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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/05 09:35:49

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「千里さん!!待って!!」

俺が病院に向かおうとすると、義母さんが血相を変えてやって来た。

「知花…大丈夫なの?」

不安そうに聞かれて…だが俺は普通のトーンで。

「…詳しい事は分かりません。とにかく行って来ます。」

そう答えるしかなかった。

知花が倒れた。

いったい…何があったんだ…


「あたしも行く。」

「さくら、待ちなさい。」

義母さんの後を追って来た親父さんが。

「ここは千里君に任せよう。すぐに母さんと誓にも行ってもらう。私達は、麗と一緒に子供達を不安にさせないようにしていよう。」

そう言って、義母さんの肩に手を掛けた。

…親父さん、人前で義母さんに触れる事なんてあるんだな。

こんな時なのに、そんな小さな事に気が行ってしまった。


「でも…」

「着いて状況が分かり次第連絡します。」

「……」

泣きそうな顔の義母さんに。

「…子供達を、よろしくお願いします。」

そう言って、頭を下げた。

「……うん…」

義母さんは唇を噛みしめて。

「絶対よ?絶対…すぐ連絡してね?」

両手で大きなお腹に触りながら、そう言った。

「必ず。」

俺は車に乗り込んで、病院に向かった。

ほんの十分そこらの道程が…ひどく遠く思えた。

俺はどこに向かってるんだ?

知花は、俺を待っててくれるのか?


病院に着いて、病室に向かっていると。

「あ!!桐生院さん!!」

年配の看護師に呼び止められた。

「奥様、分娩室です!!」

「…え?」

「つい先ほど、陣痛が…」

看護師の様子がただならない気がして…

俺は、案内されるがまま、分娩室に向かった。

産まれるのか…?

頭の中、少しパニックだ。

予定日より、一週間早まるなんてのは普通なんだろうが…

よりによって、ストレスだとか倒れたとか…

そんな時に…


「ここでお待ちください。」

看護師がそう言って、分娩室に入って行った。


分娩室の外で、赤いランプを眺めた。

じっと見てたら消えるわけじゃないが…

早く…早く終われ。と…念じてしまう。

知花…苦しいんだよな?

俺は…何をしてやれるんだ…


「…あ。」

連絡してくれって言われたんだった。

分娩室の中の様子が気になりながらも…待合室に向かおうとすると…

「義兄さん!!」

誓が走ってやって来た。

「あ…あ、良かった。今、電話をしようと…ばーさんは?」

「それが…」

「ん?」

「お母さんが、産気付いちゃって…」

「…え?」

「姉さんは?」

「……」

俺は、振り向いて分娩室の赤いランプを見上げる。

「…え?」

「……」

「……」

俺と誓は…無言で顔を見合わせた。

こんな時…男って本当に…

無力だ。


日付が変わった頃…分娩室から、バタバタと人が出て来た。

「ご主人。」

誓と立ち上がる。

「あの、妻は…」

自分でもらしくねー声…と思った。

それほど…

俺は…

ビビりまくってる。


そんな俺に、医者は一言。

「…母子共に…危険な状態です。」

信じられない言葉を…発した。

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