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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/01 21:33:59

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「何なのよ!!あたしが何をしたって言うのよ!!」

今日も…周子は暴れた。

カウンセラーと会うまでは落ち着いていたが…

世間話をしていただけのはずが、カウンセラーの『今日は何をして過ごされてましたか?』の一言で…キレた。


最近は…何がキッカケでそうなるのかも分からない。

「夏希、あの子はどこ?」

「…周子、誰の事を言ってるんだ。」

「あの小娘よ!!」

「小娘なんていない。俺はずっとおまえのそばにいるじゃないか。」

「…嘘よ…」

叫んだと思えば…泣き崩れる…

俺は周子の肩を抱き寄せて。

「…天気もいいし、少し散歩でもしながら話そう。」

そう言いながら目配せすると、カウンセラーは小さく頷いた。


周子を車椅子に乗せて、ゆっくりと庭を散歩する。

俺達の少し後には、カウンセラー。

もう…幾度となく繰り返す日常となった。


「あら…いやだわ…あたし、指輪を失くしてしまったみたい…」

周子が自分の指を見て、悲しそうな顔を俺に見せた。

「違うよ。ここに俺が持ってる。」

俺は、ネックレスに通した周子の指輪を胸元から出して見せた。

「どうして夏希が…?」

「ははっ。忘れたのか?金属アレルギーで、湿疹が出て大変だったじゃないか。」

「…そうだったかしら…」

周子に金属アレルギーはない。

だが…ヒステリーを起こして指輪を飲み込んでしまおうとした事があって…

オシャレを楽しめた時期もあったが…

今の周子は、アクセサリーの一つも持つことを許されない。


「大丈夫。調子がよくなった時には、これはちゃんと周子の薬指に返すよ。」

「…待ち遠しいわ…」

そう言って、周子が俺の薬指を触る。

そこには…周子の物と同じ指輪。

生まれて初めて…指輪をつけた。

結婚なんて、夢にも見なかった俺が…さくらとのそれを叶えたくて…破れて…

…諦めや義務だとしても、これで良かったんだ。

そう言い聞かせるように…指輪をつけた。


「…周子。」

俺は、周子の前に回り込んで…目を見る。

「いつも、何か不安なんだろうな。それは俺のせいだって分かる。でも俺は、今…周子の夫だ。」

「…夏希…」

「頼むから…他の誰かの事を気に掛けるんじゃなくて…周子自身の事と、俺の事、そして…瞳の事を考えててくれないか?」

周子の手を握って、そう言うと。

「…愛してる?」

周子は…最近にない、穏やかな目と声で言った。

「ああ…愛してるよ。」

愛してる…


周子に罪悪感がないわけじゃない。

だが…この頃の俺を奮い立たせていたのは…

消える事なくくすぶり続けていた、さくらへの気持ちだった。


誰かのものになっても…



愛してる…



さくら。

おまえだけを…

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