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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/08/31 18:01:28

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昨日、子供達と戯れてパワーを充電できた俺は…

堂々と、事務所の中を歩く事にした。

今までは、ルームとスタジオに籠りっぱなしで。

しかも…あまり人に会う時間帯に外に出ていない。

うちの事務所の社員は、出勤時間はバラバラだが…

ロビーに多くの人が行き交う時間帯がある。

それは…

泊まり組達が、隣にある銭湯に入りに行く時間帯。

『朝風呂』半額タイムのある、九時から十時の間だ。


堂々とロビーの真ん中を歩くと、すれ違いざまに『えっ…』と声を出したり、『神じゃん…』と指を差す者もいた。

行方不明になって以降、亡霊みたいな存在になってたからな…

珍しいだろうよ。


…ふと、前方に目をやると…

知花と、聖子。

聖子は俺を見て丸い目をしたが…

知花は、俺を見ていなかった。

前を向いて…背筋を伸ばして、歩いて来た。


実は…事務所で会うのは、あれ以来…初めてだ。

俺はどこそこから知花の様子を眺めたりはしていたが…知花は俺の存在には気付かなかったと思う。


何でもない顔をしてすれ違って…俺は立ち止まる。


そして…

「知花。」

大きな声で、知花の背中に声をかけた。

「……」

驚いた顔の知花が、俺を振り返る。

…ふっ。

おまえ、なんだよ。

相変わらず…

可愛いじゃねーか。


まだ…アクションを起こすつもりはなかった。

だが…少なからずとも、俺は朝霧さんから聞いた諸々の話に、焦ったのだと思う。

いや…もっと早くにこうしていれば良かったんだ。


俺は知花に向かって真っすぐ歩いて行くと…

「チャンスをくれ。」

知花の目を見て言った。

「…え?」

「おまえと、やり直したい。」

「……」

途端に、周りから『え?あの二人ってデキてたの?』とか『公開告白!?』なんて言葉が囁かれ始める。

誰がなんて言おうが…

俺は、もう迷わない。


「俺は、もう一度歌う。」

「……」

「今度は…」

「……」

「自分のためにじゃない。おまえのためにだ。」

一斉に周りが騒がしくなった。

冷やかしの声や、拍手。

俺には全てがエールだったが、知花は驚いた顔をしたまま…無言。


「もう、辛い想いはさせない。だから…」

「やめて。」

「……」

俺の告白を…知花が遮った。

…遮ったって事は…

「あたしは、あたしはもう…」

…そうか。

もう…って事は…

俺は…おまえを諦めなくちゃなんねーのか…


…いや。

でも、諦められない。

俺は…俺ができる事は…


「見ていてほしい。俺がおまえのおかげで、どんなに強くなれたか。」

「……」

「それと、これ。」

俺は強引に知花の手を取って、それを…手渡す。

「なっ…」

「捨ててもいいけどさ、その気になったらしてくれよな。」

それ。

俺は…あの時知花に返された指輪を、知花に手渡した。

捨てようとして…捨てられなかった、指輪。


「じゃあな。」

目の前の知花の表情は…俺にとっていいものじゃなかったが。

相変わらず愛しい奴だ…なんて、のんきに思うと、つい…頭をくしゃくしゃと触ってしまった。


昨日、桐生院から帰って…一人、指輪をはめた。

正直、自分でもらしくねーなー…なんて思ったが…

これをお守りにしたかった。

俺は…怖がってる。

知花が、朝霧を選ぶんじゃないかって事に…


知花に手を上げて歩いて行く。

周りからは、十分なほどの冷やかしの声。

あー…俺、戻って来たんだなー。なんて、少し思った。

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