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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/03 21:47:32

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「……」

ダ…ダメだ…

あたし、顔が…

顔がニヤけちゃう…


光史をあたしのトリコにさせて、壊してやる作戦を計画してたはずなのに…

あたしは…

先に、光史に恋をしてしまった。

悔しいけど…

悔しいんだけど…

光史、すごくカッコいいし…

それに…

意外と優しい。


そして。

あたしが父親に抱いてた嫌悪感は…

光史が色々調べてくれた事で、取り除けた。


丹野廉。

父親は…母に指輪を贈ろうとしてた…って。

母は…愛されてた…。


「……」

クッションを抱きしめて。

一人きりの部屋で…あたしは何とも言えない溜息をもらす。

今、あたしが釘付けになってるのは…光史がドラムを叩いてる映像。

あたし、朝霧家の事は色々調べて来たつもりなんだけど…

光史がドラマーなんて、知らなかった。

本人に聞いてみると。

「ああ…うちのバンド、素性明かしてないからな。」

だって。


光史のバンド、SHE'S-HE'Sは…

ボーカル、ギター二人、ベース、キーボード、ドラムの六人編成。

認めてはいなかったとしても…父親がボーカリストっていうのは多少気になってて。

あたしは、FACEの音源を聴いたりした時期もあった。

カッコいいって思っても…認めたくなくて、聴くのをやめた。


「……」

あたしの意識が、テレビに映ってるSHE'S-HE'Sから…あたしが持って来た荷物に移った。

あの中に…まだ開けてない物がある。

それは…父の遺品として母が渡された物。

母は父の死を受け止められなくて、それを開けなかった。

もしかしたら、そこに…

父の愛を確かめられる何かがあったかもしれないのに…。


あたしは部屋の隅に置いてるトランクを開けて、その片隅に鎮座してる箱を取り出した。

ゆっくりと箱を開けると…

そこには、ビデオテープと、分厚いカセットテープみたいな物や…写真が数枚あった。

「……」

あたしは写真を手にして、それを眺める。

制服を着た…父親がそこにいた。

それは、あたしに似てる笑顔に思えた。

やがて制服姿はステージ衣装に変わり、笑顔は真顔になって…

父がステージの上で歌っている写真。

…そっか…ちゃんと頑張ってた人なんだ…

あたし、何も知らずに…母さんを騙した男だ…なんて思い込んで、バカみたい…

小さく笑いながら、手元の写真を進めていくと…

「…これは…?」

最後の一枚。

それは、あきらかにプライベートな物だった。

父親と、女の子と、浅井晋さん。

浅井晋さんは、高校時代から同じバンドでギターを弾いてた人だから…これまでの写真にも、たくさん写ってた。

だけど…誰だろう…

この、女の子。

…父と浅井さんも若いけど…

どう見ても、十代半ばぐらいにしか見えない女の子。

部屋の内装から見て、日本じゃないと思う。

じゃあ…デビュー後?


「ただいまー…」

「あ…おかえりー…」

「何してた?」

「あ…えっと…実は、父の遺品があって…」

「遺品?丹野さんの?」

「うん…まだ開けた事ないんだけど…」

ごめん、光史。

あたし、咄嗟に嘘をついてしまった。

あたしは一度開けた箱を、まるで初めて開けるかのように…光史と一緒に開けた。

「…丹野さんの、青春だな。」

光史は、中にあった写真を手に、そう言った。


あたしは…あの写真だけ。

その写真だけは…誰にも見せられない気がして。

自分の荷物の中に隠した。

何てことない一枚のはずなのに。

なぜか…三人の笑顔が…

あたしには、『秘密』に思えて仕方なかった…。

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