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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/05 17:31:11

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「…え?」

貴司さんが次の言葉を言うより先に…あたしは駆け出してた。

「千里さん!!待って!!」

裏口から出かけようとしてた千里さんを捕まえて。

「知花…大丈夫なの?」

低い声で…問いかけた。

「…詳しい事は分かりません。とにかく行って来ます。」

「あたしも行く。」

あたしがそう言うと。

「さくら、待ちなさい。」

追って来た貴司さんに止められた。

「ここは千里君に任せよう。すぐに母さんと誓にも行ってもらう。私達は、麗と一緒に子供達を不安にさせないようにしていよう。」

「でも…」

「着いて状況が分かり次第連絡します。」

「……」

娘が…大変な時に…

あたし、どうして行けないんだろう…

妊娠なんて…

あたしが泣きそうになってると。

「…子供達を、よろしくお願いします。」

千里さんが、そう言って頭を下げた。

「……うん…」

知花のそばに付いていられない自分を呪いながら、千里さんに…

「絶対よ?絶対…すぐ連絡してね?」

両手で大きなお腹を触りながら、そう言った。

「必ず。」

強い目をして言ってくれた千里さんを見送って大部屋に向かってると…

「……」

この、痛みって…

「さくら?」

立ち止まったあたしに、貴司さんが声をかける。

「…産まれるかも…」

小さくそう言うと。

「えっ!!びょっ…病院に…誓!!車を出してくれ!!」

貴司さんは大きな声でそう言ったけど…

「ダメ!!」

あたしはお腹を押さえて、貴司さんに言う。

「中の間…中の間で、産む…」

「な…何言ってるんだ…」

「だって、千里さんから、連絡が来るんだもん!!」

「……」

貴司さんは少し呆れたように食いしばると。

「千里君から連絡があったら、病院に電話してもらうように麗に頼むから。」

そう、言い聞かせるように言った。

「ダメ!!誓には、知花の所に…行ってもらって…麗は、子供達を見てて…」

「さくら…」

「お義母さんと、貴司さんは、あたしについてて!!」

力を振り絞って、中の間に移動した。

貴司さんは…きっと、かなり無理をしたのだと思う。

あたしの腕と、腰を持つようにして運んでくれて…

部屋にたどり着くと、真っ青になってた。


「…一応、病院に電話を…」

そう言う貴司さんに。

「…絶対…ここで産むから…」

あたしは、譲らなかった。


それから間もなく破水して…

「さくら、もうすぐ先生が来て下さるから。」

お義母さんが、あたしの手を握ってくれた。

えっ…先生、わざわざ来てくれるの?

…弱味でも握ってるの?

なんて、ちょっと思った。


「僕、姉さんの所行ってくるよ。母さん、頑張って!!」

そう言う誓の手を握って。

「…よろしくね…誓、頼むわよ…」

あたしは、願いをこめた。

千里さんだって…一人じゃ心細いよ…

「…うん。」

握った手に力を込めて、誓は頷いた。

「…あたし、あっちで電話待ってるから…」

麗は…控え目に…そう言った。

子供達は…寝てるのかな。

良かった…。

「…連絡あったら…絶対、すぐ…」

「うん…分かってる…すぐ知らせる…」

これで…準備は出来た。

そう思った。

知花の時は…あたし、若かったし…初めての事で…

頭の中もパニックだったけど…

今度は…

大丈夫。


…すぐ、会えるよ…。

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