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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/04 10:07:49

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「こちらが完成品です。」

試写室で、深田の説明を元に映像の鑑賞を始める。

そこには、高原さんもいる。


『丹野廉』という、昔亡くなったボーカリストのセレモニーが行われるのだが…

「俺の企画が急過ぎて、映像の制作が間に合いそうにない。」

高原さんからそう聞いた私は…

「うちでやりましょう。」

即、引き受けた。


間に合いそうにないと聞いていたが、ビートランドの映像制作班もかなりの凄腕揃いなようで。

今回は共同制作という形で、少数精鋭の社員で極秘に進められた。

どちらの社員も刺激し合えたらしく、完成品はかなり精度の高い誇れる物となった。


「…素晴らしい。本当に、よく頑張ってくれた。なんて礼を言っていいか分からない。」

映像が終わった所で、高原さんが立ち上がって拍手をすると。

「あ…ありがとうございます!!」

どちらの社員も、涙を流して喜びあった。

…こういう現場を、私は目の当たりにするのが初めてで…

たまには、こうして社員達の頑張りを褒め称え、労う事をしなくてはならないな…と考えさせられた。

私は、文句は言わないが、褒める事もしない。

与えられた仕事をやるのは当たり前だと思っているからだ。

…幸い、社員は着いて来てくれているが…

それは、それなりの報酬を得られる事と、居心地の悪さがないだけで。

達成感と居心地の良さを問われると…希薄だったかもしれない。


「…高原さん。」

私はゆっくりと立ち上がって。

「今後も、こうした共同制作をお願いできませんか?」

高原さんに申し出た。

「え?」

「うちには、専門分野の中でも秀でた機械が揃っています。」

「……」

「そういう物を駆使すれば、今後のビートランドの映像は、ますます輝きを持てるはずです。」

「…なるほど。意外なところで業務提携の話になったな。」

高原さんは小さく笑って。

「よし。契約しよう。」

まさかの即答。

そして。

「おまえらも、ここでの編集作業には度胆抜かれたんだろ?」

ビートランドのスタッフに、そう言って笑いかけた。

「あ…あー…まあ…」

スタッフ達が顔を見合わせて笑うと。

「よし。俺は一旦帰るから…あ、映像忘れずに持って帰れよ?」

高原さんはそう言って、試写室のドアを開けた。

「あ、貴司。契約書を送ってくれ。」

高原さんが振り返ってそう言うと。

深田を始め…うちの社員三人が顔を見合わせた。

『貴司』が不思議だったらしい。

「分かりました。すぐに用意します。」

「ありがとう。じゃ、またな。」

「はい。ありがとうございました。」

ドアに向かって頭を下げると、社員たちも慌てて立ち上がって頭を下げた。

「…社長、高原さんと懇意だったんですね。」

深田が興奮した様子で近付いて来た。

「ああ…まあ、色々世話になる事が多くて。」

「俺、ずっと緊張してたんですよ~。あのDeep Redのナッキーですからね~。」

「…彼を知ってるのか?」

「えっ、社長。Deep Redを知らずに付き合ってるんですか?」

「……」

深田の言葉に、少しだけ目を細めて笑うと。

深田は口を開けたまま首を傾げて、情けなさそうな顔で私を見て笑った。

「そうだな。失礼だな。早速何か聴くとしよう。」

私がそう言うと。

「あっ、それでしたら、すぐに用意します!!」

深田はそう言って。

私が社長室に戻って間もなく…

「これ、Deep Redのベスト集です。かなりツボですので、是非!!」

そう言って、近くのCDショップで買って来たと思われる三枚組のCDを差し出した。

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