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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/31 19:46:57

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「はー…」

毎朝の日課。

ジョギングから帰って軽くストレッチをする。

アメリカでの修行からこっち…のどの調子がいい。

色んなバンドを見て、色んな音楽に触れ、自分の中でも歌い方の幅も広がった気がする。

そのおかげでか…

渡米前には言われた事のない褒め言葉が、ナオトさんや朝霧さんからも出るようになった。


…知花を…取り戻す事は出来ないかもしれない。

朝霧から、知花と暮らすと聞いて…何となく覚悟はしていたものの…

ショックだった。

まだ、チャンスはある。

そう思いながらも…朝霧さんの息子なら…知花も子供達も…


「……」

なぜ弱気になる?

朝霧は『知花と一緒に暮らそうと思ってる』と言った。

まだ、決定してないんだ。

知花の口から…朝霧と生きて行く事を聞くまでは…

まだ、俺にもチャンスはあるはずだ。

…諦めるな。


空を見上げて両手を上にあげる。

大きく伸びをして…深呼吸をしていると…

「…神さん。」

背後から声がして…振り返ると、朝霧がいた。

「…おまえは、俺を付け回すのが好きだな。」

小さく笑いながらそう言うと。

「…好きなんです。」

朝霧は、俺の足元を見ながら言った。

「…知花の事か。それはそれで、もう聞いたし、俺は」

「俺は、神さんの事が好きなんです。」

「……」

下ろしかけた手を、途中で止めたまま…朝霧の顔を見入った。

「…俺は、昔から…男しか好きになれなくて…」

「……」

「だから…本当は…知花の事も…神さんが知花を好きだから…好きになったと言うか…」

「……」

俺は、呆然としていたかもしれない。

男から告白されるのは…生まれて初めてだ。

朝霧が…嘘を言っているようには思えない。

今まで数回朝霧とはこんな感じで…話したが。

今日の朝霧が、一番…

「…向こうで知花と暮らしたのも…不純な動機からでした。キッカケは…知花と子供達が男に襲われて…」

「えっ?襲われた?」

「はい…襲われてる所に偶然通りがかって…それで、連れて帰って…そのまま一緒に暮らし始めました。」

「……」

「知花と居ると…俺自身…変な気持ちでした。」

それから朝霧は…

俺を好きなあまり、知花を守る自分を俺と重ねてみたり…

華音と咲華を大事にする事で、俺に近付けている…と錯覚したりした、と。

時々、少し顔を赤くしながら…語った。


「…気持ち悪いですよね…」

「……」

「俺自身…告白なんて…するつもりは…」

「…知花は、その事知ってんのか?」

「…俺が男しか好きにならない事は…向こうで言いました。神さんの事は…ついこの間…バレました。」

「バレた?」

「…『千里を好きなんでしょ?』って。」

「……」

朝霧は、俺の顔を一度も見ない。

ずっと、俺の足元と…自分の爪先を繰り返し見るぐらいで、顔を上げない。

今まで、あれだけ…自信満々に俺の目を見て話してたのにな…


「この前…神さんと話してたのを、知花に聞かれたみたいで…もめちゃいました。」

「もめた?」

「…あいつ…何に意地になってるのか分からないけど…神さんの事忘れようって必死になってて。」

「……」

「俺なんかに…言う資格はないかもしれないけど、神さんと向き合えって言ったら…」

朝霧の声は、だんだん小さくなって。

最後はよく聞き取れなかった。


…こいつ、形はどうであれ…

知花に惚れてるんだろうな。

男しか好きにならない。

それは本当かもしれないが…

知花と一緒にいて、何か感じるものはあったんじゃないか…?


「朝霧。」

「…はい。」

「正直に言えよ。」

「…はい。」

「知花と、寝たか?」

「……」

この質問をした途端、朝霧が顔を上げた。

「…寝たのか。」

「……寝てません。」

「キスしたか。」

「…してません。」

「……」

平然としてのけたが…それが嘘だと分かった。

朝霧は何度も瞬きをして…俺を見つめた。

何もなかった。と、言い聞かせるように。


…俺と知花は別れた。

その間に、誰かと何かがあっても…仕方ない。

実際俺だって、瞳にグラついた。


何だよ。

男しか好きにならねーとか言って、そういうのは出来んのかよ。

少し心の中で毒気ついたが…


「えっ…」

朝霧が、俺の腕の中で固まった。

俺はギュッと朝霧を抱きしめると。

「気持ちはありがたいが、応えられない。」

そう言った。

アズに感謝のハグをした事はあるが…

俺を好きだと言ってる男を抱きしめるのは…初めてだ。

少々…こっちまで緊張する。

「知花と子供達を…助けてくれて、ありがとな。」

耳元で、そう言うと。

朝霧は力の入っていた肩を少し落として、遠慮がちに…俺の肩に頭を乗せた。


「おまえ、いいドラマーだよな。」

間が持たなくて、そう言うと。

「…光栄です…」

朝霧は、俺の肩に頭を乗せたまま答えた。


知花がこいつを選んだとしても…

俺は、ずっと…知花を好きでいよう。


何となく…そう思えた。

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