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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/04 14:57:21

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歌と同時に…スクリーンに映し出されたのは…

制服姿の、みんなやった。

…そういや、廉の奴…

いっつもビデオカメラ片手に、部室の様子を撮ってたもんな…

涼がオルガン弾いて、八木と臼井が腕組みして首を傾げる。

俺はそれを見て笑う。

アップを撮られたるーが、眉間にしわを寄せて逃げる。

それでも追いかける廉に、るーがカバンを投げつける。

…なんや…あの頃の俺ら…

ホンマ…

「……」

廉の歌声は、何回も聴いたはずやったのに…

この映像は…反則やで。

唇を噛みしめても、涙は止まらへんかった。

隅っこにおる涼は…両手で口を覆って泣いとる。

その隣の…るーも。


最後のサビの繰り返しで…

このプロモーションビデオを作った当時の廉の姿が登場した。

木の椅子に座って、アコギ弾きながら…歌う廉の姿。

たぶん…事件のあった頃やろな。


…俺が…最後に見た廉の姿は…

どうやったんやろ…

事件のあった日の事は…

今でも、ハッキリ思い出せん。

ただ…何回も廉の名前を叫んだ…そんな気はする。


廉との思い出は…悲しいままになっとった。

廉は…こんなに優しい笑顔の持ち主やったのに…


「明日がどうかなんて誰にも分からないから」

…なんや、おまえ。

身をもって教えてくれんで、ええわ。


スクリーンから、俺らに届けられたメッセージは…

ホンマ、最高のプレゼントやった。

やっと…

俺ら、やっと…


前に進めるんちゃうかな…。


「なんや、おまえ…いっそ変わってへんやん。」

俺がそう言うと、涼は少し唇を噛みしめた後で。

「…失礼ね。晋ちゃんこそ、相変わらず落ち着いてないのね。」

あの頃と…あんまり変わらん声で言うた。


セレモニーが終わって、ビートランドの別会場で宴が始まって。

思いがけず…涼と話す機会が。


「…ええ旦那やん。」

その機会をくれたのは、涼の…旦那やった。

千寿からも、話は聞いとった。

ホンマ…ええ男やなって、心底思うた。


「安心した。」

「…え?」

「おまえが、ずっと罪を背負うて生きてたら…なんて。」

「……」

「でも、あの旦那なら、安心やな。」

「…ありがと。」

会場には、臼井も八木も、誠司も勇二も…るーもおって。

なんや…同窓会みたいやな…て思うた。

廉が…幹事やな。


「やっと、楽んなれるな。俺も…おまえも。」

「そうだね…」

俺の呟きに、涼が少し泣きそうな顔をした。

なんでやねん。

俺は、昔みたいに涼の頭、グリグリして。

「これで、俺も肩の荷がおりた。そろそろ結婚でもしよかな。」

言うてみた。

「……相手、いるの?」

「俺が全然モテんみたいな言い方やな。」

「あ…それは失礼しました。」

「ふっ。ま、モテてないんやけど。」

実際、相手はおらん。

ま、モテてはおったけどな。


今までずっと…

涼の事しか頭になかったせいで、色恋沙汰に走るような事がなかった。

…これからは、アンテナ張って…嫁さん探しでもしてみよか…


そして俺は、このセレモニーから一ヶ月後。

20歳年下のセリーヌと、結婚した。

……親子ほどの年の差が恥ずかしい気がして、俺からは誰にも言わんとこ思うたのに…


『晋。記事見たぞ。』

『おまえ、結婚したの何で言わへんねん!!』

『親父、20歳年の差婚て本当か?』

『浅井君、おめでとう!!』

…俺は…

自分が有名人やって事…

忘れとったわ…。

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