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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/31 18:47:33

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「あの。」

ロビーの一番奥にある、自販機コーナーに向かってると…呼び止められた。

振り向くと…朝霧。

「…何だ?」

「…話があります。」

「……」

自販機コーナーの奥に、医務室に向かう廊下がある。

俺と朝霧は、そのスペースに移動した。

「で?」

「…知花に言ったの…本気なんですか?」

「あ?」

「…困ります…」

朝霧は、少し…思いつめたような顔をしていた。

「なんで。」

俺はポケットに手を入れて…斜に構えて言った。

「ハッキリ言え。何だ。」

「…知花と、一緒に暮らそうと思ってるんです。」

…そうなのか。

頭の中に、絶望的。という文字が浮かんだ。

「それで?」

「アメリカでも、一緒に暮らしてました。」

「ああ。この前、朝霧さんに聞いたよ。」

「だから、さっきみたいなのは困るんです。」

「困る?どうして。」

「知花が…」

朝霧は…俺の目を見たり、自分の足元を見たり…落ち着かない様子だった。

…意外だな。

俺の中では、こいつは…何事にも動じない、冷静な奴といったイメージだ。


「おまえ、本当に知花を好きなのかよ。」

俺が一歩近づいて言うと。

「好きです。」

朝霧は、俺の目を見て即答。

「でも、年末の大雪ん中、俺につきまとって知花とヨリ戻せって言ったのは、おまえだろうが。」

「あれは…」

「あれは、何だよ。」

「……」

何か言いたそうにはするものの、言葉を飲み込む朝霧。

俺は腕を組んで、さらに…一歩近付いた。

「上等だよ。でも、俺は知花をあきらめない。」

「……」

「あきらめちゃ、いけないんだ…自分のためにも。」

「……」

俺の言葉に、朝霧はまるで…泣きそうな顔。

眉間にしわを寄せたり、ギュッと目をつむったりしている。

そんな朝霧の顔を見ていると…俺も少し冷静になれた。


「んな不安そうな顔すんな。さっきの知花の反応から見て、俺は相当分が悪い。」

口に出すと、悲しくなったが…本当だもんな…

「…それでも、知花のために歌うんですか?」

「それくらいしか、できねえしな。歌わねえ俺には魅力なんてないって、あいつが言ったらしいぜ。」

「……」

「ただの思い出になってもいい。でも、それを辛いままにさせたくないんだ。俺との事を思い出すたびに泣かれちゃイヤだろ?」

…本当にな。

俺を思い出すたびに…知花は何度泣いただろう。

…でも、きっと…そういう時…

そばには、こいつが居てくれたはずだ。


「…神さんは…」

「あ?」

「知花を…本当に愛してるんですね。」

顔を上げた朝霧は…少しスッキリしたような顔になっていた。

…こいつ、本当に万人受けする男前だな。


「自分でも、驚くぐらいな。」

俺はそう言って、小さく笑う。

…自分でも驚くほど…俺は知花を愛している。

いつから…そうだったか、なんて…分からない。

ただ…

あいつの声が…あいつの笑顔が…

良くも悪くも、ずっと俺の中から…離れなかった。


「今俺が出来る全ての事を…知花に見せたいと思ってる。」

俺がそう言うと、朝霧はじっと俺を見つめて。

「…ずっと…こんな神さんを待ってました。」

よく分からない事を言った。

「…あ?」

「待ってたんです。あなたを。」

「……」

意味が分からなくて首を傾げたが。

朝霧は俺に軽く笑いかけると…そのまま消えて行った。

…よく分からないが…

どう考えても…俺は分が悪い。

だが…

…最後まで、諦めない。

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