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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/03 08:00:25

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今日は…知花と千里の結婚式。

来たくなくても…いや、来たくないわけがない。

知花は、俺の…血を分けた娘だ。


だが、今日は父親として来たわけじゃない。

ビートランドの…二人が所属する事務所の会長として、来た。


ほぼ自由参加みたいなもんだ。

会場には、事務所で見かける輩ばかりがいる気がする。


そんな中…

桐生院家の人々が中庭に座っているのが見えた。

何かの打ち合わせか?

つい、小さく笑ってしまう。


その中に…さくら。


…妊娠したと聞いて…

俺は、不思議な気持ちになった。

知花を妊娠した事も知らなかった俺は…

今、さくらが…

さくらが、貴司の子供を…妊娠していると聞いて…

「……」

貴司の子供だ。

俺の子供じゃない。

そう…何度も言い聞かせている。


あの日…俺は貴司から、病院に来るよう言われて…

「…お願いします。」

気持ちなど…何もなかった。

ただ、もうそれに従わなければ…という思いしかなかった。

今まで、貴司を苦しめ続けて来たであろう事実…

俺の意に背く事ではあっても…

貴司の苦痛を…和らげてやりたくなった。


「高原さん。」

俺に気付いたのは、貴司の母親だった。

珍しい洋装姿。

一瞬…高原の母を思い出した。

「おめでとうございます。」

軽く会釈すると、俺のそばまで来た貴司の母親は。

「…あなたの娘でもあるんですから…あなたも、おめでとうございます。」

そう言って…少しだけ目を伏せた。

「あ、お祝いをありがとうございました。」

先々週、瞳が出産した。

俺にとっては…華音と咲華が初孫だが…

産まれてすぐ目の当たりにした孫は、なんとも…小さくてか弱く、かつ…命の強さを感じさせられて…

そばに圭司がいたが、俺は涙を我慢できなかった。


「いいえ、高原さんにはいつもよくしていただきますから。」

「……」

母親は…どこまで知っているんだ?

つい、色々勘繰ってしまう。

「…洋装をされると、随分雰囲気が変わりますね。」

間が持たなくてそう言うと。

「もう…曾孫達には、人見知りされて困りました。」

母親はハンカチを手に、照れ笑いをした。

「ははっ。実は俺も一瞬見間違えました。」

「…やっと、笑って下さいましたね。」

「……」

「これからも、知花と千里さん…そして…貴司やさくらの事も…よろしくお願いします。」

深々と頭を下げられて、少し困っていると。

「お父さん。」

後ろから声をかけられた。

「瞳…おまえ、体は大丈夫なのか?」

「病気じゃないんだから。もうすっかりよ。」

「映は?」

「今は圭司が見てくれてる。パーティーの時に交代しようと思って。どうせ飲めないし。」

瞳はそう言って、首をすくめた。

「娘さんですか?」

貴司が歩いて来て。

「ご出産おめでとうございます。」

俺と瞳に頭を下げた。

「あ…知花ちゃんの…?」

瞳は俺と貴司を交互に見て。

「東瞳です。お祝いをありがとうございました。」

「いえ、これから賑やかになられますね。」

「頑張ります。」

俺はこの時…

視界の隅にいる、さくらの反応を意識していた。

そして…

さくらの存在を知っている瞳の事も。


会話を交わす事もなく、式場へのアナウンスに歩き始めた時。

瞳が言った。

「…お父さん…」

「ん?」

「…ごめんね…」

「何が。」

「…ううん…」

瞳の『ごめんね』の真意は分からなかったが…

俺は、瞳の肩を抱き寄せて、式場へ向かった。

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