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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/03 22:15:36

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俺達は、廉の娘をマジマジと眺めた。

「…すいませんが、そんなに見ないでやって下さい。」

見かねた光史がそう言うまで、気付かないぐらい…熱心に見入ってしまっていたらしい。


廉はボーカリストとしては、かなり男らしい人物だったが…

見た目は男らしいと言うより、美しい顔立ちだった。

娘の『ルカ』が、モデルをしているというのも頷ける。


「今日は…浅井さんにお願いがあって…」

ルカがそう言うと、晋は瞬きをたくさんして。

「あ…ああ、なんや。」

まだ、目の前のルカを廉の再来と思えて驚いているのか…

丸い目をしたまま返事をした。

「父が…曲を残してるんです。」

「…曲?」

それには、俺達全員が反応した。

「父の遺品として渡された荷物の中に…ダットが入ってました。」

ルカはそう言って、持っていた紙袋を晋に渡した。

「…廉が…」

「父がギターで弾き語りしている物です。できれば…これに音を重ねてもらえませんか?」

「……」

「FACEのメンバーで。」

「…FACE…」

晋が言葉を詰まらせた。


晋は、廉と臼井、そして渡米はしなかったドラマーの四人で、高校時代からFACEをやって来た。

第二のDeep Redと呼ばれるバンドがダリアに出ているという噂は、渡米していた俺達の耳にも入って来た。

Deep Redの活動が全米に留まらなくなった頃、FACEも渡米した。

俺達から見ると、女がついて来なかった。と、うなだれてプレイに支障をきたした晋も、怖い物なしにぶつかって来ていた廉も…アクの強い二人の影に隠れながらも、飄々と自分のプレイを確立させていった臼井も…

これからの可能性に満ち溢れて、眩しい存在だった。

…思えば、廉と晋だったな…

さくらがケリーズで働いているのを教えてくれたのは。

以前話した時に、晋は…さくらの事を覚えていなかった。

…もう、遠い昔の話だ。


「…ありがとな…」

晋はそう言って、ルカの肩を抱き寄せた。

その姿が、廉と重なる。

俺は…

「…よし。セレモニーをやる。」

立ち上がって、自分の机の上にスケジュール表を広げると。

「…9月22日。この日なら、誰もツアーに出てないしレコーディングもない。」

「た…高原さん…」

晋と臼井が、目を丸くした。

「おまえら、その廉の曲、ちゃんと形にして持って来いよ。」

俺がそう言うと、二人は顔を見合わせて。

「早速取り掛からな。」

「だな。」

笑った。

「それと…廉の特集を組んだ特別号を発刊しよう。もちろん、セレモニーの事も大々的に取り上げる。」

「おー…おいおい、来月やろ?また無茶な事を…」

マノンはそう言いながらも、ポケットから手帳を取り出して。

「広報の奴らに恨まれても知らへんで?」

カレンダーに書きこんでいる。

「ナオト、スタジオ階のどこかにレリーフ埋め込める場所はないか?」

「レリーフと来たか…どうせなら、みんなの目につく場所がいいだろ。スタジオ階のフロントフロアの柱はどうだ?」

「なるほど…」

面白いぐらい、頭の中が冴えた。

こんな感覚は…久しぶりだ。


「よし。動くぞ。」

「おう。」

「廉が残してくれたモン、ちゃんと世界に出してやらなな。」

俺達が立ち上がると、光史とルカは少し呆れた顔をしていた。

「なんだ。その顔は。」

俺が笑うと。

「いや…まさかこんな展開になるなんて…な。」

光史が、ルカと顔を見合わせた。

「おまえらはどういう関係なんだ?」

スケジュール表と書類諸々をかき集めながら問いかけると。

「え…」

二人は目をパチパチとさせて…赤くなった。

「…どういう縁でこうなったかは知らないが、光史、廉の娘だ。大事にしろよ。」

俺の言葉に光史は少しうつむいて、顔を上げた時には…

「プレッシャーですが、大事にします。」

久しぶりに見た…光史の、満面の笑みだった。

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