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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/31 22:09:48

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「ばーちゃ。」

「はあい。」

「んばー。」

「……もー…可愛いっ。」

あたし、ノン君をギューッてしちゃう。

だって…本当に…天使!!


「かーしゃん、わやってー。」

サクちゃんは、さっきから知花を笑わそうと必死。

この子達って…すごい。

すごく、敏感って言うか…

人の気持ちに寄り添ってくれる感じ。


レコーディングが上手く進まなくて、急遽二日間オフになった知花。

普通にしてるつもりなんだろうけど、知花…どこか元気ないよね…


「知花。」

あたしは、知花を広縁に誘う。

ちゃんと、双子ちゃん達のおもちゃと、おやつも持って。

「さ、話して。」

「え?」

「悩んでる事。」

「…悩んでるように…」

「見える見える。」

「…そっか…」

知花は観念したように肩を落とすと…

「…実はね…」

指先をもてあそぶようにして、話し始めた。


千里さんを好き過ぎて、周りを傷付けてしまった事。

別れなきゃ夢を追えないぐらい…好きだったんだなあ…って、ちょっと羨ましくも思えた。

それから、向こうで…朝霧光史君と一緒に暮らした事。

これは…ちょっと驚いた。

それで、朝霧光史君とは…一緒に暮らすって話が出たものの…

それを、彼の方から断って来た事。

すごくイライラして、彼を傷付けるような事を言ってしまったかもしれない。

謝りたいのに…素直に謝れない事。

でも…一番の問題は…

朝霧光史君を、好き…ではあるけれども、愛とは違うって事。

そしてそれは、朝霧君の方もだ…って事。

なぜなら、朝霧君は…男しか好きになれなくて。

千里さんの事を、好きだから…って。


「…そんなことが…」

「…うん…」


「かーしゃん。」

「はあい…あれ?こんなおもちゃ、あったっけ?」

はっ!!

千里さんが持って来たやつ!!

「ああ…貴司さんが…」

あたし、冷静な顔で、頑張った!!

「もう、いいのに。なんだか最近おもちゃも服も増えすぎ。」

「いいじゃない、まだあたしがもう一人産むし。」

「本当に産む気なの?」

あたしは…もう一人産む。

産みたい。

最初から、一緒に育てたい。

って、貴司さんに言った。


だって、あたし達は…夫婦だよ。

あたしの気持ちが…なっちゃんに向かわないように…

貴司さんを…好きにさせて欲しい…

一緒に子育てをして…ちゃんとした夫婦になりたい。

なのに、貴司さんは二人きりになると、その話を避ける。

寝る時間も…最近はずらされてる気がする。

…わざとだよね。


「産む気よー。まだ若いんだから。」

ガッツポーズしてみせると。

「…父さん、大丈夫かな。」

知花は目を細めてそう言った。

「大丈夫に決まってるじゃない。」

そう言いながらも…不安だった。

あたし、まだ若い気でいるから…貴司さんには物足りないのかな。

ガキって思われてるのかな…

実際、あたしは38だけど…全然成長してないみたいに思われてるし…

…焦る…


「さっきの続きだけどさ。」

あたしは気持ちを切り替えようと、顔を上げて。

「知花が何に腹立ててるか、教えてあげようか。」

って言った。

「わかるの?あたしにもわかんないのに。」

「わかるよ。知花はね。」

「……」

「千里さんを忘れさせてくれる、誰かがほしかったの。」

「……」

あたし…自分で言ってて…思った。

あたしも、なっちゃんを忘れさせて欲しいから…

貴司さんに、子供を産みたい…なんて。

…ずるい。


「で、きっと朝霧くんが忘れさせてくれるって…そう思ってたのに…って、裏切られた気持ちでいっぱいなのね。」

言ってて…最近の自分の気持ちとリンクしてしまった。

あたし、貴司さんの気持ちを探ろうとしてるよね…

避けられてるって疑って…

ちょっと悲しくなっちゃってるもん…


「ちょ…ちょっと待ってよ。あたしは…」

「どうして、そんなに忘れたがるの?少しずつ前に進むって言ってたくせに。」

「……」


あたしは…忘れなきゃいけないんだよ。

だって、もう…なっちゃんは周子さんのものだし…

あたしは、貴司さんと夫婦になったんだもん。

だから…貴司さんには、あたしの事…

もっと、ちゃんと…見て欲しいのに…


「彼も、知花のこと、いっぱい好きだと想うよ?」

「……」

「あたしね、愛にはいろんな形があると思う。」

「…いろんな形…」

なっちゃんは…本当にあたしを大事にしてくれた。

一緒に暮らしても、あたしが16歳になるまで…我慢してくれてたし…

寝たきりになってからも…

献身的に…あたしの事…愛してくれた…

…やだな…

泣きそうだよ…

あたし、こんなにも…全然なっちゃんの事…忘れられないのに…


知花と一緒にいたいって思った。

だって、知花は…あたしの大事な…なっちゃんとの娘。

その知花を、大事に育ててくれた貴司さんとお義母さんとも…家族になりたいって思った。

それは本心。

だけど、全部は選べないから…

…なっちゃん…

周子さんと…幸せになってくれるといいな…


「千里さんは、本当に知花のことを好きだから突き放したのよ?」

「……」

「だけど、それがまさか知花をここまで苦しめたなんて…って…」

「え?」

「……あ。」


…しまった。

あれこれ考えながら助言なんてしちゃダメだよね!!


「…母さん、どういう事?」

「あー…えーと…」

結局…あたしは、千里さんがあの家に来て、あたしに色々話してくれた事を知花に話した。

知花には…幸せになって欲しい。

千里さんにも。

あたしが…なっちゃんと築けなかった幸せを…

二人には…


そして。

あたしも…

新しい幸せを、掴みたい。

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