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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/02 11:43:14

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「…貴司さん。」

パーティーが終わって、片付けをして…

大部屋の隅っこで転寝してる貴司さんを起こす。

「…ん…ああ…寝てしまってたか…」

いつも…きちんとしてる貴司さんが、こんな所で転寝なんてする事自体…珍しいし…

違和感。

そりゃあ、あんなに飲んで…酔っ払っちゃったら仕方ないかもしれないけど…

なんで、あんなに飲んだの?

って…ちょっと、色々勘繰っちゃうよ…


「…高原さんは?」

辺りを見渡して、貴司さんが言った。

「もうとっくにお帰りになられましたよ。」

お義母さんが呆れたようにそう言うと。

「あー…悪かったな。見送りもしないで…」

貴司さんは眠そうに、軽く顔を叩いた。

「楽しかったわね。また来ていただけると嬉しいわ。」

背後から聞こえたお義母さんのその言葉に、あたしは勢いよく振り返ってしまった。

「なん…」

言いかけて…やめる。


貴司さんもお義母さんも…あたしを桐生院に迎え入れてくれて…

あたしは、知花とも、知花の子供達とも一緒に暮らせて…幸せだ。

本当に、贅沢者だって思う。

だけど…

貴司さん達は…本当はどう思ってたのかな…

長年、違う男の人と暮らしてたあたしを…迎え入れるなんて…

しかも…あたし…

まだ、なっちゃんの事…

二人とも、何か気付いてるのかな…


「…さくら。」

貴司さんは眠そうな顔だけど、真剣な声で…あたしを呼んだ。

「…何。」

「高原さんがここに来るのは、嫌かい?」

「……」

嫌かって…

嫌って言うか…

「…何で?って思った。」

あたしは素直に答える。

少し、唇が尖ってたかも。


「…そうだな…」

貴司さんはあたしの顔を見て、小さく溜息をつくと。

「実は、何度かうちに来てもらって…色々話を聞いてたんだ。」

あたしの目を見て言った。

「……」

やっぱり…あの気配…

「長年、さくらのそばにいてくれた人だ。私達よりも、さくらの事を知ってる。」

「……」

あたしが何も言えなくなってると、お義母さんがお茶を持って来て。

「はい。」

あたしと貴司さんの前に置いて…自分も、あたしの隣に座った。

「…ありがとう…」

体中の血が、引いて行くようだった。

冷たくなった指先に、そのお茶は…すごく嬉しい気もした。

あたしは湯呑を両手で触って。

「でも…だからって…」

うつむいて…つぶやいた。

「秘密にしてた事は…悪かった。だが…あの人からさくらを奪うような形で連れ戻してしまった私達から見ると…こうして付き合ってくれるのは、嬉しい事なんだ。」

貴司さんはそう言って、お茶を一口飲んで。

「それに…知花の実の父親だ。誕生日ぐらい…一緒に過ごさせてあげたかった。」

それを言われると…すごく痛い気がした。

あたしだって、待ち遠しかったんだもん…

知花の事を娘だと知ってしまった今…

瞳ちゃんの事をあんなに大事にするなっちゃんは…

知花の事も、可愛くて仕方ないと思う…

「あの人と会い始めて気付いたんだが…私は誰にも『貴司』なんて呼ばれる事がなくてね。」

「私以外からはね。親戚からも、呼び捨てはされてませんからね。」

お義母さんが、そう言って小さく笑った。

「そう。だから…舞い上がってしまった。私とは違う世界の人と、色んな話が出来て…刺激になるし、感化される。」

「……」

「さくら、あの人がうちと交流を持つ事を、許してくれないか?」

…そんな事…

そんな事、どうして…?

あたしは泣きたくなってた。

だって、なっちゃんに会う事が…これからもあるなんて…

あたし…忘れられないよ…

なっちゃんの事…


「さくら、あの人の事を、大事に想ったままでいいんですよ。」

「…お義母さん?」

あたしは…口を開けてお義母さんを見た。

「みんな、大事。それでいいんですよ。」

「……」

みんな、大事…

…違う。

あたしは…


今でも。

なっちゃんが…



一番大事だ。

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