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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/02 09:51:37

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あたしは…しばらく、動けないままでいた。

なっちゃんが…

どうして、なっちゃんが…?


「なちゅ!!」

「なちゅー!!」

「え…?」

ノン君とサクちゃんの声に驚いたのは、あたしだけじゃなかった。

驚いたついでのように、身体が動いて。

大部屋の入り口を振り返ると…ノン君とサクちゃんはなっちゃんの足に抱きついて。

「なちゅ、こえ、とーしゃんちゅくった!!」

千里さんが作った帽子を見せてる。

「ははっ…そうか。千里、意外と手先が器用なんだな。」

なっちゃんがそう言うと、座ったままだった千里さんはゆっくり立ち上がって。

「えー…あ…まあ…」

遠慮がちに返事をした。

知花は…その隣で、困ったような顔をしながら…あたしを見た。

「高原さん、立ってないで座って下さいな。」

そう言ったのは…お義母さんで。

あたしと知花と千里さんは…三人で、驚いた顔をした。と、思う。

…なんで?

誓と麗は…誰?って目配せし合ってるようだった。


ずっと…心臓が変な音を立ててる…

なんで…?どうして…?

なっちゃん…

貴司さんも…

お義母さんだって…

それに、ノン君とサクちゃんも…

なちゅ…って?


「誓、麗、高原さんは、知花と千里君の事務所の会長さんで、お父さんの友達なんだよ。」

貴司さんがそう言って、あたしと知花と千里さんは…目を見合わせた。

…友達って…

「ビートランドの会長さん!?すごい!!」

意外にも…はしゃいだのは麗だった。

「Feelって音楽雑誌に載ってたけど、音楽以外のアーティストの部門も作るって、本当なんですか?」

「ああ。モデルや俳優…ゆくゆくは、もっと違うジャンルもね。」

「すごい…父さん、すごい人と友達なのね。」

麗にそう言われて。

「すごいだろ。」

貴司さんは、珍しく…自慢そうに笑った。

「ははっ。何言ってんだ。知花と千里が家族って事の方がすごいぜ?」

「間違いねーだろ。おまえ、よくも俺らをはしょったな?」

千里さんが…気を使ってなのか…普通に会話に入ってくれて。

何となく、場が和んで来た。


「さくら、お皿取ってちょうだい。」

「あ…はい…」

お義母さんに言われて、お皿とお箸をテーブルに置く。

「どうしたの?母さん。借りて来た猫みたいになっちゃって。」

麗ー!!

「いつもはもっとドタバタして、おばあちゃまに叱られるクセに。」

あたし、目を細めて麗を見る。

…覚えてなさいよ…麗。


複雑だったけど…パーティーは盛り上がった。

貴司さんは、いつもより楽しそうで…

それは作り物に思えなくて…

だから…余計…複雑…


確かに、貴司さんには『友達』って存在がいなかった気がする。

…まあ…あたしにも、そんな存在は…いたような…いなかったような…だけど…

なっちゃんと貴司さんは、途中から仕事の話もしたり、ノン君とサクちゃんを挟んで写真を撮ったり…

本当に、楽しそうだった。


貴司さんがほどよく酔っ払って。

「そろそろプレゼントのコーナーにしようか。」

って…

……あ。

「知花、誕生日おめでとう。健康に気を付けて、これからも頑張れよ。」

貴司さんはそう言って、知花に大きな箱を渡した。

…確か、コートだったっけ…

知花には誕生日プレゼントだけど、他のみんなにはクリスマスプレゼント。

誓と麗には…

「高原さんと一緒に選びに行ったんだ。」

そう言って、二人に渡したのは…着物だった。

「わあ…もしかして、普段着用の着物が欲しいって言ってたの、覚えててくれたの?」

箱を開けた麗が、驚いたような声で言った。

「私はセンスが悪いから、高原さんに見立ててもらったんだよ。」

「いやいや、貴司の意見がなかったら選べないだろ。」

…貴司…?

「いい柄ね。」

知花が箱を覗き込んで言って、誓も麗も嬉しそう…だけど…

…あたしは…複雑なまま。


「千里君には、何がいいか分からなかったから、車を。」

「げっ…マジっすか?」

「冗談だよ。」

その貴司さんの様子に…知花も誓も麗も、少し戸惑った。

貴司さん…めったに冗談なんて言わないのに…

「取引先のホテルのディナー券をもらったから、今度知花と行っておいで。」

「ついでに宿泊券も。」

「ははっ。いいだろう。」

「千里っ。」

「いーじゃねーか。親父さんが酔ってる間に、欲しい物頼めよ。」

「千里さん、すっかり馴染みましたねえ…」

「…ばーさんって呼んでるの、怒ってます?」

「…あなたに、おばあちゃまと呼ばれるよりはいいです。」


…楽しくて…幸せで…

その場に、なっちゃんがいるなんて…

それは、もしかしたら…すごく幸せなのかもしれないけど…

やっぱり、すごく複雑で…


「さくら、知花に何かプレゼントを作ったって言ってなかったかい?」

お義母さんにそう言われたけど…

「…料理、頑張ったのよ?」

かろうじて…笑って言ってみせる。

「どれも最高に美味しい。お母さん、ありがとう。」

知花の笑顔に…あたしも笑顔になった。


あたしは…知花にオルゴールを作った。

あたしと…なっちゃんの娘。

知花に…


『If it's love』の…オルゴール。


だけどそれは…

渡せないよ…。

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