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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/05 18:30:08

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『わーあ。』

『わーあ。』

中庭側の廊下から、ノン君とサクちゃんの声が聞こえる。

ゆっくり目を開けると、二人は雪見障子のガラスの所から、中の間を覗いて声を上げてた。


夕べは…日付が変わって、間もなくして。

あたしは、男の子を出産した。

知花と同じ誕生日だ~…って、嬉しくなってる所に、麗が子機を持って来て。

あたしは…誓に『しっかりね』って、伝えた。

…知花…あれからどうしたんだろう…

あたし、すごくぐっすり眠っちゃってた…

ゆっくり身体を起こすと、障子の向こうの双子ちゃんは、遠慮がちにあたしを見て。

『しゃくりゃちゃん、いたい、ない?』

二人でそう言った。

「大丈夫よ。入っておいで。」

『おおばー、そとからみゆだけよー、ゆった。』

あら。

二人とも、ちゃんと言う事聞いてえらいなあ。

「じゃあ、おおばー呼んで来てくれる?」

『じぇす!!』

ふふっ。

二人ともよく言ってるけど、じぇすって何なんだろう。

ラジャーみたいなのかな?


「……」

隣で眠る赤ちゃんに…触れてみる。

…ちっちゃい。

知花も…これぐらいだったのかな。

黒い髪の毛はまばらで…あはは…ちっちゃな手…


「さくら。」

お義母さんより先に、貴司さんが…満面の笑みでやって来た。

「貴司さん…仕事は?」

「休むに決まってるだろう?こんな特別な日に…」

すごく…意外な気がした。

「素晴らしいよ…完璧な赤ちゃんだ…」

貴司さんが、赤ちゃんの頭を撫でながら言う。

「…完璧な赤ちゃん?」

何となく違和感で、問いかけると。

「…さくらによく似ている。」

貴司さんは、優しく笑った。

「えー?あたし、こんなにサルみたい?」

「失礼なお母さんだなあ?将来ハンサム間違いないのに。」

「もう……ところで…」

「知花か?」

顔を上げた貴司さんは、笑顔が引っ込んでて…

それで、ちょっと心臓が変な音を立てた。

「…何かあったの…?」

「女の子を産んだよ。」

「えっ?知花も産んだの?」

「ああ…だが…ちょっと調子が良くなくて、退院まで少しかかりそうらしい。」

「……」

産まれたって聞いて…

ちょっと浮かれかけたのに。

調子が良くないって聞いて…

すごく…沈んだ。

あたしはこんなに元気だし…赤ちゃんだって…

「さくら。」

あたしが沈んでるのが分かったからか、貴司さんは赤ちゃんを抱き上げると。

「名前、勝手に決めてしまった。」

愛しそうに…赤ちゃんの顔を指で触りながら言った。

「…名前?」

「付けたかったか?」

「う…か…考えてなかった…」

「知花の娘は…華月って名前らしい。」

「華月…」

「千里君が付けたそうだ。夕べは満月で、とても華やかな月に見えたらしい。」

そっか…

あたしには夜空を見上げる余裕なんてなかったけど…

千里さんは、色んな思いを持って見上げてたんだね…きっと。


「それで…この子には…聖と名付けたよ。」

「きよし…」

「聖なる夜に産まれたからね。」

「…聖この夜だね。」

「ははっ。麗にも言われた。」

貴司さんが…すごく幸せそうで。

あたしも、温かい気持ちになった。

これで、あたし達…やっと…本当の家族になれるのかな…。

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