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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/05 23:32:28

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「どの話もハズレだな。」

「!!」

驚いて肩を揺らした。

いつの間にか、後ろに貴司さん…!!


貴司さんはあたしの肩に手を掛けて、そのまま…大部屋に入った。


「…母さん…」

麗は泣きながら、あたしを見て…

あたしは、盗み聞きしてたのがバレて…とても…

「…ごめん…気になって…盗み聞きしてた…」

みんなに、謝った。

「私が後ろに立っても気付かないなんて、よほど集中してたんだろうな。」

貴司さんはそう言って、小さく笑った。

あたしはもう…小さくなるしかない…


「…容子が死んだのは、確かに…毒性の強い花に触れたりしてしまったせいだ。」

貴司さんは荷物を下ろすと、ネクタイを緩めて座った。

「大学病院でその話をされて…私は、うちにある花を全部調べたんだよ。」

「え…」

「誓が夾竹桃だと思ってた花は、ナデシコだ。毒性がないわけじゃないが、花びら少量じゃ効かない。容子は解毒剤も飲んでいたしな。」

「…そんな…」

誓が、崩れるように座った。

「僕は……」

「…誓。」

それまで黙ってた千里さんが、誓の前に立って。

「おまえ、失敗に終わったとは言え…実の母親に何てことしやがる!!」

そう言って、誓の頬を平手打ちした。

「千里さん!!」

お義母さんが止めに入ったけど、千里さんは続けて…

「麗!!おまえもだ!!」

麗の頬も…平手打ちした。

「…千里君、全ては…私が原因だ。子供達は…」

「は?何言ってるんすか。」

「……」

「麗、嫌なら嫌って、ちゃんと言えば良かっただろ。味方が自分しかいない?勘違いすんな。その勘違いのせいで、自分で首絞めてただけだろうが。」

「…うっ…うっ…」

「誓。おまえ、良かれと思ってやったんだろうけど…結局は麗が殺したって事になったままだったんだよな。おまえ、何卑怯な事やってんだよ。男らしく母親に言えよ。こんなの良くないってな。」

「……」

「ばーさん、あんたもだ。麗がそこまで追い詰められてるって気付いていながら、どうして見て見ぬフリしてたんだよ。」

「……」

「なんで…」

千里さんは、悔しそうに前髪をかきあげて…

「なんで…なんでみんな、麗をほったらかしてたんだ!!」

その言葉に、麗はテーブルに突っ伏して泣き始めた。

誓も…下を向いたまま、顔を上げられない。

お義母さんも…貴司さんも…

伏し目がちに…何も言えなくなった。


あたしは…その光景を、少し離れた場所から見てる気分になった。

なんて言うか…

あたしが…いない間に起きた事。

あたしがあの時、貴司さんに何て言われようと…ここに留まっていたら…

そうしたら、誓も麗も存在してないけど…

こんなに、悲しい想いをしなくて良かったんじゃないかな…なんて思ってしまった。


だけど。

あの時…って思い始めたら、キリがない。

あたし、後悔だらけだもん。

だから…出来れば…


「…うん。麗もだし…その辛さや苦しみを、ほったらかしてたみんなも悪いね。」

あたしは、あっけらかんとして言う。

みんなは顔を上げてあたしを見た。


「でもさ、もう昔の事だよ。疑いは晴れた。ずっと抱えてた重たい物も、ここで吐きだして終わらせて…」

あたしは…麗の手を取って立ち上がらせると。

優しく…抱きしめた。

「これから、桐生院家は…また新しく家族になるんだよ。」

背中をポンポンってして言うと…麗はあたしの背中をギュッとして…泣き始めた。

「…辛かったね…麗。苦しかったね。これからは、泣いたり笑ったりして…もっと麗の気持ちを聞かせてね。」

「うっ…ふっ…う…ん…」

麗の涙が少しおさまった所で…次は、誓を抱きしめる。

「…誓だって、必死だったんだよね。その時のベストが、そうだったんだよね。」

「……カッコ悪いね…僕…」

「そんな事ないよ。誓はいい子。自慢の息子。」

「……」

それから…あたしはお義母さんも抱きしめた。

「何ですか…もう…」

お義母さんは涙声で。

あたしも…ちょっともらった。

「お義母さん…大好き…」

「…いやだね…いい歳して…」

お義母さんに、背中をポンポンってされて…あたし、ここにお嫁に来て良かったなあって…思った。

そして…

「…俺もっすか…」

千里さんも、抱きしめる。

「世界一のお婿さんよ。ありがとう。」

「……」

千里さんは、あたしから離れると。

「…叩いて悪かった。」

誓と麗を順にハグして…頬を撫でた。

それからあたしは…

「…貴司さん。」

「……」

戸惑ってる貴司さんに…手を差し伸べた。

嫌だよね。きっと。

分かってる。

でも、さっきは…あたしの肩に手を置いててくれたよ?

貴司さん。

あたし達、家族なの。

あたしが強い目でそう訴えかけると…

貴司さんは小さく笑って…あたしを抱き寄せた。

「…すまなかったな…さくら。」

「…え?」

「色々…本当に…」

「…これからも、よろしくね…貴司さん。」

「…ああ。こちらこそ。」

貴司さんの腕の中で…少しだけ目を閉じた。

そして…想った


なっちゃん…


バイバイ。

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