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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/01 23:45:24

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「お…」

俺にとっては、初めての桐生院家。

光史から『別世界だった』と聞かされた事があったが…

これは…まさしく…

別世界。


一度抱えてしまった麗を下ろすのもどうかと思って…頑張って玄関まで運んだ。

背後から、期待に目を輝かせたおふくろさんもついて来てたし…


「ありがとうございました。あ、せっかくだからお茶でもどうぞ。」

おふくろさんにそう言われたが。

「いえ、もう帰…」

「お義母さーん。お茶入れてもらえるー?」

「る…」

俺の言葉が全部終わらない内に、おふくろさんは廊下を走って行ってしまった。

「…ビックリでしょ。」

麗が首をすくめる。

「…わけーな。」

「でも…あの人が騒がしいおかげで、少し気が紛れてるの。」

「……」

足の手当をして、うちを出た後…

麗は帰りたくないと言った。

それで、一時間ほど…車で話をした。

…双子の弟を好きな事を打ち明けられた。

そして…俺にも。

『お姉さんの事、好きなんでしょ』と。


「…帰る。おふくろさんに、よろしく伝えてくれ。」

「え…?ちょっと待って。」

これ以上、麗といるのは危険だ。

そう思った俺は、麗の言葉を聞こえないフリをして…玄関を出た。


織を想う気持ちは…口にすると本物になる。

以前、光史に告白されて、初めて…織を好きだと口にした。

あの時…言って後悔した。

心の中で、錯覚だと言い聞かせていた物が…一気に形になった気がした。

もう…この気持ちを口にしたくない。

ましてや…

第三者に悟られて言われるなんて…

もっての他だ。


織が、護衛をしていた環と結婚して、俺は家を出た。

間近で…織の幸せを見ているのが、辛かったからだ。

環になら…織を任せられる。

そう思うのに…

俺はどこかで、常に妬いている。

織を妻にした環に…

そして、織に心から愛されている環に…

織の幸せを一番に願いながらも…

それを叶えるのが自分じゃない事が…


俺の、最大の不幸だった。

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