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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/04 08:50:05

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「千里君、一杯どうだい?」

仕事から帰ると、大部屋(さくらさんがそう呼ぶから、うつった)に、親父さんが一人でいた。

本音を言えば…早く子供達の寝顔を見て、シャワーして、知花の隣に潜り込んで眠りたい。

だが…

まあ、色々思う事もあって、付き合う事にした。


「忙しそうだね。」

「おかげさまで。」

「知花が言っていたが、アメリカに?」

「まだ本決まりではないんすけどね。行く事になったら、二ヶ月ほど。」

そう。

F'sのアメリカ進出を、何とか早く。と…高原さんが詰め込む詰め込む…

俺としては、知花の出産が終わってからが良かったが。

でも、産まれたら産まれたで離れたくないからな…

向こうの事務所との兼ね合いもあって、年内…しかも早ければ来月渡米する事になりそうだ。


「有言実行だね。」

「まだまだっすよ。」

親父さんと、ちびちびと酒を酌み交わす。

…そう言えば、親父さんは何で一人で飲んでるんだ?


「いつからここで?」

とりあえず、そう切り出してみると。

「ああ…高原さんと飲んで帰ったんだが、何となく飲み足りなくてね。」

「…そうすか。」

俺が思うに…

親父さんは、ここ数か月。

随分と酒を飲むようになった。

まあ、楽しそうに飲んでるからいいんだけどな…

ヤケ酒…では、なさそうだが…

違う意味が含まれてるんじゃねーか…?って。

つい、勘繰ってしまう。


「…聞いていいっすか?」

「なんだい?」

「…以前、親父さんには精子がないって。」

「ああ!!」

俺の問いかけに、親父さんが大声を出して。

「そうだった‼︎君には誤解させたままだった!!」

そう言って、自分の膝を叩いて笑い始めた。

「……」

その剣幕に、つい…俺がキョトンとしてしまうと。

「ああ…悪かったね。いや、実は…さくらにもう一人欲しいと言われた後に、検査に行ったんだよ。」

親父さんは、くっくと笑いながら、話した。

「それで…実は精子がある事が分かって。」

「それは…良かった。」

「それで、ついでと言っては悪いんだが…」

「はい。」

「誓と麗のDNA鑑定もね…したんだよ。」

「…え?」

「本当に…ずっと悪い事をしたと思う。」

「……親父さんの、子供だったんですか?」

「ああ。」

「……」

それを聞いた俺は…

嬉しいような、だが今までの二人への親父さんの態度を思うと…複雑な気持ちでいっぱいだったが…

「…今は、二人にも愛情が?」

俺は、親父さんの目を見て問いかける。

俺が知花と付き合い始めた頃…

親父さんは、あきらかに…双子に対して愛情が足りない風に見えた。

知花に注ぐそれ程の物が、二人に対しては感じられなかった。


「…時間を取り戻せるとは思わないが、誓と麗には…これからたくさんの愛情を持って、償いたいと思ってる。」

そう言った親父さんは、今までの笑顔を引っ込めて…真剣な目。

…嘘には思えなかった。

それに、俺がここに婿養子として入ってからは…

仕事で海外に行く事が増えた親父さんは、不在が多い分、家に居る時ぐらいは…とでも思うのか。

笑顔も増えたし、双子とも以前より接しているようにも見える。


「千里君。」

「はい。」

「君には…本当に感謝しているよ。」

「……」

「君のおかげで、家族が一つになれた気がするんだ。」

そんな事を言われた俺は…少し、のぼせ上ってしまったのかもしれない。

人数は多くても、バラバラだった兄弟。

自分の家、自分の居場所と呼べる物が見つからなくて、じーさんちに居座って…

そんな俺に、家族を一つにする力なんて…

しかし、素直に嬉しかった。

「…俺こそ、ここのみんなと家族になれて、マジで嬉しいっす。」

照れ臭かったが、そう言うと。

「これからも、よろしく頼むよ。」

親父さんが、猪口を掲げた。

俺は、くすぐったい気持ちでそれに応えて…

何も…


疑う事などしなかった。

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