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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/06 15:03:09

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千里さんの言葉に甘えて、あたしは『表通り』に繰り出した。

うーん…

すごく久しぶり!!

こういう…ドキドキするようなお店が並んでる通り!!


まずは、雑貨屋さんに入った。

あっ、麗に似合いそうな髪飾り~!!

これ、どうやって作ってあるんだろう?

あたしは、それを手にして、裏までじっくり見た。

ふむふむ…ここをボンドでくっつけてるのか…

糸で固定する手もあるね…


あまりにも一つ一つの商品をジロジロと眺めすぎて、店員さんが怪しそうな目で見てる事に気付いた。

あたしは苦笑いをしながら、雑貨店を出る。

ふう…

あっ!!音楽屋!!

これが千里さんが言ってた楽器屋さんねー!?

「……」

入ろうとして…足が止まった。

…何だろう…この感覚…

あたし…ここ、来た事…ある…?


「すいません。」

「あっ…ごめんなさい。」

後ろに人がいる事に気付かなくて、慌ててドアの前から避けた。

ドアの向こうには、知花が載ってるかもしれない音楽雑誌のコーナーとか…

その奥には、楽器のコーナーもあって…

そこには、マノンさんのポスターが見えた。

…いつだろう…

あたし…ここに…来たよね…?

それで…何か雑誌を読んだような…

「……」

すごくモヤモヤしてしまった。

せっかく千里さんに出かけさせてもらったのに…

「…ダメダメ。」

あたしは音楽屋に入るのをやめて、その近くにあると聞いた『カナリア』に足を運んだ。


『カナリア』は…間違いなかった!!


「この刺繍、すごい…」

あたしがベルベッド生地のワンピースを手に、わなわなと震えていると。

「それ、素敵でしょう?」

メガネが素敵なご夫婦が、ニコニコしながら近寄って来られた。

「ここまで細かくやってあるのに、重たくないですね。」

「特殊な刺繍糸らしいですよ。独特な光が何とも言えないでしょう?」

「血が騒ぎます…」

あたしがそれを手にしたまま唸ってると。

「お裁縫、お好きなんですか?」

奥様の方に問いかけられた。

「ええ、好きです。自分が着る服は、ほとんど作ってます。」

「えっ!!」

そのご夫婦、あたしを上から下まで眺めて。

「今日のこの服も?」

目を丸くされた。

「はい…ちょっと、この辺ほつれちゃってるけど…」

今日のあたしは、膝下までの丈のワンピースの上に、がっつり縄編みをしたセーター。

その上に、ダッフルコート。

お義母さんが裁縫箱に溜め込んでた、クルミみたいなボタンがお気に入り。


「すごい…この縄編み、すごく独特…」

二人に褒めちぎられて、ちょっと嬉しいけど恥ずかしい…

「服飾関係の学校に行かれたの?」

「いえ…ただの趣味で…」

そこですごく話が盛り上がって。

さっきまでのモヤモヤが吹っ飛んだ。

カナリアのご夫婦に感謝!!


結局、あたしは何も買う事なく…

ご夫婦とは、連絡先交換をした。

千里さんが、ここの常連だと話すと…

「もしかしてご主人!?」

って…

娘婿と言っても信じてもらえそうにない気がして、身内の婿です…って笑って誤魔化した。

そんなに若く見られてるって思うと…

ちょっと…嬉しいって言うより…トホホ…って気持ちになった。

知花にも、千里さんにも申し訳ない気分。


だってあたし…

4月で40歳だよ!?


カナリアを出て、もう一度表通りに戻ると…

『ダリア』ってお店が目に入った。

んー…

いい香りがする。

千里さんにも、お茶して来いって言われたし…

入ってみようかな。


ドアを開けて中に入ると、外から見たよりもずっと広いお店だった。

奥の方はテーブル席がたくさんあって、若い子が集まりそうな雰囲気。

だけど、カウンター席はシックで大人な雰囲気。

さっきすごく若く見られたのを思い出したけど…あえて、あたしはカウンター席に座った。

「いらっしゃいませ。」

「こんにちは。」

「メニューどうぞ。」

「あ、どうも。」

メニューを渡されて、上から下まで眺めて…

「んー…アメリカンコーヒー。」

珍しく、コーヒーを飲んでみる気になった。

「はい。少々お待ちください。」

マスターかな?

優しそうな男の人。

貴司さんより少し上ぐらいかな。

さりげなく店内を見渡す。

観葉植物…きれいにしてあるなあ…

それと、至る所に飾ってあるレコードジャケット…

…あ。

Deep Redのレコードだ…

つい…目が釘付けになった。

…もう、思い出。

あたしの想いは、現在進行形じゃない。


「お待たせしました。」

目の前にコーヒーが運ばれて。

あたしは、そのいい香りに目を細めた。

久しぶりだなあ…コーヒー。


窓の外を眺めたり、流れてくるBGMに耳を傾けながら、コーヒーを楽しんでると…

ふと…

聴いた事のある声が…


「このバンド…」

あたしがつぶやくと…

「知ってますか?俺の友人のバンドなんですよ。」

マスターが笑顔でそう言われた。

友人のバンド…

友人…

この声…


「あたし…このボーカルの人から、話を聞きました。」

…あたし…何言ってるんだろ。

でも…そうだ…

あたし、この声の人から…

「え?廉の…知り合い?」

廉…?

「…名前は…思い出せないけど…」

そう…

名前は分からないけど…

彼は…あたしに…

「宝石店で、彼女に指輪を…」

「……」

マスターは、驚いた顔であたしを見てる。

「彼女が…この人の声を聞いた時に、『あなたの声は瑠璃色みたい』って言ったから…娘さんの名前は『瑠歌』にした…って。」

「え…き…君は…その話をどこで…?」

「…どこだろう…でも…この声の人に聞きました。それで、誰かに…彼女と娘さんを紹介するって…」

…どこで?

あたし…この話、どこで聞いたの?

どこの宝石店?


急に…胸の奥の方がざわついて。

頭の中のモヤモヤが、少し晴れて来る気がした。

それが晴れたら…あたし…

何か…

思い出すの…?


「君…その話…」

マスターに声をかけられて顔を上げると、時計が目に入った。

「あっ!!こんな時間!!」

わー!!ヤバいよー!!

千里さん、一人で大丈夫かなあ!?

「ごちそうさまでした!!」

あたしはお金をカウンターに置くと、マスターに呼び止められてるのにも気付かずに、外に走り出た。


そこから桐生院まで走って帰って。

慌ててた事と…

さっきの…あたしの思い出なのか…妄想なのか…

あの声の主を知りたいと思う気持ちとで…


いつもなら気付く、なっちゃんの気配に。

あたしは…気付かなかった。

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