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Love Struck!21話-7

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/03 14:53:36

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21-7
「よくありませんっ。やった後じゃ遅いんですっ」

 勢いで言ってしまった言葉。それが耳から身体の中心へ届く。
 
 いろいろぐちゃぐちゃ考えて、もっともらしい言い訳を作り上げたけど、要するに【初体験が不安】なのだ。いま自分が置かれている現状と、自分が思い描いていた恋愛の速度があまりにも違い過ぎるから、戸惑いが生まれてしまったのだ。

 恥ずかしさで身体が震えるよりも先に、理性が働く。

 こんな発言をする展開になるんだったら、最初からはっきり伝えれば良かったかもしれない……。

「……つまり、【今日はしたくない】ってことか?」

 溜息を吐こうとしていたところに、ストレートな質問。凹みそうだった気分を立て直し、これからの展開に負けないよう、身体の芯に力を入れる。

「はっきり言えば、そういうことです」

「参ったな……。俺はやりたいんだけど」

 目に見えて残念な顔をするのかと思った。けれど、無表情だった中村さんは笑った。

「そうか。ありすの言いたい【お友達】って【身体の関係がないお付き合い】だったのか」

「あたしはずっと、出会って、お話して、食事して、二人で過ごす時間を何回か繰り返して、それから告白されてようやく……、が自然なお付き合いだと思ってました。今の状況、自分が思い描いていたのと違うんです。頭と心が現状に追い付いていなくて……。だから、身体の関係に入る前にもう少し時間が欲しいんです」

「なるほどね」

 その横顔は笑っていた。納得らしき言葉を出した後、何も言わないまま車を走らせていた。だから、中村さんはあたしの思いを受け入れてくれたのだと思って、ホッとした。

 大きなホテルの地下駐車場に入っていく。

「ここって…………」

「俺のホテル。酔っぱらいのキミが言うには、俺の部屋から見える夜景がすごく綺麗なんだそうだ」

 俺の部屋、と言われて思い出した。オーナーのプライベートルームだという高層階の豪華な部屋。

 夜景を二人で見たんだろうか……。二人で並んで立つロマンチックな光景を思い描いたが、酔っぱらいという単語があたしを現実に引き戻した。

 記憶にないということは、かなりベロンベロンだったんじゃないだろうか。暴れたって話だし……。どんな状態で夜景を見たんだ、あたし……。

「覚えていないだろうから、もう一度見せたいと思って」

 その言葉にドキッとする。駐車場の奥、非常扉近くのスペースに車は停まる。中村さんはあたしに顔を向けると、目を細めて笑った。

 彼の気配りの才能は神の域に達していると思う。気持ちがわからない状態でも、そうやって気遣いをされたら心が大きく傾く。

 だけど。

「…………え? お部屋に行くんですか?」

 妄想より現実があたしを捕らえて離さなかった。顔が赤らむどころか、顔が引きつる。

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