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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/04 14:09:52

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一緒に暮らしとる間の千寿は、音楽と彼女の事で幸せいっぱいやった。

躓く事が多少あっても…そこから目を背ける事なく、真っ直ぐに立ち向かった。

そんな千寿に…俺は、恥じん親父でおりたい…て、奮起させられた。

…ホンマ、救われた。


全て、俺が壊してもうた。

そう思い続けたまんまやったけど…


『父の…素敵な仲間に拍手をお願いします。』

セレモニーが始まって、廉の娘、瑠歌が一人ずつをステージ上に呼んだ。

俺、臼井、八木、誠司、勇二、るー。

そして…涼。

涼は、なかなかステージ上に上がって来ぃひんかった。

会場が少しざわつき始めて…瑠歌が客席の一点を見つめて。

『お願いします。早乙女涼さん…前に来て下さい。』

そう言うた所で…

着物姿の涼が、ゆっくりと歩いて来た。


涼が来てたんは…誰に聞かんでも、分かった…言うか…

何となくやけどな。

何となくやけど…

あー、あの辺におるんちゃうかな。

そんな感じで、俺は振り向かんといた。

その、何となく…あの辺かな思うてた所から、涼が歩いて来たもんやから…

俺は、いっぺん下向いて笑うた。

臼井以外には、ホンマ…めっちゃ久しぶりに会う。

そん中でも…

涼とは、あの日…あの日以来や。


着物姿の涼は、当然やけど振り袖やない。

俺が見た、キラキラしたような綺麗な振り袖やなくて…

上品な奥様いう感じやった。

まあ…当然やな。

早乙女を継いでるんや。

…ホンマ…俺ら、住む世界違い過ぎたんやなあ…


「それでは、ここで曲を聴いていただくんですけど…」

俺らが一列に並んだ所で…瑠歌が言うた。

「実は、浅井さんたちにも秘密にしてたことがあります。」

「…秘密?」

俺はキョトンとしたまま瑠歌を見て、隣の臼井を見た。

臼井は首をすくめて『聞いてない』と一言。

「父は、曲に併せてプロモーションビデオも作っていました。」

会場から、歓声が上がった。

が…

俺は…口が開いたままやった思う。

廉が…プロモーションビデオを…?


「それでは…ご覧下さい。I WISH」

瑠音の言葉と共に、ステージのスクリーンに映像が映し出された。

曲は…瑠歌のリクエスト通り、俺と臼井でギターとベースのパートを録音して。

ドラムは、あれ以来叩いてない言うた八木の代わりに…

瑠歌を連れて来た責任として、光史に叩いてもろた。


ステージの端に移動した俺らは…戸惑いを隠せんかった。

涼と俺が終わりを迎えて以来…誰も繋がらんかった。

その仲間が、今…

廉のセレモニーに、こうして集まった。


スクリーンに『I WISH』の文字が浮かんで…

曲が始まった。



いつでも笑っていたいって

そりゃあみんな思うさ

だけどそうもいかないのが人生ってやつでさ

悲しかったり 苦しかったり

行き詰まったり 立ち止まったり

もがいてばかりの時 俺は思い出すんだ

あの笑ってばっかだった自分と

その時間を共にした仲間たちを


思い出にしがみついてるって?

そうかもしれないな

でもそんな人生があったっていいだろ

これから輝くために

過去に励まされる事があっても


なあ笑ってくれよ あの頃みたいに

少しずれたオルガン みんなで首傾げてさ

明日がどうかなんて誰にも分からないから

せめて今日は最高の笑顔で

みんなが幸せでいられるように


俺は祈るよ 俺は祈るよ

またそうやって笑える日を

俺は祈るよ

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