ブログランキング16

いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

  • 記事数 3324
  • 読者 726
  • 昨日のアクセス数 13731

テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/04 18:36:08

  • 93
  • 0

臨月になって、あたしの部屋が二階から一階に移った。

あたしは平気なんだけどな~。

みんながうるさく言うから、仕方なく…中の間に居候みたいな感じになってる。


貴司さんは色々気にかけてくれて、たくさんの本や写真集や…CDを…

そう。

CDも。

中の間に並ぶCDの中に、いつの間にか…Deep Redが紛れ込んでた。

三枚組のベスト。

…そんなのあったら…聴きたくなるじゃない。

だけど、何となく…聴いちゃいけない気もして…困る。

困ってるのに…


「この曲が最高に好きなんだ。」

貴司さんは、まるで友達の部屋に遊びに来るみたいにして、中の間に来て。

Deep Redをかけながら…歌詞を読む。

…あたしがどんなに複雑かとかさ…分かんないのかな。

鈍感すぎるんじゃない?

って、ちょっと腹も立つんだけど…


もしかしたら、あたしが一人じゃ聴かないと思って…優しさでそうしてくれてるのかな…って思ってみたりもして…


今日は朝から少し暖かくて。

ノン君とサクちゃんと遊ぼうかなって思ってると、千里さんが事務所に連れて行ったみたいで。

なんだー、つまんなーい。って思って、知花とお茶しようとしたら…検診行ってていなくて。

うーん…じゃ、本でも読むか…って、並んでる本を眺めてて…

あ。

そうだ。

貴司さんが、面白い本があるって言ってたっけ。


めったにない平日のお休み。

ここんとこ、海外に行く事が多かった貴司さん。

今日は一日家でのんびりするって、大部屋でテレビ見てたっけ。


「貴司さーん。昨日言ってた本なんだけど。」

あたし、大部屋にいる貴司さんに声をかけた。

「本?どの本?」

「面白い本があるって言っ……」

あたしは大部屋に入りかけて…止まった。

そこに…なっちゃんがいたから。

「……」

つい、黙ってしまうと。

「…じゃあ、俺はこれで帰るよ。」

なっちゃんが立ち上がった。

「わざわざすいません。」

「いや、あまりおまえに出歩かせたくないからな。」

「…お気遣い、ありがとうございます。」

貴司さんはそう言って、なっちゃんに頭を下げた。

「あら、もうお帰りになるんですか?」

お義母さんはお茶を用意してたのか…お盆を持ったまま。

「ちょっと待って下さい。お帰りになるなら、これを持って帰って。」

そう言って、お盆をなっちゃんに持たせて…キッチンに向かった。

…何だか、お義母さん。

なっちゃんに、すごく慣れてるって言うか…

うん…

すごく、慣れてるよね。


あたしが黙ったまま突っ立ってると。

「さくら、座りなさい。」

貴司さんが、座布団をポンポンとして言った。

「あ…うん…」

よっこいしょ。って、心の中で呟きながら腰を下ろす。

なっちゃんは、お盆を持ったまま…そこから一つ湯呑を手にして、一口お茶を飲んだ。

「…いつ飲んでも、ここの茶は美味いな。」

「あら、ありがとうございます。」

お義母さんがそう言いながら、なっちゃんに紙袋を渡した。

「仕事の合間にどうぞ。いつも外食だと身体にも良くないですよ。」

「ははっ。いつもすいません。」

「お口に合えばいいのだけど。」

「どれも美味いですよ。煮物は特に最高です。」

「まあ、嬉しい事。」

…紙袋の中身は、お弁当らしい。

お義母さん、なっちゃんにお弁当作ってんの?

来るたびに?


…ヤキモチなんかじゃない。

そう言い聞かせながらも、あたしは悶々としてた。

ああ、やだ。

あたし…もう、なっちゃんとは何でもないのに。

同じテーマの記事

コメント0

しおりをはさむ

関連するブログ記事

  1. 40th 79

    09/05

    「…知花、帰ってるの?」あたしが誰にともなく問いかけると...

  2. 「華音!!」「きゃはははは!!」今日も知花はオフだっ...

  1. 『今日、高原さん連れて帰るんで晩飯お願いします。』千里さ...

  2. 「……」何だろ。何となくだけど…うちの中に…...

このページのトップへ

GIRL’S TALKにログインする

Ameba新規登録(無料)はこちら

11/21 編集部Pick up!!

  1. 子持ちが羨ましくて退職を決意
  2. 生後2週間 夫婦で寝顔を見てたら
  3. 作ったご飯を毎日こっそり戻す夫

人気ブログ記事ランキング

  1. 1

  2. 2

  3. 3