ブログランキング9

いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

  • 記事数 2488
  • 読者 660
  • 昨日のアクセス数 35864

テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/01 20:35:57

  • 85
  • 0

「さくら。」

私は…意を決して、さくらと話し合う事にした。


知花が千里君と復縁して…

さらには、千里君が桐生院家に婿入りまでしてくれた。

跡取りは誓だとしても、それはとても嬉しい事だった。

娘の幸せを、間近で見れるのは…この上ない贅沢だ。


「子供の事なんだが…」

しばらく、この話は避けていたが…

華音と咲華を愛しそうに抱きしめるさくらを見ていると…

可哀想だが、諦めてもらうしかない。

そう思えて、ちゃんと話す事にした。


「…なあに?」

さくらは私の前に正座して、あどけない顔をした。

「…病院に行って来た」

「…病院?」

「私は…本当にセックスができなくてね。」

「……」

「だから…申し訳ないが、さくらとも…ダメなんだ。」

さくらは…無表情で私を見ていた。

驚きも、悲しみもせず。

「精神科に行ってみた。」

これは…本当だ。

精神科に行って、自分の心の内…全てを話してみた。

色々話している内に、気付いた事がいくつかあった。

そして、それに酷く納得した。

私は…マザコンだ。

血の繋がりのない母を、心の底から愛している。

突然やって来た私を、大事に育ててくれた。

そして…昔からずっと、今も…味方で居てくれる。


男女の愛とは違うが…

私の、母への愛は…何よりも深い。

そして、その愛深さゆえに…

自分の存在を呪っている。

父が愛人と寝て出来た自分を…呪っている。


大事な人は傷付けたくない。

そう思えば思うほど…

私は、性の対象がその人物からかけ離れてしまう。

第三者との行為が父と同じであるはずなのに…


「…人工授精は…ダメなの?」

さくらは、諦めなかった。

「それは…」

高原さんにも断られた今、それは…

「あたし…お義母さんが元気な内に…一緒に子育てしたいって思って…」

さくらから、意外な言葉が出て来て。

私は…無言になる。

「そりゃあ…ノン君もサクちゃんもいて…もしかしたら、知花がまだ何人か産むかもしれないから、お義母さん…こりごりって思うかもしれないけど…」

「……」

「あたし…お義母さんの事、本当の母親だって思ってて…」

「さくら…」

「知花を育てられなかったあてつけとかじゃないのよ?」

「…ああ…」

「ただ…ノン君とサクちゃんをあやしてるお義母さんを見たら…幸せそうで…嬉しくなっちゃって…」

「……」

「一緒に、育てたいなあって…」

「さくら…」

感激して…泣きそうになった。

だが、こんな時でも…私はさくらを抱きしめられない。

ゆっくりとさくらに手を伸ばして…頭を撫でた。

「…本当に…すまない…」

「…ダメなの…?」

「…病院に…相談に行ってみるよ…」

「貴司さん…」

さくらは少し笑顔になったが、それをすぐに引っ込めて。

「でも…ストレスになるようだったら…諦めるから…」

真顔で言った。

「…分かったよ。ありがとう。」


さくらの期待に応えたい。

だが…私には精子がない。


…もう、私に頼れるのは…高原さんしかいない。


こうなったら…

脅迫だと言われても仕方ない…


あの事実を…


突き付けるまでだ…。

同じテーマの記事

コメント0

しおりをはさむ

このページのトップへ

GIRL’S TALKにログインする

Ameba新規登録(無料)はこちら

9/26 編集部Pick up!!

  1. 妊娠報告に「バカなの」と義両親
  2. 誤爆LINEした彼を信用できない
  3. 3年も不倫続ける姉を説得したい

人気ブログ記事ランキング

  1. 1

  2. 2

  3. 3