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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/09/01 17:47:45

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「わざわざ来てもらって、すみません。」

あたしはそう言って、瞳さんに頭を下げた。

…瞳さん。

あたしの、腹違いの姉。


だけど、あたしは瞳さんを『お姉さん』と呼んだ事はない。

瞳さんだけじゃない。

実の父親である、高原さんの事も。

『お父さん』と呼んだ事はない。


桐生院の父は、とても優しかった。

あたしを大事に育ててくれた。

その父が、高原さんの事も『お父さん』と呼んで甘えてあげなさい。と言ってくれたけど…

父の生前、あたしは一度も…高原さんをそう呼ばなかった。

…呼べなかった。


それは…桐生院家と、高原さんの…複雑な関係にあった気がする。

そして、瞳さんと…

瞳さんのお母様である、藤堂周子さんの事…。


「いいのよ。最近は圭司も映も忙しくて、あたしは一人で居る事が多いから。」

瞳さんはそう言って、庭を見渡して。

「…ここ、本当にすごいわね…気持ちが落ち着くわ。」

ゆっくり、目を閉じた。

「今、母がお茶を入れてくれてるので…もう少し待ってもらっていいですか?」

「え?何?」

「ちょっと…話があって…」

あたしがそう言うと、瞳さんは少しだけ距離を縮めて。

「…もしかして、父さんとさくらさんを結婚させたいって話?」

あたしの耳元に手を当てて言った。

「あたしは大賛成よ。周りから固めるでも何でもしてちょうだい。」

「……」

あたしがキョトンとして瞳さんを見ると。

「あら…違ったの?」

瞳さんは、驚いた顔。

「あ…今日の話は違うんですけど…瞳さんも、そう思ってくださってたんですか?」

嬉しくて…つい笑顔になってしまった。

「当然よ。父さんは…ずっと、さくらさんの事、想い続けてたんですもの…」

瞳さんは少し遠い目をしながら。

「…もう、自分の気持ちを…縛らないで欲しい。」

そう言った。

自分の気持ち…

本当に、そうだ。

父と高原さんと母さん。

三人の間に何があったのか…あたしは知らないけど。

きっと、みんなが感じてたはず。

高原さんが…母さんだけじゃなく、父の事も…大事に思ってくれてた事。

だから余計に…

高原さんには、幸せになって欲しい。


「お待たせ。何だか女三人でお茶なんて、ワクワクしちゃうわね。」

あたしと瞳さんが庭を眺めてる所に、母さんがお茶を持ってやって来た。

…相変わらず、少女のような母さん。

本当に、ワクワクしてる。


「それで?何の話?」

広縁にお茶とクッキーを並べて、母さんは楽しそうに笑った。

「…瞳さん。」

あたしは、瞳さんに…言う。

「高原さんが、夏に事務所を挙げての大イベントをする話、聞きましたか?」

この夏…ビートランド所属アーティスト総出の大イベントが、開催される。

あたしはそれを、二日前…千里から聞いた。


瞳さんは、お茶を一口飲んで。

「ええ…聞いたわ。」

首をすくめた。

「歌わないかって、父さんに言われた。」

それを聞いた母さんは。

「まあ、素敵。私、瞳ちゃんの歌、聴きたいわ。」

指を組んで笑顔になった。

「あたしなんて…もう何年も歌ってないし…」

瞳さんは、そう言って唇を尖らせたけど…

「もったいないですよ…ボイトレして、参加されませんか?」

あたしは、真顔で言った。

「まさか。もう…あたしは裏方でも手伝おうかなって思ってるぐらいだし。」

あたしは…知ってる。

瞳さんが、まだ歌いたいと思ってる事。

だって…瞳さんの旦那さんはギタリスト。

息子さんは、ベーシスト。

音楽に囲まれた家族。

あんなに歌が好きだった瞳さんが…歌いたくないわけがない…。

それに…夏のイベント。

毎年、周年パーティーは開催されるけど…

なぜかあたしには、高原さんが何か特別な意味を持ってやろうとしているとしか…思えてならない…。

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