少しいい格好をしている。

「…何の席っすか?」

俺が首を傾げて問いかけると。

「もう…言ってもいいのかなあ?」

義母さんは、ばーさんを振り返って問いかけた。

「麗のお見合い相手が来られるんですよ。」

「……」

「……」

ばーさんの言葉に、俺と知花は顔を見合わせた。

…見合い相手が来る…!?

同じテーマの記事

コメント0

しおりをはさむ

このページのトップへ

GIRL’S TALKにログインする

Ameba新規登録(無料)はこちら

9/23 編集部Pick up!!

  1. 友人の結婚式に呼ばれず仲間外れ
  2. 妊娠報告に「バカなの」と義両親
  3. 荷物の上に座られてモヤモヤ

人気ブログ記事ランキング

  1. 1

  2. 2

  3. 3